【前回大会のリベンジを!!】川崎公式なのにどこよりも詳しい(!?)山東泰山プレビュー
2月13日・20日に続いて今年3回目の対戦となる川崎Fと山東泰山 【(c)KAWASAKI FRONTALE】
中国代表クラスのタレントも豊富なカップ戦巧者
“オレンジファイヤー”の愛称を持つ山東泰山は1956年に創設された。正式にプロクラブとなったのは1993年で、1998年から山東魯能グループが出資する形で山東魯能泰山足球倶楽部に改名している。中国最初のプロリーグに加盟、1999年に当時の最高カテゴリーだった甲Aリーグで初優勝を果たした。2004年にスタートした中国超級リーグでも上位を争い、2006年に初優勝。ここまで4回の優勝を経験している。
中国の中でも、特に育成に力を入れているクラブであり、外国人指導者を招いて技術や戦術の養成に努めている。トップチームはクリザンのような外国人選手が中心を担う一方で、右サイドバックのリュウ ビンビン(劉彬彬)やサイドアタッカーのチェン プー(陳蒲)、W杯のアジア最終予選で11月19日の日本戦にもスタメン出場したシェー ウェネン(謝文能)など、中国代表クラスのタレントを自前で育てており、安定した成績のベースになっている。
GKながら背番号14を背負うワン ダーレイ。ACL通算40試合以上の出場歴を誇る実力者だ 【(c)AFC】
山東泰山はカップ戦の強さも知られており、伝統ある中国FAカップで8回の優勝を誇る。クラブ名から企業名の“魯能”が取れた2021シーズンには超級リーグとFAカップの2冠を達成した。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)では2005年に初出場でベスト8に躍進したものの、それ以降はなかなかグループステージを勝ち上がれないシーズンが続いた。コロナ禍が明けた2023/24シーズンは準々決勝に進出したが、横浜F・マリノスに敗れてベスト4を逃している。
2023年からは韓国きっての名将で、全北現代で2度のACL優勝を経験したチェ ガンヒ監督が率いているが、1-2と敗れた第2節のヴィッセル神戸戦で、右サイドバックのガオ ジュンイー(高准翼)のジェアン パトリッキに対するラフプレーをめぐる審判団への暴言に対する罰則で、AFCから6試合のベンチ入り停止処分が下されており、今節もテクニカルエリアで直接指揮することができない。それでも経験豊富な指揮官は、川崎F戦でも現場に対して影響力を発揮するはずだ。
外国人アタッカー陣には要注意
ただ、スタメンにしろ、ベンチスタートにしろ、この外国人アタッカー陣が脅威であることは間違いない。クリザンは累積警告による出場停止となるが、ゼカはどっしりと前線の中央に構えてターゲットマンとなり、周りを生かしながら鋭いフィニッシュに持ち込める。クリザンとの共通点もあるが、よりボックス内に構えている時間が多く、1トップ向きでもある。カザイシュビリはオランダのフィテッセでも主力として活躍した経歴があり、個人でチャンスを生み出せる。予選2回戦のバンコク・ユナイテッド戦で貴重な同点ゴールをもたらして、PK戦での勝利に結び付けた。セントラルコースト・マリナーズ戦では右サイドの突破から見事なループシュートを決めるなど、山東泰山では異色の創造力があり、一瞬たりとも目を離せない。
今大会では背番号10をつけるカザイシュビリ。今年2月の対戦でも脅威となり続けた 【(c)KAWASAKI FRONTALE】
そして山東泰山の象徴とも言うべき絶対的な存在が、中国代表の守護神にしてキャプテンのワン ダーレイ。2014年から在籍する最古参の一人で、ジョホール・ダルル・タグジム戦に代表されるように、ここまでACLエリートの試合でも、度重なるビッグセーブでチームを救ってきた。また、一発でビッグチャンスをもたらすロングキックも対戦相手にとって非常に危険だ。ワン ダーレイは精神的な支柱としての役割も大きく、苦しい時間帯ほどチームを鼓舞する。
山東泰山がタフな相手であることは間違いないが、川崎Fにとっても年内最後のACLエリートの試合で、8位以内でのリーグステージ突破に大きく関わる試合だ。ホームでしっかりと勝ち切って、鬼木達監督の川崎でのフィナーレとなるJリーグ最終節のアビアスパ福岡戦につなげていきたい。
文:EL GOLAZO
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