借金「42」で最下位。今井達也&武内夏暉が先発の柱に【埼玉西武ライオンズ2024:投手編】
埼玉西武ライオンズ・今井達也投手、武内夏暉投手 【写真:球団提供】
2024シーズンは、49勝91敗3分、勝率.350で最下位を独走。5月26日には松井稼頭央監督が休養し、渡辺久信監督代行が指揮を執る。しかし、貧打は改善されず、チームは下降線をたどった。それでも、ルーキーの武内夏暉投手ら一軍デビューを果たした若獅子も多く、一筋の光が見えた2024シーズン。投手編、野手編に分けて今季を振り返りたい。
自身初の開幕投手を務めた今井達也 最多奪三振のタイトルを獲得
3月29日の東北楽天戦。開幕投手を務めたのは今井達也投手だった。春先の肌寒い空気が包む杜の都で、7回116球2安打1四球11奪三振無失点の熱投を披露。開幕戦勝利へチームを導いた。シーズン序盤は、打線の援護が少ないながらも粘りの投球でチームを鼓舞。4月は4試合に登板し、月間防御率0.96を記録した。シーズン中盤は打ちこまれる試合もあったが、登板した全試合で5回以上を投げぬく。20度のQS、ならびにQS率80%はリーグ3位。
シーズン終盤にかけ再び調子を取り戻し、10月1日の本拠地最終戦では130球の力投で完封勝利。最終的に10勝8敗、防御率2.34の成績をマークした。リーグ最多の187奪三振で、自身初タイトルとなる「最多奪三振」を獲得。チームが苦しい中、1年を通してローテーションを守り切った。
シーズン終盤にかけ再び調子を取り戻し、10月1日の本拠地最終戦では130球の力投で完封勝利。最終的に10勝8敗、防御率2.34の成績をマークした。リーグ最多の187奪三振で、自身初タイトルとなる「最多奪三振」を獲得。チームが苦しい中、1年を通してローテーションを守り切った。
堂々たるマウンドさばき ルーキー・武内夏暉が2桁到達
ドラフト1位ルーキー・武内投手は、先発の柱としてチームに貢献。4月3日のオリックス戦で初登板初先発を果たすと、7回無失点の好投で初勝利を手にする。その後も安定した投球を披露し、5月には4戦3勝、防御率0.63で月間MVPにも輝いた。夏場には調子を落とすも、9月に復調。9月16日の千葉ロッテ戦では、7回まで完全投球で初の完封勝利を挙げる。そして9月30日の北海道日本ハム戦を8回無失点でまとめ、2桁勝利&規定投球回到達を決めた。10勝6敗、防御率2.17でシーズンを完遂。借金50の最下位に沈んだチームで、4つの貯金をつくる大活躍を見せた。
隅田知一郎投手は2桁勝利こそ逃すも、規定投球回に到達。年間を通じてローテーションを守り、9勝を挙げた。6月12日の広島戦ではマダックスを達成。8月14日の福岡ソフトバンク戦では、6回1失点と気迫の投球でチームの連敗を「8」で止めた。11月には侍ジャパンにも選出され、救援として快投を披露。武内投手とともにドラ1左腕コンビが、埼玉西武の先発陣をけん引した。
若獅子の奮闘も。高卒投手陣が一軍デビュー
ルーキーイヤーの昨季は、主にリリーフとして39試合に登板していた青山美夏人投手。今季は先発として6試合に登板した。7月17日のオリックス戦では緩急を生かしたピッチングで、9回3安打無失点の好投を披露。プロ初勝利を初完封で手にした。
高卒3年目の羽田慎之介投手は、5月14日の北海道日本ハム戦で救援でプロ初登板。1回1失点のほろ苦いデビューとなったが、6月26日の北海道日本ハム戦で1回無失点で初ホールドを記録する。9月14日の千葉ロッテ戦では先発登板、敗戦投手となったが、5回1失点の粘投を披露。9月26日の福岡ソフトバンク戦では、1イニングを無失点に抑える好リリーフを見せ、プロ初勝利が舞い込んだ。
同じく高卒3年目の菅井信也投手も一軍デビューを果たす。6月2日に支配下登録を結ぶと、同6日の東京ヤクルト戦で5回2失点の内容。8連敗中と重苦しい雰囲気の中迎えた7月15日のオリックス戦では、7回無失点の好投でプロ初勝利をマークした。
また、大卒1年目・上田大河投手も頭角を現した。6月5日の東京ヤクルト戦で4番手としてプロ初登板。その後も救援として一軍で腕を振った。シーズン終盤の9月28日(千葉ロッテ戦)では、プロ初先発も経験。17試合に登板し、防御率2.70をマークした。
アブレイユ&佐藤隼輔が健闘も……課題の見えた救援陣
先発陣が健闘したのに対し、救援陣が粘り切れないケースが目立った。しかしその中でも、佐藤隼輔投手が活躍。45試合に登板し、防御率1.69と数字を残した。また、新外国人のアブレイユ投手は28セーブをマーク。チームの勝利の7割近くを、アブレイユ投手が締めたことになる。終盤は平良海馬投手がブルペンに加わり厚みを増したものの、クローザーにつなぐまでの投手が固定できなかった。
高橋光成ら復活が期待される投手たち
これまでエースとしてチームをけん引してきた高橋光成投手は、苦しいシーズンに。コンディション不良で開幕から出遅れると、復帰後も調子が上がり切らなかった。先発としての役割を全うする試合もあったが、打線の援護なく白星はつかず。0勝11敗、防御率3.87でシーズンを終えた。
松本航投手も苦しんだ1年になった。先発としてシーズンを迎えるも、チーム事情もあり救援に配置転換。しかし慣れないポジションで自身の投球ができず、34試合に登板し防御率3.93に終わった。福岡ソフトバンクから加入した甲斐野央投手はケガの影響もあり、19試合の登板に。2022年に最優秀中継ぎのタイトルを獲得した水上由伸投手も、29試合に登板して防御率5.28と振るわなかった。
来季から指揮を執る西口文也監督は、渡辺久信氏以来の投手出身の監督となる。自身の経験を踏まえ、粒ぞろいの投手陣をどのように操るのか。ポテンシャルの高い選手たちが揃っているだけに、起用法に注目が集まる。
文・谷島弘紀
来季から指揮を執る西口文也監督は、渡辺久信氏以来の投手出身の監督となる。自身の経験を踏まえ、粒ぞろいの投手陣をどのように操るのか。ポテンシャルの高い選手たちが揃っているだけに、起用法に注目が集まる。
文・谷島弘紀
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