ジャンク5・島拓也 (後編)  「代表経験を活かして競技の魅力を伝えていきたい」Baseball5の未来を創造する伝道師に

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【©白石怜平】

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(※本記事は前後編の後編)


侍ジャパンBaseball5代表の主将を務めている島拓也選手(ジャンク5)。

「第1回 WBSC Baseball5ワールドカップ2022」で代表入りして以降、国際大会で日本の躍進を牽引してきた。

所属するジャンク5の一員としても日本選手権の初代王者に輝くなど、日本でも競技の活性化に何役も買っている。

島はチームとして行っている競技普及そして、日本が未来でも世界で勝つために何をすべきかに目を向けていた。

後編では、島選手が考える競技の未来について焦点を当てていく。


(取材 / 文:白石怜平、以降敬称略)

競技普及でフォーカスした”なぜ自分は続けているか”

チームは一般社団法人「ジャンク野球団」という組織の特性や、代表の若松健太・侍ジャパンBaseball5代表監督が桜美林大学准教授であることを活かし、教育とリンクさせた普及活動を行っている。

毎月実施している町田市および周辺地域の小中学生を対象にした教育プログラムの他、特別支援学校へ訪問し体験を通じた出張授業を展開しており、島も積極的に参加している。

行動の原動力は、Baseball5をよく知るからこそ感じる課題があった。

「競技人口がまだ少ないと感じるので、どう拡げていくか。そのためにまずは体験をしてもらいたいですし、先に踏み込んで”やってみたい”と感じてもらってもやる環境が少ないのが現状です。

我々も手探りの中やっていますが、すぐ数字などで成果に現れるものでもないです。ただ、何か一つのきっかけで大きな変化が起こるかもしれないので、すぐ辞めては絶対にいけないですし、辛抱強くやっていこうと思っています」

子どもたちにBaseball5の魅力を率先して伝えている 【©白石怜平】

島も今後前向きに活動を続けようとする中で、ある逆算をした考えを持ったことがヒントになっているという。

「今Baseball5に取り組んでいる選手の人たちが”なぜ始めて、今も続けているのか”にフォーカスしようと思ったんです。

私の場合はまずやってみて、『このチームで勝ちたい』と思えることができて、今も楽しいから続けている。魅力に気づける機会を創らないといけないと考えました。

その機会をどうやったらできるか。やってみたら楽しいと思ってもらえる機会をどう作るかだと思っています」

現在はチームの拠点がある町田市を中心に、オファーがあった学校を訪問しながら活動を行っている。今後の展望について語った。

「ジャンクという組織を活用して全国を回って大会をやってみたいです。後は、少年野球の開会式で参加チーム同士でBaseball5をやるのもいいなと考えています。

実際に体験するとみんな”楽しい!”と言ってくれるので、野球をやってる子たちも楽しいと気づいてくれるのではと思います」

体験する場をより多く創りたい考えを持っている 【©白石怜平】

日本が「実は遅れている」と感じたこととは?

島たちにとって来年は、国内で競技を盛り上げる一年になる。

2年後に向けた土台づくりとして自身の経験を最大限に活かしたい想いを抱いている。

「ワールドカップに出たメンバーはすごくいい経験ができたと思います。世界一になるためのエッセンスをキューバから学ぶことができた。

ここからどうしていくかは2年後に向けて、今からみんなと共有しながら底上げしていきたい。代表のキャプテンをやって世界で戦ったので、なんとか力になりたいと思っています」

自身の経験を未来に還元していく(9月撮影) 【©白石怜平】

10月に参加したワールドカップで、他国の選手たちを見て感じたことがあった。実は、それが日本の課題でもあったことに気づいたという。

「今回他国を見た時にユース年代の選手がとても多かったんです。メキシコは全員20歳以下でしたし、フランスも半分はユース選手でした。

女子選手でMVPに輝いた選手(GONZALEZ COLLAZO Haila)もユースのワールドカップに出ていました。なので日本はユース選手の普及や育成が遅れているんです。

野球の国である日本がBaseball5で劣ってはいけないと思います。高校生も五輪を目指してほしいですし、私はワールドカップで感じた他国の熱を日本でももたらすためにお手伝いしたいと考えています」

世界を見たからこそ、Baseball5の灯を照らし続ける 【©白石怜平】

代表主将として2年間全力で駆け抜けてきた島。野球そしてBaseball5としての競技人生はまだまだ続いていく。

未来の描く姿について、最後に語ってもらった。

「選手としては2大会連続でワールドカップでの経験がありますので、トッププレイヤーの考えを持ちながら、プレーすることはやめたくないです。

どう普及につながるかを考え続けながら、私の場合は”侍ジャパンBaseball5代表”という看板を活かすことが強みになるので、それを持って競技の魅力を伝えていきたいですし、プレーもそう心がけていきたいです」

今回世界を戦ったメンバーたちが伝道師となり、今後もBaseball5の魅力を発信し続ける。島はジャンク5の看板と共にその先頭を走っていく。


(おわり)
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著者プロフィール

「Homebase」は、全日本野球協会(BFJ)唯一の公認メディアとして、アマチュア野球に携わる選手・指導者・審判員に焦点を当て、スポーツ科学や野球科学の最新トレンド、進化し続けるスポーツテックの動向、導入事例などを包括的に網羅。独自の取材を通じて各領域で活躍するトップランナーや知識豊富な専門家の声をお届けし、「野球界のアップデート」をタイムリーに提供していきます。さらに、未来の野球を形成する情報発信基地として、野球コミュニティに最新の知見と洞察を提供していきます。

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