延岡学園は「U18日清食品 九州ブロックリーグ2024」のラスト2試合を残して、5勝1敗で上位に食い込んでいました。11月30日、自分たちの前に試合を行っていた首位の県立美来工科が敗れて逆転優勝のチャンスが生まれましたが、ここで九州学院（熊本県）に敗れてしまい、最終日には柳ヶ浦（大分県）にも敗れ、5勝3敗の4位で大会を終えました。

今年の延岡学園は苦戦が続いています。夏のインターハイでは選手が6人しかいない和歌山南陵（和歌山県）に逆転負けを喫しました。それから多くの試合で、序盤は優勢でも相手の反撃を浴びると慌てて本来のプレーができなくなり、立て直せないまま逆転される負けを何度も喫しています。

結果を出せないことで自信をつかみきれない今の延岡学園を、楠元龍水ヘッドコーチは「強いようで弱いチーム」と表現します。それでも、このチームが本来持つポテンシャルを発揮するためには、「結局のところ、コート上の選手たちが覚悟を決めてやるしかありません」と若き指導者は選手の奮起に期待しています。

「U18日清食品 九州ブロックリーグ2024」では開幕から3連勝と強さを見せ、11月4日に行われたウインターカップ予選の決勝では、宮崎工業（宮崎県）に後半に逆転されながらも、残り16秒で逆転して1点差の勝利をもぎ取りました。過去の悪い流れを重要な試合で立ち切ったことでチームの士気は高まっており、「U18日清食品 九州ブロックリーグ2024」でも結果を出して、自信を高めるつもりだっただけに、ラスト2試合に敗れたのは悔しい結果でした。

このチームを引っ張るのは内田悠介選手です。191cmのサイズと強靭なフィジカルを備えた内田選手は、この1年で外からのドライブや3ポイントシュートも身に着けてオールラウンドな選手へと成長しましたが、やはりプライドを持っているのはインサイドでのプレーです。「外のプレーをやらせてもらうことが増えたので、そこは自分の成長だと思っていますが、やはりこだわっているのはインサイドでの強いプレーです」と、彼は自分のプレースタイルを語ります。

205cmの高さを誇る留学生プレーヤー、ンジェ・シェキの能力をより引き出す意味でも、フロントコートでコンビを組む内田選手のパワフルなプレーと外回りもこなす多彩さが周囲と噛み合うことがカギになります。自分のパフォーマンスにはほとんど関心を持たず、「チームの闘志にどうやって火をつけるか」を考える内田選手は、攻守両面で効果的なプレーをしてチームを引っ張ることが解決策になると信じています。

延岡学園では3人いるキャプテンがそれぞれのスタイルでリーダーシップを発揮しますが、その一人である内田選手は力強いプレーでチームを引っ張ろうとしています。悔しい負けが続いても屈することなく、自分にできることは何なのかを追求する内田選手には、楠元ヘッドコーチも「精神的な成長がすごく大きいです。あらゆる意味でチームになくてはならない存在に成長しました」と、揺るぎない信頼を寄せています。

延岡学園では、ディフェンス、リバウンド、コミュニケーションの3つを『原点』と呼んでいます。内田選手は自分たちの弱さを払拭するために、その『原点』をあらためて大切にしようとしています。「ディフェンス、リバウンド、コミュニケーション。この『原点』を大事にして、上手くいかない時こそ『原点』に意識を向けて頑張る。それができれば自分たちの力が発揮できて、負けないチームになると思っています」

「僕はチームを勝たせられる選手になりたいです。そしてチームは日本一を目指していますが、『日本一応援されるチーム』を目指してもいるため、見る人に何かを感じてもらえる試合がしたいです。自分たちの原点を大事にして、激しいディフェンスからブレイクを出す。ウチは留学生も走ってくれるし、僕もビッグマンですがリムランだけでなくスペーシングを取ったり、チームのために率先して走ります」