新競技名・座位バレーボールになって初の日本選手権! 2026年秋のアジアパラに向けて選手たちが決意

チーム・協会

【photo by Hiroaki Yoda】

12月14日、15日の2日間、座位バレーボール国内クラブチームの日本一を決める「日本座位バレーボール選手権大会」が開催された。

床に臀部(でんぶ)の一部が常に接触したまま行うバレーボールは、パラリンピックやアジアパラ競技大会でもおなじみの競技。これまで、国内では「シッティングバレーボール」、「バレーボール(座位)」などと呼ばれていたが、日本パラバレーボール協会はことし10月、「座位バレーボール」に競技名を変更。「座位バレーボール」となって初めての日本選手権だった。

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岡崎中央総合公園の武道館で開催された「第26回日本座位バレーボール選手権大会」 【photo by Hiroaki Yoda】

男子は11チーム、女子は8チームが参加

11チームが出場した男子はSoul(魂)が千葉パイレーツの7連覇を阻んで優勝。8チームが出場した女子は東京プラネッツ女組が2年ぶりの優勝を果たした。

この大会は2018年から2022年まで東京の武蔵野総合体育館で行われていたが、昨年は静岡県浜松市、今年は愛知県岡崎市で行われた。

兵庫県姫路市を拠点とするSoul(魂)は男女別2つのチームで出場したが、東京で大会が開催されたときは人数が揃わず、混合チームで出場していたこともある。「男子選手が増えたこともあるが、開催地が近くなって車で大会に参加しやすくなった」とは、女子チームの西家道代。昨年は女子チームが、今年は男子チームが優勝するなど結果を残し、盛り上がりを見せている。

中部地方唯一のチームであるパラだに浜松の中野 【photo by Hiroaki Yoda】

一方、本大会が開催された愛知県には座位バレーボールのクラブチームはなく、中部地方にあるチームは、男子日本代表としてロサンゼルスパラリンピックを目指す中野琢也が立ち上げた「パラだに浜松」ただひとつだ。2026年10月には愛知県を中心に、愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会が行われることが決まっている。日本パラバレーボール協会の河合修代表は、「名古屋市障害者スポーツセンターで講習会を開くなどの普及活動をしている。来年度はぜひ愛知の参加チームを増やしたい」と話し、この機会に愛知県やその周辺への普及を期待している。

東京プラネッツ女組の波田みかも、「アジアパラが楽しみ」と話すひとりだ。2023年の杭州アジアパラ競技大会(中国)では日本代表選手団の旗手を務めた。

2026年のアジアパラは、相手を惑わせる頭脳プレーができるセッターとして、3位だった前回大会からの上昇を目指す。

優勝した東京プラネッツ女組の波田 【photo by Hiroaki Yoda】

「(前回2位だった)イランに絶対勝って順位をなんとか変えたい。ぜひ日本の皆さんにこの競技を観にきていただき、競技を知ってほしい。生で観ないとわからないことは本当にたくさんあるし、生で観たら感じる迫力も全然違うはず。ぜひ会場に足を運んでもらえたら嬉しいなと思います」

今大会は準優勝だった千葉パイレーツの田澤隼は、男子日本代表で主将を務める。

男子日本代表の目標は、2028年に行われるロサンゼルスパラリンピックのメダル獲得だが、その道中にあるアジアパラでも「メダルを獲りたい」と力強く話す。

強豪は、イラン、中国、カザフスタン。高さのある相手に対応できるよう「月2回の合宿では、高いところからボールを打ってもらうなどして、レシーブを強化している」。

主将としては、「今、どこを目指していくかの共通認識を作っているところなので、そこは大変なところではあるが、少しずつ形になってきていると思う。今後の海外遠征でしっかり形にできればいいなと考えています」と語った。

男子日本代表キャプテンでもある千葉パイレーツの田澤 【photo by Hiroaki Yoda】

アジアパラではウォーミングアップ会場に

そんな日本代表の活躍が期待されるアジアパラの座位バレーボールは、岡崎中央総合公園・総合体育館で行われる。

体育館は現在工事中で、今回の日本選手権は総合体育館の隣の武道館で開催。武道館はアジアパラではウォーミングアップ会場になる。

工事中の体育館(左)と武道館(右) 【photo by Hiroaki Yoda】

プレーした感想を選手たちに聞くと、
「アジアパラの練習コートと聞いていた。ボールが見やすく、施設も使いやすい」(田澤)
「ロッカールームなどはまだ使用できていないが、トイレはすごくきれいで広いのもいい。試合のときは結構トイレも混んだりするので」(波田)
と、おおむね好評だった。

若い選手が増えているという日本代表の主軸・田澤(左) 【photo by Hiroaki Yoda】

しかし、コートと観客席を移動するエレベーターが1基しかなくて不便だと選手たちは口をそろえる。

日常生活で車いすを使用する、女子日本代表の主将、西家は「(左膝が曲がらない)私のような車いすユーザーが乗ると、立っている人もあと1人しか入れない。施設のバリアフリー面で気になるところはないが、エレベーターが少し心配」と話した。

来年の日本選手権は、工事を終えた本番会場で開催予定。導線の確認も含め、選手たちのいいシミュレーションになるはずだ。

アジアパラで目指すのは決勝進出! 「座位バレーボールの知名度を上げていきたい」と西家 【photo by Hiroaki Yoda】

text by Asuka Senaga
photo by Hiroaki Yoda

※本記事はパラサポWEBに2024年12月に掲載されたものです。
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