大阪体育大学ダンス部が単独公演「おいしいを感じる身体」 人生の経験を味わう~サッカー部とも共演

大阪体育大学
チーム・協会
 大阪体育大学ダンス部の第49回単独公演が11月30日、大阪府高石市のアプラホールで開催された。テーマは「おいしいを感じる身体」。会場の450席を埋めた観衆は、バリエーションに富んだ美味な14作品を堪能した。

【小西祥平】

 ダンス部は男女15人。部長・監督の白井麻子教授(舞踊学・身体表現)、コーチの森田玲子講師(舞台芸術<舞踊創作>)らの指導を受ける。練習場の第2体育館は、片側1面が鏡で、舞台照明はUSJも手掛けた照明会社が整備した。
 部員はコンテンポラリー(創作)組10人、リズム組5人に分かれる。作品は、学生自ら創作し、白井教授らのアドバイスを受けながら練り上げる。

おいしいを感じる身体 【小西祥平】

 8月の全日本高校・大学ダンスフェスティバル神戸では、新境地を切り開く独創的な発想の探求に対して贈られる神戸市長賞を受賞した。受賞作は「偶然か、運命か~人生双六(すごろく)の遊び方~」。日本の遊びの文化に、誕生・入学式・コロナ禍など多様な人生模様と盤上のマスをリンクさせ、人生ゲームのように楽しめる作品だ。サイコロの目によって即興的に踊りが変わり、人生での偶然性を表現した。
 この作品の原点は「皺(しわ)」だった。
 ダンス部では、今年2月から全国大会に向けた創作が始まったが、3年生の加藤想大さん(興國高校)、荒智太郎さん(芦屋学園高校)、田中結さん(樟蔭高校、いずれも体育学部)が「皺には人生の経験や苦労が刻まれる。その美しさテーマにしたい」と提案した。白井教授らの指導を受けて部員全員がフェスティバル神戸に向けて作品を創作する中で「皺だけでは表現が難しい。じゃあ、いいことも苦労も様々な人生模様をテーマに、ゲーム的な要素も取り入れて、人生は与えられた運命なのか、自分で引き寄せた運命なのかも考えよう」と作品を練り上げていったという。
 白井教授は「他にはない着眼点が作品の新境地につながった」と話す。フェスティバル神戸では、審査員から「舞台上でまるで遊んでいるかのように踊り、上演の度に印象が変わる独創的な作品。技術力、構成力の高さがなければできない本物の面白さに脱帽」「不透明な時代だからこそ底抜けの明るさが強く光を放った」などのコメントが寄せられた。

偶然か、運命か~人生双六の遊び方~ 【小西祥平】

 単独公演のテーマにもなった作品「おいしいを感じる身体」も加藤さん、荒さん、田中さんが創作した。「皺」「双六」からつながり、1年を通してテーマにしてきた「経験」を味わうことに焦点を当てた。作品のメッセージは「息詰まり涙の味がした日もある。喜びに酔いしれた日もある。どんな出来事もガブッと噛み締め、味わえる身体であれ」。3人をはじめ11人が全身で表現した。

 公演は、これまで1、2、3部構成だったものを、レストランのメニューとして「ワイワイコース」「トキメキコース」「スペシャルコース」に変え、「おいしい」で統一された。幕間でのシェフとウェイターの軽妙な掛け合いも好評だった。

【小西祥平】

 15人のダンス部で男性は2人だが、男性の存在は大きい。ジャンプなど身体能力のほか、女性と並ぶことで女性のしなやかさがより引き立つ。ミュージカル志望の加藤さんは幕間のウェイター役も含めてエンターテインメント性が高い。荒さんは作品の音楽・デジタル編集なども受け持ち、感性にあふれる。
 加藤、荒さんとともに「おいしいを感じる身体」を創作した田中さんは、長い手足を活かして身体表現力が高く、11月の横浜ダンスコレクション2024で新人部門のファイナリストに選出された。田中さんとともに横浜ダンスコレクションに出場した武藤光由さん(体育学部2年、光ケ丘女子高校)も今後が注目されるダンサーだ。

 また、単独公演では、サッカー部男子と3年連続でコラボした。8月のフェスティバル神戸でも参加した4人を中心に、約20人が昨年以上に本格的に演技した。新体操部4人も昨年に続いて演技した。
 白井教授は「単独公演では3つの新作を発表した。夏のフェスティバル神戸で新境地を切り開く作品として評価されたことで、新しいことをやってみたいという学生の意欲が、ポジティブに単独公演にも継続されたと思う」と学生の挑戦心を評価。「今後もダンス部では、創造性、表現力が高く、思考できる身体をつくることを目標にしていきたい」と話している。

【小西祥平】

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