大学選手権決勝!早稲田大学のTRY分析

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チーム・協会
【これはnoteに投稿されたRugby Analyzerさんによる記事です。】

大学選手権決勝

2024年の大学ラグビーシーズンも佳境を迎え、残すは1/13の決勝のみとなりました。対戦カードは早稲田大学vs帝京大学。関東大学対抗戦で凌ぎを削った両校同士の戦いで、対抗戦のレベルの高さを感じます。

リベンジに燃える帝京vs完全優勝目指す早稲田

両校は11月の対抗戦で対戦しており、48-17で早稲田が勝利している。そのゲームでは、早稲田のSO服部選手によるロングキックがはまり、帝京BK3含むバックフィールドのケアに少し課題が出た内容であった。エリア的に帝京自慢のFWにとっては前出れないシーンが続いたことが印象的だ。ただ、対抗戦後半から現在まで、帝京のFB小村選手が復帰しており、安定感とボールを持たせる脅威が組み合ったことで、全く前戦と異なっているように思う。また、学生スポーツにおいての2か月間は見違える成長を見せること少なくないため、今回の決勝では互いに別チームと考えると非常に勝敗が読めない戦いである。
この記事では、両チームのTRYパターンを分析し、互いの戦い方を予想するとともに、強みや弱みを定量的根拠から書いてみようと思う。

早稲田のTRYパターン

早稲田の「TRYに至るパターン」

対象としたのは、対抗戦第3節から選手権準決勝までの7試合。
(VS67-0青山学院、48-17帝京大学、57-3慶応義塾大学、44-7筑波大学、
27-24明治大学、53-10近畿大学、31-19京都産業大学)
total平均スコア

7試合の平均対戦スコア 【Rugby Analyzer】

上記のように高い得点力と最小限に抑えるDF力が光った。現代ラグビーでは、両チーム合計50点ほど動くことが相場とされる中で、その半数を占めることで、勝利の確立は大きくなると言える。個別で見ていくと、準決勝の京都産業大学戦では、後半にスコア的には追い上げられる展開ではあったが、25点をいち早く超えることができた時点で、ある程度勝敗に関して決まっていたと感じる。

次に、7試合の中で早稲田大学が獲得したTRY数は47回であった。(カウントミスしていたらごめんなさい、、)
今回は、TRYが発生した際の ➀開始エリア②開始PLAY③TRY位置④Phase数
上記の4観点で分析してみた。

まず➀開始エリア

【Rugby Analyzer】

開始位置は4分割で、自陣ゴールライン~自陣22mライン(Redゾーン)、22mライン~ハーフウェイライン(Yellowゾーン)、ハーフウェイライン~敵陣22mライン(Greenライン)、敵陣22mライン~トライライン(Blackゾーン)に区画してみました。


【Rugby Analyzer】

結果として、Green,Blackゾーン開始が75%、Yellow,Redゾーン開始が25%を占めていました。一般的な開始ゾーンの割合として敵陣(Green,Black)77%自陣(Yellow,Red)23%であり、かなり平均的な数値であること分かりました。少し特徴的なのはRedゾーンからのTRYも生まれており、自陣から一気に持っていける力=TRYレンジが大きいことが特徴であると感じました。
TRYレンジが広いチームに対してのゲームプランとしては、テリトリーを意識してもそこからスコアされてしまう可能性が大きくなるため、比較的ポゼッション重視で自らボールを保持することとの天秤をかけてプランを組むことがセオリーだと考えます。

次に②開始Play

LO(ラインアウト)KC(キックカウンター)TO(ターンオーバー)SC(スクラム)P-Tap(ペナルティータップ) 【Rugby Analyzer】

一般的にLO,SCのストラクチャーで65%~70%、TO,KCなどのアンストラクチャーが30%~35%を占めることが多い。そこからひも解くと、早稲田のTRYに至っているパターンは概ね平均的で、ストラクチャーでもアンストからでも崩すことができていると見れる。ただ、早稲田のイメージから考えるに、ストラクチャー起点が66%あることは多いような印象を受け、モール、スクラムでの圧力やシーケンスで取りきっていることが分かった。ここに対して帝京はモールの対策、そもそもLO発声させないようなゲームプランを遂行できるか見どころです。

さらにLOだけに限ってみてみると、

【Rugby Analyzer】

ラインアウトの枚数別にみると、ALL面が42%、5面(一部6面)が58%であり、所謂ショートラインアウトが多かったこと見えてきました。BlackゾーンではALL面、それ以外のエリアがショート面といった形で構成されているので、ある種いつ全的な形であると言えます。ただ、ショート面でモールを組んだり、ALL面からフェイクモール、ピールオフ、など試合ごとに変化をくわえることも多く、帝京戦でも準備しているのか注目です。




3つ目に③TRY位置

【Rugby Analyzer】

外(主にBKの展開、外にボールを運びTRY)内(主にFWでの突破やBKが縦に抜け出してのTRY)M(モールでのTRY)をカウント。
およそ60%が外でのTRYであり、1331の形で外に繋ぐ形が多く見られた。また、順目にFWが回りながら、SO中心に逆目を狙う意図があり、両サイドへのTRYが増えた要因となった。

最後に④Phase数

【Rugby Analyzer】

4Phase以内のTRYが60%近くあり、比較的少ないPhaseで取りきっていました。モールでのTRYも一定数あり、ラインアウトモール起点でスコアしていました。さらに、ラインアウトからのシーケンスアタックも効果的で、3.4PhaseでTRYまで至るシーンが多くありました。

さいごに

今回は早稲田大学のTRYに至る特徴を見てきました。TRYレンジが広くラインアウトを軸にワイドにボールを動かし少ないPhaseで取る形が多いこと分かりました。ただ、今回分析しているのは「TRYに至った際のみ」であり、結果からの考察でかなりトップダウン的な分析法であるため、細かくみていく必要があると言えます。例えば、結果的にラインアウトから半数生まれていたが、そもそものラインアウト数に対してTRYになったCVRを考えなければ、ゲームプランの良し悪しは言い切れないと考える。そのため、各プレーのCVRも大切にしながら、組み立てること大事だと述べておきたい。


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