北海道日本ハムファイターズをきっかけに野球にハマる

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チーム・協会
【これはnoteに投稿された西原雄一さんによる記事です。】
直近10年くらいはnoteにコラムを書いていたこともあり、Jリーグばかり観ていたので野球を観る機会が減っていたのですが、最近は野球ばかり観ています。特に9月からは北海道日本ハムファイターズの試合を毎試合必ず観るようになり、チームの魅力にすっかりハマってしまいました。

選手やスタッフの顔が見える野球

北海道日本ハムファイターズの試合を観るようになって気がついたのは、「選手やスタッフの顔が見えること。誰がどんな役割を担っているのか、選手だけじゃなくて、スタッフも分かるようになりました。

清宮やレイエスや万波のようにホームランを打つ選手だけじゃなく、水野や上川畑のように守備が得意な選手、奈良間のように元気な選手、五十幡のように足が速い選手、伊藤のように1試合を一人で投げ抜く選手もいれば、池田や生田目のようにピンチに登場する選手、田中のように不安そうに投げる選手もいるし、加藤のようにどんな場面も淡々と投げる選手など、どの選手も強みや個性が際立っていて、それぞれ役割が明確になっています。だから選手の顔と名前が覚えやすいのだと気がつきました。

選手だけじゃなくてコーチも同様です。ある試合で同点のタイムリーヒットを打った清宮が1塁でタッチアウトになった場面があったのですが、新庄監督は1塁コーチの代田コーチの責任だとコメントしました。
これをきっかけにコーチは選手に対して指示を明確に出すようになったし、選手も気をつけるようになったし、何よりファンも気にするようになり、自然とコーチの役割を覚えていくのです。

新庄監督は「負けたら終わり」というクライマックスシリーズ第2戦のオーダー(打順)を岸マネージャーに組んでもらいました。勇気がいる決断ですが、こういう決断を下すことで、スタッフもチームの一員で、勝敗の責任を背負っていることを伝えることができます。スタッフに責任を負わせるけど、責任を取るのは監督。まぁ、この期に及んでそれをやるのかとは思いましたが。

誰にでもチャンスが与えられるがとても厳しい

新庄監督という監督は、とても公平に選手を観るように努力している監督だと思います。1年目は「トライアウト」という表現で、できるだけ多くの選手にチャンスを与え、2年目は能力のある選手に失敗から学ぶ期間を与えました。

活躍している選手は褒め、役割を果たせない選手には厳しく接する。トライしたミスは咎めないけど、自分がやるべきことができていない選手には厳しい。だからこそ、選手は必死になるし、次のチャンスを掴みにいこうとするのだと思います。

9月のある試合で3三振を喫した石井が次の日に二軍に降格しました。簡単にアウトになってほしくない選手が、やるべきことができていない。その場合は躊躇なく二軍に落とすのです。
一方でメディアの前で苦言を呈した場合は、必ず挽回のチャンスを与えます。9月のある試合で「腕が振れていない」とコメントした堀に対して、挽回のチャンスを与えました。こういうコメントをした後の投手は、状況に応じてとか考えず、とにかく腕を振って、打者に向かっていくことだけ考えるのではないかと思います。
新庄監督は人に応じて責任を負わせるのが上手い監督だと思います。清宮に対して褒めないことが話題になりますが、褒めない代わりに試合終了まで怪我や体調不良がなければ必ず試合に出続けるのは清宮くらいです。勝敗の責任を背負う選手は1試合活躍しただけで褒めるのではなくて、1年、いや何年もすごい成績を残してほしいから褒めない。もっとやるべきことがあるし、もっと上を目指して欲しい。そんな考えが伝わってきます。

小さなことを積み重ねて1点を取り1点を守る野球

北海道日本ハムファイターズの野球は「小さなことを積み重ねて1点を取り、1点を守る野球」だと思います。守備は徹底的に地面にボールを落とさないように、ボールを投げるときは低く速く、ボールを素早く捕球する。こうした小さなことを積み重ねて、相手の優位を奪う。そんな考えがチームに浸透しています。

攻撃も簡単にアウトにならない野球を目指していることが伝わってきます。狙い球をしぼり、できる限り相手投手に球数を投げさせ、簡単にアウトにならない。フライを打たず、三振をできるだけ避け、ボールを転がし、何かが起こるようにうながす。塁にランナーが出たら、エンドランや盗塁を駆使し、バンドも使いながら、ひとつひとつ塁にランナーを進めていく。ホームランや長打をただ待つのではなく、あらゆる手段を使って1点を奪いにいきます。

今シーズンの北海道日本ハムファイターズは最後まで諦めずに戦い、何度も試合をひっくり返してきました。1点差の試合は28勝17敗、サヨナラ勝ちは10勝、逆転勝ちは32勝、すべてリーグ最多です。

野球の楽しみ方を伝える野球

小さなことを積み重ねて1点を守り、1点を奪う野球。勝つときもギリギリ、負けるときもギリギリで、ハラハラドキドキ。そんな野球を年間通してやり続けてきた結果、僕のように北海道日本ハムファイターズの野球を通じて、再び野球に興味を持つファンが増えているのではないかと思います。

新庄監督の野球は、ファンにもそんなハラハラドキドキをチームの一員になったつもりで楽しんで欲しいと思っているし、選手にも、コーチにも、そんなハラハラドキドキを楽しんで欲しい。そんなことを考えているはずです。

「野球はこうである」という先入観を捨て、「こういう野球もある」、「こういう野球が楽しいのではないか」とあらたな価値を提示していく野球。こんな魅力的なチームを3年かけて作り上げた監督がすごいし、何より監督を指名した人がすごいと思います。

クライマックスシリーズファイナルステージを戦う福岡ソフトバンクホークスはとても強いチームで、簡単に勝てる相手ではありません。だからこそ、北海道日本ハムファイターズが、選手が、スタッフが、そして新庄監督がどうするのか。とてもとても楽しみです。

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