ホストの熱い応援の中で、『冷酷』に。古巣対決に描く「勝利のカギ」

【©ジャパンラグビーリーグワン】

「年間パスを持っているのでUSJに行きました。年に3回以上行くと元が取れるんですよ(笑)」

ジムのトレーニングベンチに座った中尾隼太は、今季初のバイウィークを振り返って話した。

「ゆっくり楽しんで、次の5週間に向けていい準備ができています。昨年はイングランドに留学しましたし、帰国してからもぶっ続けでプレーしていましたから、リフレッシュの機会になりました」

開幕2連勝を果たした三重ホンダヒート(以下、三重H)だが、その後は3連敗。善戦の一方で惜しい結果が続いた。2月2日の12:10から三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で行われるホストゲームの東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)戦は、停滞した流れを断ち切るための重要な試合だ。

また、これは中尾にとって昨季まで所属した古巣との初対戦でもある。「相手はいいチームですし、質の高い選手がそろっていて、一体感もある。いまの三重Hの一員として戦えるのはとても楽しみですね。どこにチャンスがあるのか分かっている部分もあるので、少しアドバンテージもあるかなとも思います。ただ、私情を持ち込むよりは『自分の最大限の力を発揮する』ところに集中したいです」

冷静に展望を語る中尾。 そこでふと思い出されるのは、1月19日の東京サントリーサンゴリアス戦後に彼が語っていたコメントである。それは「BL東京は友達がたくさんいるチームですけど、冷酷になって戦いたい」というものだった。その「冷酷」の具体的な意味とは何か。

「メンタルでスキを見せないこと。相手にダメージを与えられる場面やチャンスを見逃さないこと。一瞬のプレーの強度や遂行力を落とさないこと。それが『冷酷』という表現になります。ゲームプランを明確にして、あとはスキルとフィジカルと気持ちを整えて、本番では大胆に思いっきりやる。ホストゲームですし、鈴鹿のファンが僕たちをサポートしてくれます。それらのすべてをパワーにして、怯まずに真正面から向かっていきたいです」

三重交通G スポーツの杜 鈴鹿は、陸上トラックがなくコンパクトな造りで、グラウンドと観客席が近い球技専用スタジアム。三重Hのファン、通称『HEATER(ヒーター)』による応援の声も会場全体を突き抜けるように響く。中尾は「味方」となった鈴鹿の後押しについてこう語る。

「会場は広くないですが、そのぶんファンが近くで応援してくれますし、その声がとても大きくて熱いんです。ホストゲームの場所が頻繁に変わるチームもありますが、僕たちはいつも鈴鹿でプレーしているので『ここはホームなんだ』という感覚が強くなりますね」

熱さの中で冷酷に。『HEATER』の応援を背にした三重Hは、昨季の王者・BL東京を相手にV字回復のきっかけをつかむことができるだろうか。

(籠信明)

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