【週刊グランドスラム272】第49回社会人野球日本選手権大会の見どころ[後半ブロック編]
東京都に本拠地を移したHondaは、東京スポニチ大会で最高殊勲選手賞の中村伊吹ら、経験豊富な選手で夏の借りを返したい。 【写真=真崎貴夫】
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【第49回社会人野球日本選手権大会組み合わせ】
NTT西日本とHondaの対戦も、投打に充実したチーム同士で興味深い。NTT西日本は都市対抗近畿二次予選で第五代表と苦しんだ分、東京ドームでは投打の歯車をガッチリと噛み合わせて準々決勝に進出。タイブレークの延長11回で力尽きたが、頂点に立つ力はあると証明した。埼玉県から東京都に本拠地を移したHondaは、3月の東京スポニチ大会で優勝と最高のスタートを切ったものの、これまでと勝手の違う都市対抗予選では力を出し切ることができなかった。ただ、東京ガスの4強入りに貢献した中村伊吹をはじめ、出場4チームに補強された7名がしっかりと役割を果たしたように、選手のスキルは高い。秋の大舞台では、それを結集させる。
明治安田とヤマハは、都市対抗一回戦と同一カード。6回までは1対1と投手戦を繰り広げたが、終盤に明治安田が8安打を集めて10点を奪い、8回コールドで完勝した。明治安田は、その勢いで42年ぶりとなるベスト8入り。今大会でも上位を見据える。一方のヤマハは、優勝候補に挙げられながら悔しい思いをさせられただけに、一気の巻き返しを見せたいはずだ。自信と意地がぶつかり合い、再び熱戦になるだろう。
Honda熊本と東芝も、一回戦屈指の好カードだ。昨年の日本選手権で準優勝し、日本一を目指したHonda熊本は、まさかの都市対抗予選敗退。ただ、選手個々が自身のパフォーマンスを見直し、右肩上がりで大阪へ乗り込む。投手ではHondaから転籍した米倉貫太、打者では左打ちのスラッガー・山本卓弥がキーマンとなり、バイタリティにあふれた試合を見せたい。対する東芝も、京都大会で優勝し、ルーキー右腕の笹森公輔が最高殊勲選手賞を手にするなど順調だったが、都市対抗予選では三菱重工EastとENEOSに完敗した。それでも質、量ともに豊富な練習でチーム力を底上げした。その成果を発揮する舞台に臨む。
前年4強のうち3チームがいない大会を制するのは
阪神から転籍した北條史也を筆頭に、新戦力で打線がパワーアップした三菱重工Westは、都市対抗で初優勝した三菱重工Eastに続きたい。 【写真=横尾弘一】
日本製鉄東海REXでは左腕の吉川大翔がエース格に成熟し、好投を続けてベーブルース杯大会を初制覇した。打線も爆発力を秘めており、試合序盤から活発に機能すれば流れを引き寄せられるだろう。対戦相手は、都市対抗との“夏秋連覇”に突き進む三菱重工Eastだ。橋戸賞の左腕・本間大暉を中心に大野亨輔、長島 彰と百戦錬磨の投手陣、不動の四番・小栁卓也を軸に、どこからでも得点できる打線で黒獅子旗を手にしたが、秋の王座も手中に収めるには新戦力も必要。特に池田陽佑らルーキー右腕がリードした展開でも登板できれば、連覇への道は磐石になる。
しんがりのカードは、JR九州とバイタルネットが激突する。日本選手権の出場32チームのうち、半分の16チームが今夏の都市対抗出場を逃しているが、JR九州もそのひとつ。悔しさを原動力に伝統の猛練習で若手が力をつけ、日本選手権では九州第一代表を勝ち取った。投打に堅実な試合運びで、粘り強く戦う。また、バイタルネットは最近4年間で3回出場と、実力が拮抗している北信越でコンスタントな戦績を残している。U-23ワールドカップで世界一を経験した松田賢大をはじめ、成長途上の選手たちがのびのびとプレーし、全国でも目立つ実績を残したい。
昨年優勝の大阪ガス、ベスト4の日本生命と西濃運輸が姿を消すなど熾烈な予選を勝ち抜き、さらに4試合を勝ち抜いたチーム同士によって、11月9日の午後1時には決勝が行なわれる。社会人日本一となってダイヤモンド旗を手にするのはどこか。京セラドーム大阪で熱き戦いをご観戦いただきたい。
【取材・文=横尾弘一】
【電子版はオールカラーになります】
グランドスラム64は、10月29日に発売です!!
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