【週刊グランドスラム271】第49回社会人野球日本選手権大会の組み合わせが決まる

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NTT東日本で、攻守の要を担う野口泰司。都市対抗の悔しさを晴らしたい。 【写真=横尾弘一】

 社会人野球のシーズンを締め括る第49回社会人野球日本選手権大会の組み合わせ抽選会が10月2日に大阪市内で実施され、以下のように決定した。一回戦の試合日時を選べる特定シードを11チームが申し込んだため、一回戦の試合順は左からではなくシャッフルされている。だが、大会の展望は組み合わせの左からベスト4を決めるブロックごとに、次回と2回に分けてまとめていきたい。今回は、左側の2ブロックを見ていこう。

【第49回社会人野球日本選手権大会組み合わせ】

 10月29日の午後6時にプレイボールの開幕戦には、NTT東日本とマツゲン箕島硬式野球部が登場する。昨年は二大大会とも出場を逃したNTT東日本は、左腕の長久保滉成や四番キャッチャーの野口泰司ら、若手の台頭できっちり巻き返した。ただ、都市対抗は一回戦で北海道ガスに完敗しており、本来の力を発揮して頂点に近づきたい。6回目のクラブ王座に就いたマツゲン箕島硬式野球部は、目標の一回戦突破を全力で目指す。過去にはトヨタ自動車と1点差の接戦を二度演じており、2015年にはNTT東日本とも5対10と打ち合った。決して侮れない実力を備えている。
 伊藤大造監督が8年ぶりに復帰した日本製紙石巻は、7名の新人を採用するなど世代交代して4年ぶりに東京ドームへ駒を進めた。打線は粘り強く、小刻みな継投で流れを引き寄せる試合運びに注目だ。対するトヨタ自動車は、連覇を狙った都市対抗で二回戦敗退。昨年の日本選手権も二回戦で惜敗しているだけに、一戦必勝で大会タイとなる7回目の優勝へ突き進む。
 JR東日本は、ベテランから若手までバランスのいい戦力で6大会ぶりの出場を果たした。ルーキーの髙橋隆慶が中軸を担う打線は、菅田大介、山内 慧らパンチ力のある好打者が揃っており、久しぶりの京セラドーム大阪でもひと暴れしそうだ。対戦相手の西部ガスは、チーム生え抜きの松薗史敏監督の下で4月の岡山大会を制した。エースの村田 健を中心に投手層は厚く、打線も爆発力を秘めている。先制点がカギを握ると言っていいだろう。
 日本新薬とTDKは、ともに都市対抗出場を逃したものの、夏場の猛練習で投打にレベルアップ。8月に行なわれた長野県知事旗大会で優勝したTDKは、右のスラッガー・打川和輝が頭角を現し、攻撃力がアップした。一方、近畿最終予選を3連勝で勝ち抜けた日本新薬は、その3試合ともルーキー右腕の遠藤慎也が先発。2完投勝利と大車輪の活躍で、16大会連続出場に漕ぎ着けた。大舞台でも本領を発揮できるのはどちらか。

都市対抗出場を逃したチームの逆襲に注目

 2番目のブロックでは、8大会連続27回目出場のENEOSと、19大会ぶり3回目出場のミキハウスが対戦する。ENEOSは加藤三範、阿部雄大の左腕を軸に投手力が安定しており、打線にも川口 凌や丸山壮史ら好打者が並ぶ。U-23ワールドカップで2本塁打を放った村上裕一郎の打棒がチャンスで炸裂すれば、試合の主導権を握れるはずだ。ミキハウスは、プロ経験者の桜井俊貴が主戦格を担っており、先手を取れば優位に立てる。予選の粘り強さを、大舞台でも見せてほしい。
 日立製作所とJR東海も、都市対抗出場を逃したもののチーム力は高い。長く活躍してきたベテランが引退した日立製作所は、東京ドーム行きを逃した悔しさを糧に若手が成長。今季から指揮を執る林 治郎監督の下で、まずはのびのびとプレーしたい。JR東海でも、3年目の柳橋巧人が先発に定着し、ルーキーの水谷祥平が攻撃の核になるなどヤングパワーが戦力を充実させている。ひとつの白星が大きな自信にもつながるだけに、総力戦で勝利を目指していく。

近藤壱来が抜群の安定感を見せるJR四国は、昨年に続くベスト8以上を狙う。 【写真=横尾弘一】

 JFE西日本も、全国で頂点に立つ力は備えている。パンチ力のある鳥井 凌をリードオフに据えた打線は破壊力満点で、速球派右腕の筒井恒匡が勝負どころで気迫の投球を見せる。準優勝した2018年を上回る戦いを実現できるか。JR北海道硬式野球クラブは、再リーグ戦にもつれ込んだ予選の激闘を見事に制した。昨年は一回戦で東京ガスに完敗だったが、それを経験した選手たちが12大会ぶりの勝利を目指している。ちなみに、その時の相手はJFE西日本だ。
 三菱自動車倉敷オーシャンズとJR四国も、都市対抗予選敗退からの逆襲組だ。三菱自動車倉敷オーシャンズは、なかなか嚙み合わなかった投打の歯車が、8月の広島大会あたりから心地よく回転している印象。左打者が並ぶ打線が、先制パンチを浴びせられるかがポイントになるだろう。そして、JR四国は2021年、昨年とベスト8に進出しており、今回もそれ以上の成果を目論む。エースの近藤壱来に加え、ルーキーの川合慎磨も先発で実績を残しており、ロースコアの接戦に持ち込めるのが強みだ。
 このように、今大会には都市対抗出場を逃した16チームが出場し、秋の王座を目指す。その戦いぶりには注目したい。
【取材・文=横尾弘一】

【左=紙版表紙・右=電子版表紙】

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著者プロフィール

1949年に設立した社会人野球を統轄する(公財)日本野球連盟の公式アカウントです。全国の企業、クラブチームが所属し、中学硬式や女子野球の団体も加盟しています。1993年から刊行している社会人野球オフィシャル・ガイド『グランドスラム』の編集部と連携し、都市対抗野球大会をはじめ、社会人野球の魅力や様々な情報を、毎週金曜日に更新する『週刊グランドスラム』などでお届けします。

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