ロッテ菊地 苦しんだ1年目。そして自分と向き合うことで飛躍のキッカケを掴んだ2年目

千葉ロッテマリーンズ
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新入団会見での菊地吏玖投手 【千葉ロッテマリーンズ提供】

 振り返ると周囲の期待に応えられない自分を責めたこともあった、菊地吏玖投手は2022年ドラフトの1位で専修大学からマリーンズ入り。しかし、注目を浴びた一年目となった昨年は一軍で1試合の登板のみで終わった。

 1試合に先発をして0勝1敗。それが菊地が記録した1年目の成績だった。即戦力右腕としてのファンの期待に応えられなかった。悔しさしか覚えていない一年となった。

 「1位で入って、しかも大卒だから当然、即戦力として期待をしてもらっている。周囲の期待に応えることができていないこと。そして活躍できず、求められていた仕事が出来なかったことに関して申し訳ない気持ちが大きかった」と菊地は振り返る。

 悔しさを胸に気合を入れて迎えた2年目。年始め早々からZOZOマリンスタジアムのグラウンドには体の動かす菊地の姿があった。だが今年に賭ける想いとは裏腹にシーズンが始まると一軍に昇格はするが定着できずの日々となった。夏の太陽が照りつける二軍グラウンドで悩める若き左腕は澤田圭佑投手から何度となく諭された。

 「色々と考えずに投げ切るだけ。自分が出来る事、自分のピッチングを全力でやり切るだけ」。優しい声で毎日のようにそう言ってくれた。いつしか、なにかが吹っ切れた自分がいた。

「いつもいつもそういう話をしてくれた。そうすると不思議と吹っ切れてきた」と菊地。

 そしてコーチや様々なチームスタッフと話をしながら自分なりに導き出した考え方があった。

 「今まではあれこれと考えすぎていた。一軍に上がったら、ここからずっと一軍にいたいとばかり考えていて、どこか守りに入っていた。落ちる時は落ちる。上がる時は上がる。そう考えるようにした。ピッチングに関してもこれまではキャッチャーが構えたところにしっかり投げないといけないとばかり考えていた。逆に今はコントロールをあまり気にしなくなった。ゾーンにアバウトでもいいのでガーンと投げて打者を詰まらせようと。それが持ち味かなと」(菊地)

 気持ちが変わり、ピッチングが変わった。8月3日のバファローズ戦(京セラドーム大阪)で一軍に再昇格をすると、さっそくこの日、七回から3番手として登板をして2回を打者7人、被安打1、3奪三振の投球で無失点。躍動感あふれるフォームから繰り出されるキレのあるボールで打者をねじ伏せていった。これをキッカケにその後も好投を続け、マリーンズ中継ぎ陣の大事なピースに定着した。

 「鈴木(昭汰)さんとか横山(陸人)も去年、これくらいの時期に一軍で結果を出して、今年、開幕から一軍で活躍している。自分もこのチャンスで自分らしいピッチングを首脳陣にみてもらって来年に繋げたいと思っていた」と明確な目標を口にした。

 まだ24歳。キラキラと輝く未来はここから始まると言っていい。少し立ち止まって自分と向き合い、先輩たちの言葉に耳を傾け、考え方を変えてみるとマウンドから見える景色が変わっていた。シンプルに自分が出来る事。自分のピッチングを全力でやり切るだけ。そう決めた瞬間、今まで微かにしか見えなかった成功への道がハッキリと見えてきた気がした。2年目のシーズンは20試合に登板をして防御率2・25。プロ初勝利も手にした。

 そして12月4日。今年も新入団会見が都内で行われる。希望と夢を胸に若人たちがマリーンズのユニホームに袖を通す。菊地がプレッシャーを感じ悩んだように、決して毎日が順風満帆な思い通りの日々ではないだろう。ただ、しっかりと自分と向き合って、前に進んで欲しい。苦しい経験が人を成長させる。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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