「コワレナイ」ハンナリーズ3年目の進化の兆し【B MY HERO!】

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進化を兆しを確実に感じる今季の京都ハンナリーズ 【(C) B.LEAGUE】

ディフェンスの集中力が最後まで切れない今季の戦いぶり

 10月6日開幕節Game2前半終了 京都34-51佐賀…「知ってた」と思わず呟くよく見た光景である。

 京都ハンナリーズは前日の開幕戦、2週間前の天皇杯とは見違えるようなディフェンスを見せ、佐賀バルーナーズに70-48で白星スタート。だがこの試合は佐賀のシュート確率の下振れに大いに助けられた。ただそんなことは続かない。昨年上位のチームが目の色を変えるGame2に真価が問われる。そう思って目の当たりにしたのは、1Qに大量リードを奪われディフェンス崩壊の昨シーズンと変わらない姿。

 やはり今季もか。申し訳ないが正直そう思った。だがしかし――――

 こんにちは、B MY HERO!特派員、京都ハンナリーズブースターのデリックです。2024-25シーズンも引き続き担当させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 今回は開幕してから感じた京都ハンナリーズの進化の兆しを記していきたいと思います。

エースとしてチームを牽引んする岡田侑大 【(C) B.LEAGUE】

 この試合の最終結果は71-77で敗戦であった。3Q残り1分58秒には20点差をつけられた。だがしかし、4Qに岡田侑大12得点や新加入のアンジェロ・カロイアロの連続バスケットカウントなどで最大5点差にまで猛追。さらに後半は失点がわずか26、ディフェンスが機能して最後まで見せ場を作った。

「これは昨シーズンとは違うかも」とまず感じたのはこの試合の後半だった。

 翌週、昨季王者の広島ドラゴンフライズを連破した群馬クレインサンダーズをホームで迎え撃つ。Game1は、1Qを群馬を14失点に抑えいい滑り出しを見せたが、2Q、群馬に31得点の爆発を見せられ逆転を許す。そして3Qには残り6分9秒に54-54と追いつくものの、そこからの約4分間で群馬に2-11のランを許し突き放されてしまう。3Qに崩れてそのまま為す術もなく…、これも何度も見た姿だ。

 そんなことも頭をよぎったが、この日のヒーロー川嶋勇人が「3Qの悪い流れの中で、相手に離されきらなかったことは大きかった」と試合後に語ったように、ハンナリーズはここで踏みとどまった。その川嶋のスリーなどで3Qを5点ビハインドで終えると、小西聖也の投入でディフェンスのギアを上げ、残り1分41秒、アンジェロ・カロイアロのスリーでついに逆転! 4Qを21-11でまくったハンナリーズが苦しい局面をしっかり我慢して、群馬からBリーグ初勝利をつかんだ試合になった!

 続くGame2も残り20秒で2点差に迫られる接戦をしのぎ切って74-68で勝利。スリーが不調(5/26、19.2%)だったが、1Qで失点11、3Qで失点12とディフェンスが踏ん張り、群馬のトレイ・ジョーンズに17得点と爆発を許した4Qは、チャールズ・ジャクソンのブロックショットやスティールからの速攻や、後半だけでFTを10本決めたアンジェロ・カロイアロ、ショットクロックギリギリになっても古川孝敏や川嶋勇人が決めきって応戦。そして終盤の群馬のオールコートプレスに対し、この数年ハンナリーズはこのプレッシャーに耐えかねボールを奪われる局面を多々見たが、この日は出しどころがなくなっても古川孝敏がゴリゴリと敵陣に運び、ボールがこぼれてもカバーをしてターンオーバーを許さなかった。局面局面で必要な我慢ができたハンナリーズが、昨年11月信州戦以来のホーム連勝を果たした!!

 開幕2節で勝敗だけでなく試合内容でも新たな一面を見せてくれた京都が意気揚々と乗り込んだ今季初アウェー、千葉ジェッツ戦では積み上げてきたチーム力の差を見せられ悔しい連敗となった。だがそれでも、Game1は1Q途中に12点差をつけられても前半終了時には追い付き、3Q終了時点で17点差をつけられても4Q立ち上がりのジェッツの緩みを逃さず、オフィシャルタイムアウトまでの5分半で19得点を奪い2点差にまで迫った。

 Game2は9点リードして迎えた3Qがポイントとなった。ジェッツはD.J.ホグを岡田侑大に、アンジェロ・カロイアロに原修太がマッチアップするディフェンスの前に、オフェンスが後半わずか15得点に抑えられた。それでもディフェンスは最後まで集中を切らさず、ワンチャンス掴めればあるいはという状況は保ち続けた。もちろん両日とも追い越せなかったという事実は残る。ただそれでも、昨シーズンまでなら両日とも最後は見せ場もない敗戦になっていたのではと思わずにはいられない。

3年目を迎えるロイ・ラナHC体制 【(C) B.LEAGUE】

 昨シーズン、「いったん崩れると立て直せない脆さ」をシーズン通じて解消できなかったハンナリーズだが、開幕から6試合は良くない時間があっても、1試合を通じて試合を壊したことはなく、最後まで戦えるチームに進化しつつある。

 要因と思えるものを挙げるなら、まずはディフェンスの安定。2020-21シーズンのスティール王だった川嶋勇人や、緊急補強のジョーダン・ヒース(9月にダラル・ウィリス・ジュニアがメディカルチェックの結果契約解除のため)などディフェンス力に優れた選手の加入も大きい。だがそれ以上に、既存の選手を含めチーム全体のディフェンスの足が昨シーズンより格段に動いているように感じる。数字にもそれは表れて、70失点未満の試合は昨シーズン全体で3試合だったが、今シーズンは6試合消化時点ですでに3試合。苦しいところでディフェンスで我慢したり、ディフェンスのギアを上げて追い上げたりできるようになったのが大きいように感じる。

移籍のベテラン勢がチームを後押し

経験豊かなベテランが今季は加入(左から小野龍猛、川嶋勇人、古川孝敏) 【(C) B.LEAGUE】

 もう1つは新加入のベテラン選手が持ち込んだ経験値。ロイ・ラナHC体制3年目を迎え、岡田侑大をはじめとした昨シーズンからの若い主力選手にベテラン選手を移籍で補うような編成で挑んだ今シーズン。移籍1年目でチャールズ・ジャクソンと共に主将を務める小野龍猛、試合中に本当にいろんな選手に声掛けをしてくれる古川孝敏、陽気なキャラクターと飄々としたプレーでチームを引っ張る川嶋勇人。時に気の利いたプレーでチームを救い、彼らを中心にハドルも増えコミュニケーションが取れてよくない局面でも引きずらず切り替えができているように感じる(余談ながら、昨シーズン6試合消化時点で2つあったベンチテクニカルも今シーズンはまだない)。

 最後に。この記事の大半は10月22日(火)に書いたものだが、完成したのは10月24日(木)早朝。その前日に行われたホームでの仙台89ers戦は78-82で敗戦。仙台の出足やシュートを止めきれず3Q残り1分50秒で最大23点のビハインドを背負う展開。さすがに「今日は壊れたか」と思ったが…4Qに澁田怜音の溌剌としたプレーをきっかけに猛追撃を開始! 残り21秒で2点差にまで追い上げ、「コワレナイ」ハンナリーズはこの日も健在だった。

 ただ勝てなかったのも事実、3連敗で開幕以来初めて負けが先行となった。進化は兆しで終わるのか、シーズンは始まったばかりだが最初の正念場を迎えている。ここを乗り越えて、さらなる進化を!

GO KYOTO HANNARYZ!!!!!! 

デリック(B MY HERO!特派員)

【(C) デリック】

京都ハンナリーズブースターです。実は生まれも育ちも現在住んでいるのも大阪府ですが、京都には何かとご縁がありました。チーム創設の年にふらっと見に行ったところ、マクムード・アブドゥル=ラウーフのプレーとはんなりんに興味を惹かれて見に行くようになり、当時のブースターさんの動きを見て「ここで何か面白いことが起こりそうだ」と通うようになって早幾年。今ではホームもアウェーも行けるかぎり参戦中です。

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