脇元華のショット向上に役立った畑岡奈紗と山下美夢有のプレー
【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】
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《グリーン=スティンプ:11.7フィート コンパクション:24mm》
27歳の脇元華が、自分の夢に向かって大きく近づいた。ゴルフを8歳から始めた脇元だが、当初はそれほど一生懸命に練習に励むこともなかった。ところが、小学3年時にタイで開催された米女子ツアーのホンダLPGAタイランドを観戦。宮里藍や上田桃子、ミッシェル・ウィー、ヤニ・ツェンらトッププロのプレーを見て、「自分もこのステージで戦いたい」と心に決めた。
高校卒業後はプロテストになかなか合格できず、台湾ツアーにも参戦して腕を磨いた脇元。2018年にプロテストに合格すると、19年に初シードを獲得する。ところが、21年にシード権を手放し、その後はQT上位の成績で、翌年度の出場権を得ていた。
その間、米女子ツアーに挑戦することもできたが、「日本のツアーでも勝てない選手が米国で通用するはずはないだろう」と叩かれると思い、勝つまでは米女子ツアー挑戦を封印していた。
今季は優勝こそないものの、予選落ちした試合が3試合しかなく、現在のメルセデス・ランキング35位につながっている。今大会はJLPGAツアーから35人の選手が出場できるが、ようやくその中に入ることができた。
「日本のその年のトップと海外のトップしか出場できない試合ですし、一緒に回った選手から盗めるものは盗んでおきたい」と大会前に思っていたが、第1日はJLPGAツアーメンバーの神谷そら、ペソンウとの組み合わせとなった脇元。それでも、通常のJLPGAツアーとは異なる大会の雰囲気を感じ取っていた。
【Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images】
好スコアの要因はいくつかあるが、2人の選手のプレーを見たことで良化したショットにある。1人はNOBUTA GROUP マスターズGCレディース第3日に同組でラウンドした畑岡奈紗だ。「体幹の強さに驚き、スイング軸の安定感の大切さを改めて認識しました」。もう1人は樋口久子 三菱電機レディス第2日に同組で回った山下美夢有。「傾斜からでもフラットなライから打つように常に同じスイングをしていたんです。それが安定したショットにつながると思い、自分もそのイメージで打つようにしました」。今季はショットがよかった脇元だけに、2人から盗んだイメージによって、より正確性が増したといえる。
当然、この大会に優勝すると、来年の米女子ツアー出場権を与えられることは理解している。「まだ残り3日間ありますが、仮に勝ったとしたら、もちろん挑戦するつもりです。日本で優勝してから参戦するわけですからね」と、誰からも後ろ指をさされる心配もないだけに、ぜひともこのまま逃げ切ってほしいものだ。(山西 英希)
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