新しいヒロイン2025《97期生・永田 加奈恵》

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永田 加奈恵 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 2025シーズンがまもなく開幕する。最終プロテストの難関を突破した97期生が希望を胸にデビューを待つ。2024年の総受験者は695人、合格率はおよそ3.7パーセントだった。今年、羽ばたく26人を紹介する。

ながた・かなえ=2001年4月17日生まれ

 冷静沈着。たたずまいは、さながら勝負師である。しかも芯の強さがうかがえた。遠回りしたことは決してムダではない。

 今オフ、大阪を拠点にして、関西地区のコースを精力的にまわっている。25年シーズン、JLPGAツアー挑戦。きっちりと成績を残すため、1Wの飛距離アップに取り組んでいる。「240-250ヤードに伸ばしたい。優勝したい、とかそういうことはあえて言葉にはしません。でも、シーズンが終わった時、シード権はとりたいと思っています」と話した。

 昨年6月、独立を宣言。コーチに頼らず、「一度、私のゴルフをしっかり整理して、自分でやってみたいと考えるようになった。これからもそのスタイルで行きます」という。創意工夫をしながら、2度目の受験で最終プロテストに合格。人生でもっとも長い4日間をすごし、19位タイで合格ラインに滑り込んだ。

 「第1日、79を叩いて大きく出遅れた。第2日、68で巻き返したけど、また第3日が思うようにいかない。最終日、崖っぷちの状況から集中力を研ぎ澄まし、69のチャージで何とか…。本当に苦しかった。だけど、両親、姉がすごく喜んでくれましたね。少し、恩返しができたことが誇らしい」と振り返った。

永田 加奈恵 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 9歳からゴルフをはじめたのは、ジュニア用の遊びで使用するクラブをプレゼントされたのがきっかけ。「母から、スポーツの習い事として、水泳、空手などをすすめられたけど、ちょっと私には合わないという印象です。その中で、ゴルフだけは続けることができた。ボールを飛ばすことが楽しい。しかもクラブの芯に当たった時の感触は、言葉では表現ができないほどの快感、というのでしょうか」という。

 とはいえ、一般家庭に育ちプロを目指すのは並大抵の苦労ではなかった。「4人家族。私がプロになってツアーで活躍することが、全員の夢になった。両親はもちろん、管理栄養士で病院勤務の姉まで、食事など、体力面を支えてくれて。幸せです」と笑顔をのぞかせた。

 当初、高校3年でプロテストを受験する計画。「いちおう、テストの申し込みはした。ただ、プレーの調子がいまひとつで、直前まで迷ったけど、今の私ではとても合格できない、と判断。経費がかかるし、そんな気持ちでは合格など無理です、と大学進学を選択しました」とも。

 近畿大学経営学部スポーツマネジメントコースでは、あらゆる角度から自身を見つめ直す。永田加奈恵を商品に見立て、どうすればヒットするかまで研究。「心理学、栄養学など、一生のスキルとなりそうなことまでです。ちょっと遠回りしたけど、学びの4年間はこれからに、役立つ」と見据えた。

 QTファイナルステージではルーキーながら大善戦。タフなコンディションながら、ランキング6位と25年シーズン、JLPGAツアー第1回リランキングまでの出場権を得た。JLPGA新人戦加賀電子カップでも2位タイ。試合を経験する毎に強くなっていく印象だ。

 それにしても、西郷真央にどことなく雰囲気が似ている。「僭越ですけど、うれしい。結構、お会いした方からいわれます」。ただし、自身が目標とする選手は古江彩佳だった。(青木 政司)

永田 加奈恵 【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

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