投球の95%がストレート&フォーク。セットアッパー・藤平尚真の強みは?

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東北楽天ゴールデンイーグルス・藤平尚真投手 【写真:球団提供】

 横浜高校から2016年ドラフト1位で東北楽天に入団した藤平尚真投手。先発からリリーフに転向して臨んだ8年目の今季は5月に腰の違和感で一時離脱するも、後半戦は勝ちパターンとして定着。47試合で防御率1.75、奪三振率11.27の好成績をマークし、チーム3位の20ホールドを挙げた。

ストレートとフォークの2球種で勝負

藤平尚真投手 球種別投球割合 【ⓒデータスタジアム】

 リリーフ転向による最も大きな変化は、球種を絞ったことだ。昨季の藤平投手は全投球の半分がストレートで、残り半分が3種の変化球というオーソドックスな球種配分だった。しかし今季はストレートの割合を62.0%まで増やし、変化球はほぼフォークのみ。この2球種で全投球の約95%を占めていた。今回は、右腕の躍進を支えた2球種について、それぞれの特徴を掘り下げてみたい。

短いイニングに専念し、ストレートの球速が大幅アップ

藤平尚真投手 ストレート平均球速 【ⓒデータスタジアム】

 まずは、藤平投手が「自分の武器」と語るストレートから見ていこう。長いイニングを投げる前提の先発から1イニングに全力を使えるリリーフに回ったことで、平均球速は前年の146.9キロから150.6キロまで向上。ストレートの球速はリーグ全体で毎年少しずつ上がっているが、その中でも際立ったスピードアップを見せた。

追い込んだ後も一貫してストレート主体のピッチング

藤平尚真投手 カウント別ストレート投球割合 【ⓒデータスタジアム】

 多くの投手は2ストライクに追い込むとストレートを減らし、変化球を増やして三振や凡打を狙う傾向にあるが、今季の藤平投手は追い込む前後でストレートの投球割合がほとんど変わらないのが特徴だ。9月2日のオリックス戦では森友哉選手、西川龍馬選手、頓宮裕真選手からストレートで3者連続三振を奪い、その球威と自信の強さを印象付けた。

フォークの使い方に注目

藤平尚真投手 フォークのカウント別ストライクゾーン投球割合 【ⓒデータスタジアム】

 次はフォークの特徴を探っていく。この球種はボールゾーンに落として空振りを誘う使い方が一般的だが、今季の藤平投手はストライクゾーンにも多く投じていることが分かる。特に追い込む前の状況では45.0%と、リーグ平均よりも6ポイントほど高くなっている。

ゾーンを問わずストライクを取れる

2024年パ・リーグ フォーク見逃し率ランキング 【ⓒデータスタジアム】

 ストレートより球速が遅いフォークをストライクゾーンに投げれば、打ちやすい球になってしまうリスクもある。ところが藤平投手の場合は、ゾーン内であっても打者が手を出さずにストライクとなる確率が高かった。ストレート主体で投球を組み立てる藤平投手に対しては、打者も基本的にストレートをマークしており、意表を突くようにフォークを投げ込むことでカウントを整えていると考えられる。

2024年パ・リーグ フォーク奪空振り率ランキング 【ⓒデータスタジアム】

 一方で、フォーク本来の長所もしっかりと発揮されている。奪空振り率は24.6%と、リーグ3位の高い数値を記録。ゾーンの内外を問わず、安定してストライクを期待できる藤平投手のフォークは、強気の直球勝負を陰で支える球種といえる。

 「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」では代表メンバーに選出され、大会最多タイとなる6試合の登板で無失点、計12奪三振の大活躍。1点リードの9回を任されたキューバ戦で、ピンチを切り抜けた際の雄たけびは記憶に新しい。来季も打者を圧倒する闘志満点のピッチングに期待したいところだ。

※文章、表中の数字はすべて2024年レギュラーシーズン終了時点

文・データスタジアム
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