【週刊グランドスラム271】第49回社会人野球日本選手権大会の組み合わせが決まる
NTT東日本で、攻守の要を担う野口泰司。都市対抗の悔しさを晴らしたい。 【写真=横尾弘一】
【第49回社会人野球日本選手権大会組み合わせ】
伊藤大造監督が8年ぶりに復帰した日本製紙石巻は、7名の新人を採用するなど世代交代して4年ぶりに東京ドームへ駒を進めた。打線は粘り強く、小刻みな継投で流れを引き寄せる試合運びに注目だ。対するトヨタ自動車は、連覇を狙った都市対抗で二回戦敗退。昨年の日本選手権も二回戦で惜敗しているだけに、一戦必勝で大会タイとなる7回目の優勝へ突き進む。
JR東日本は、ベテランから若手までバランスのいい戦力で6大会ぶりの出場を果たした。ルーキーの髙橋隆慶が中軸を担う打線は、菅田大介、山内 慧らパンチ力のある好打者が揃っており、久しぶりの京セラドーム大阪でもひと暴れしそうだ。対戦相手の西部ガスは、チーム生え抜きの松薗史敏監督の下で4月の岡山大会を制した。エースの村田 健を中心に投手層は厚く、打線も爆発力を秘めている。先制点がカギを握ると言っていいだろう。
日本新薬とTDKは、ともに都市対抗出場を逃したものの、夏場の猛練習で投打にレベルアップ。8月に行なわれた長野県知事旗大会で優勝したTDKは、右のスラッガー・打川和輝が頭角を現し、攻撃力がアップした。一方、近畿最終予選を3連勝で勝ち抜けた日本新薬は、その3試合ともルーキー右腕の遠藤慎也が先発。2完投勝利と大車輪の活躍で、16大会連続出場に漕ぎ着けた。大舞台でも本領を発揮できるのはどちらか。
都市対抗出場を逃したチームの逆襲に注目
日立製作所とJR東海も、都市対抗出場を逃したもののチーム力は高い。長く活躍してきたベテランが引退した日立製作所は、東京ドーム行きを逃した悔しさを糧に若手が成長。今季から指揮を執る林 治郎監督の下で、まずはのびのびとプレーしたい。JR東海でも、3年目の柳橋巧人が先発に定着し、ルーキーの水谷祥平が攻撃の核になるなどヤングパワーが戦力を充実させている。ひとつの白星が大きな自信にもつながるだけに、総力戦で勝利を目指していく。
近藤壱来が抜群の安定感を見せるJR四国は、昨年に続くベスト8以上を狙う。 【写真=横尾弘一】
三菱自動車倉敷オーシャンズとJR四国も、都市対抗予選敗退からの逆襲組だ。三菱自動車倉敷オーシャンズは、なかなか嚙み合わなかった投打の歯車が、8月の広島大会あたりから心地よく回転している印象。左打者が並ぶ打線が、先制パンチを浴びせられるかがポイントになるだろう。そして、JR四国は2021年、昨年とベスト8に進出しており、今回もそれ以上の成果を目論む。エースの近藤壱来に加え、ルーキーの川合慎磨も先発で実績を残しており、ロースコアの接戦に持ち込めるのが強みだ。
このように、今大会には都市対抗出場を逃した16チームが出場し、秋の王座を目指す。その戦いぶりには注目したい。
【取材・文=横尾弘一】
【左=紙版表紙・右=電子版表紙】
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