差を分けたのはキックの差。強風の試合に勝ち、新たに吹き始めた“風”

【©ジャパンラグビーリーグワン】

好天に恵まれた試合だったが、それでもAGFフィールドには80分に渡って強い風が吹き抜けていた。前半は日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)、後半は九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)と、風上に立ったほうが優位に試合を進めていく展開になった。

風は味方につければ大きな力になる反面、ゴールキックでは風上・風下に関係なく、キックの軌道に影響を及ぼす。

後半15分、加藤誠央のトライで21対22と1点差に詰め寄った九州KVに大きな局面が訪れた。タッチライン付近でのコンバージョンキック。決めれば逆転というプレッシャーの掛かるシチュエーションであり、しかも角度と風を考えれば、極めて難しいキックだった。萩原蓮はこのキックを成功させ、九州KVがスコアをひっくり返した。

拮抗した紙一重の勝負を分けた要因の一つは、コンバージョンゴールとペナルティゴールを合わせて、6本のゴールキックをすべて成功させた萩原のキックにある。日野RDも九州KVも、トライ数は同数の3。つまり最終スコア30対25の5点差はトライの差ではなく、コンバージョンゴールとペナルティゴールの差だった。

日野RD戦に向けた1週間の練習の中で、萩原は自分自身のキックを徹底的に見直したという。

「これまではショットクロックの時間を気にし過ぎて、肩が開き、上体が起きて、自分のフォームが崩れていることに気づきませんでした。そこで一旦時間を気にせず、今日は風が強かったので、少し右や左に蹴ろうというのはありましたけど、第一に意識していたのは、自分のフォームで蹴れるかということでした。それが結果につながったと思います」

九州KVが挙げた30得点のうち、半数にあたる15得点をキックで叩き出した萩原はプレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いた。

もちろん開幕戦以来3試合ぶりの勝利に課題がなかったわけではない。それでも、日野RDの猛攻に耐えた終盤の粘り強いディフェンスや、大けがから復帰した齊藤剛希が攻守において新たなパワーをもたらしたことをも含めて、連敗を断ち切った九州KVにはポジティブな風が吹き始めていた。

(鈴木潤)
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、ラグビー日本最高峰リーグです。 日本代表選手や海外のスター選手が数多く在籍し、世界トップレベルのラグビーをご覧いただけます。 ラグビーファンの方も、ラグビーの試合をまだ観たことのない方も、ラグビー観戦は決して難しいものではありません! 2024-25シーズンのスローガンは「Welcome to Rugby 世界最高峰の熱狂を一緒に楽しもう」。 お一人さまでも、ご家族・友人と一緒でも、それぞれの「リーグワン」をお楽しみください。スタジアムでお待ちしています!

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント