【実は初対決!!】川崎公式なのにどこよりも詳しい(!?)上海申花プレビュー

川崎フロンターレ
チーム・協会

【(c)AFC】

今シーズンから大会フォーマットが大きくリニューアルされた「AFCチャンピオンズリーグエリート」。1勝1敗で迎えるMD3では、同じ1勝1敗の上海申花とアウェイ・上海体育場で対戦する。11回目の出場となる川崎フロンターレと8回目の出場(プレーオフを除く)となる上海申花だが、実はこれが初対戦。上海申花とはいったいどのようなクラブなのか。

国内カップ戦優勝4回の強豪チーム

川崎Fが10月23日(水)にアウェイで対戦する上海申花足球倶楽部は1951年に創設された華東隊を母体に、1993年に上海申花とクラブ名を改めた。そしてJリーグより1年遅く開幕した中国プロリーグに初年度から参加している。2004年にリニューアルされた中国超級リーグでは、過去に3度の2位を経験しているが、まだ優勝はない。しかし、カップ戦に強い傾向があり、4度の中国FAカップを制覇。昨季は同大会に優勝してACLエリートの出場権をつかんだ。その意味では今回の川崎Fと同じく、国内カップ戦チャンピオンとしての参加となる。

これまでACLでは2006年にベスト8を経験しているが、グループステージをなかなか突破できていない。2018年はJリーグ勢の鹿島アントラーズと同じグループHで戦い、鹿島とはホーム、アウェイともに引き分けだったが、5分1敗という成績で、最下位に終わった。コロナ禍のためセントラル開催だった2020年にはFC東京と同じグループFに入り、1勝1敗だったが、惜しくも3位で敗退している。これまでのACLで川崎Fとの対戦は一度もなく、今回のACLエリートが初めての顔合わせとなる。

監督はUEFAチャンピオンズリーグでベスト8を経験

今季から指揮を執るレオニード スルツキー監督 【(c)AFC】

上海申花と言えば世界的に実績のある外国人監督を迎えることが多いことでも知られる。元アルゼンチン代表監督のセルヒオ バティスタやスペインの名門アトレティコ・マドリードなどを率いたグレゴリオ マンサーノ、スペインでも智将として知られるキケ フローレスなど。そうした伝統もあってか、基本的にはしっかりボールを動かして、人数をかけながら攻撃する傾向の強いチームだ。今年からチームを率いるのはロシア人のレオニード スルツキー。かつてCSKAモスクワで本田圭佑を指導し、UEFAチャンピオンズリーグでベスト8に躍進したこともある。

スルツキー監督は就任1年目にして上海申花を同都市のライバルであり、元横浜F・マリノス指揮官のケヴィン マスカット監督が率いる上海海港と終盤戦まで優勝争いを演じており、中国での評価も高まっているようだ。基本システムは[4-3-1-2]で、中盤はダイヤモンド型、10番タイプの攻撃的なタレントをトップ下に起用する。現在の上海申花では元ポルトガルU-21代表のジョアン カルロス テイシェイラがその存在。想像力が高く、エレガントなテクニシャンだ。パスセンスもあるが、ミドルシュートの決定力が魅力の選手だ。

名実ともに「背番号10」を担うジョアン カルロス テイシェイラ(写真右) 【(c)AFC】

要注意は攻撃を担う外国籍選手&帰化選手

2トップは184cmの屈強な体格を持つブラジル人FWアンドレ ルイスとアンゴラ出身で、スイスのアンダーカテゴリー代表歴もあるキャハス マレレが組むことが多い。中国超級リーグでは二人合わせて30得点を超える得点数を記録しており、テイシェイラを起点に彼らがペナルティエリア付近で前を向く状況を与えると、非常に危険だ。上海申花の心臓と言えるのが、カメルーン出身でフランス育ちのMFイブラヒム アマドゥ。センターバックもこなせるほど守備能力が高く、中盤の底で力強くボールを奪い、同時に攻撃の起点となる。

もう一人、危険なアタッカーがブラジル出身で、中国に帰化した左利きのMFフェルナンジーニョ(中国名・フェイ ナンドゥオ/費南多)だ。攻撃的なポジションなら前線を含めて、どこでもこなすことができ、個人としての突破力にも優れるタレントで、川崎Fにとっても非常に注意するべき存在であることは間違いない。そうした外国人選手や帰化選手に目は行きやすいが、他にも中国代表クラスの選手を揃えているのは上海申花の強みで、主に守備的なポジションでチームを支えている。主に中盤の左を担うウー シー(呉曦)は経験豊富なボランチであり、チャンスの起点にもフィニッシャーにもなれる。

前回大会時は山東泰山に所属していたフェルナンジーニョ(写真左)。中国代表として9月の日本代表戦にも出場した 【(c)KAWASAKI FRONTALE】

センターバックのジャン シェンロン(蒋聖龍)は193cmのサイズを生かした空中戦や競り合いを得意としており、セットプレーのターゲットマンとしても強力な武器となっている。23歳の伸びざかりだが、ディフェンスの合間に飛び込んでくるタイプのアタッカーの対応には若干の苦手意識を持っているように見える。その意味では川崎Fのアタッカー陣の特長を発揮すれば、もう一人の屈強なセンターバックのジン シュンカイ(金順凱)を破れる余地は十分にありそうだ。

左右のサイドバックも大型選手であり、シンプルなロングボールを起点に上海申花のディフェンスを脅かすのは難しいが、それだけに川崎Fの特長がそのままアドバンテージになってくるかもしれない。ただし、セットプレーは要注意だ。上記のジャン シェンロンもそうだが、ゴール前でCKやサイドからのFKに合わせる5、6人の選手は180cmオーバーばかり。アンドレ ルイスやアマドゥなど、サイズだけでなく身体能力も高い選手を完璧に抑えるのはなかなか難しい。もちろん、セットプレーの対応力も問われるが、なるべくCKや危険な位置でのFKは与えたくない。

ここまでACLエリートでの戦いぶりを見ると開幕戦で、韓国の浦項スティーラーズを相手に4-1の大勝を飾る最高のスタートを切った。4得点とも後半で、2トップを中心とした爆発力は要注意に感じられたが、第2節はアウェイでマレーシアのジョホール・ダルル・タクジムに3-0で惨敗。現在は1勝1敗となっている。ジョホール戦では川崎Fも昨シーズンのACLで経験したスルタン・イブラヒム・スタジアムの雰囲気に飲まれた側面もあるかもしれないが、ペナルティエリアの両脇を取る攻撃に弱みを見せていた。また大外からのクロスにも、ディフェンスが高さの割にボールウォッチャーになって、相手アタッカーを見失って合わせられており、深い位置を取ってのクロスは川崎Fも積極的に狙っていくべきだろう。

文:EL GOLAZO
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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