【コベルコ神戸スティーラーズ/神戸から日本のラグビーを熱くする】 神戸の若きスピードスター濱野 隼大、フィジー代表戦でテストマッチデビュー。ワールドカップ出場という大きな目標に向かって花園で一歩を踏み出す

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トライを取った時にスタンドから大きな歓声が湧き上がる瞬間が好きだという濱野。フィジー代表戦では相手のプレッシャーが激しく、自慢のスピードを見せられる場面がなかったが、テストマッチで早くその瞬間が訪れてほしい。(写真提供:平本 芳臣) 【コベルコ神戸スティーラーズ】

日本代表でも自慢のスピードでトライを取りたい

9月21日(土)東大阪市花園ラグビー場で「アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ 2024ファイナルシリーズ」決勝 日本代表vsフィジー代表が行われた。世界ランキング13位の日本代表は前半を10-10で折り返すも、後半、同10位で格上のフィジー代表に多彩な攻撃でスコアを重ねられ、17-41で敗れ、PNC準優勝に終わった。

この試合、後半11分から出場し、テストマッチデビューを果たしたのが、神戸スティーラーズのスピードスター濱野 隼大、23歳。

「思っていたよりも出番が早くて、嬉しかったです。ただ、ディフェンスの時間が長くて、なかなかボールを持つ機会がなくて」と悔しそうに試合を振り返った。

濱野の持ち味は、スピードある力強い走りだ。

エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチはメンバー発表時の記者会見で濱野について「高橋 汰地(トヨタV)に怪我があり、濱野が試合出場を掴みました。彼はスピードもあり、フィジカルも強い。それにスピードはまだまだ速くなる。性格は謙虚で、熱心に練習に取り組んでいます」と期待を述べていた。

その自慢のスピードは、子どもの頃に土台が培われた。

4歳からラグビーをはじめ、トライを取ることが楽しくなった濱野は、足が速くなればトライをたくさん取れるんじゃないかと考え、毎日、家の前で坂道ダッシュ。その坂道トレーニングのお陰で、ラグビースクールの中で一番の俊足に。

中学時代には三田ラグビースクールでプレーする傍ら、学校では陸上部に所属。土日にラグビースクールの試合があるため、陸上の大会にはほとんど出たことがないというが、三田市(兵庫県)の大会では100m走で優勝したことも。

昨シーズンは、ロトルアハイスクールでプレーしていた時以来だというウィングで起用され、9試合に出場し、スピードをいかした走りで6トライをマークした。
ラグビーをはじめた子どもの頃からの夢であったという日本代表でも「相手を抜き去りトライを決めたい」と決意する。

李の活躍に刺激を受けて、W杯出場を目指すように

兵庫県三田市出身の濱野がニュージーランドに渡ったのは中学2年の3学期。

小学5年の時にラグビースクールでオーストラリアに遠征し、現地の子どもたちが型にはまらず自由な発想でプレーしている様子を見た。楽しそうだな。ここでプレーしたいな。そう思った濱野は海外留学を志す。自ら調べて手続きを行い、オーストラリアでは学校を見つけられなかったこともあり、留学先をニュージーランドに決めた。

日本ではスタンドオフでプレーしていたというが、高校では言葉の壁もあり、ウィングやセンター。体の大きな選手たちと体をぶつけ合い、フィジカルが強くなった。高校3年の時にはチーフスU18にも選出され、レベルの高い選手たちと切磋琢磨した。

高校時代をニュージーランドで過ごし、高校日本代表には無縁だった濱野が、桜のジャージに初めて袖を通したのは、20歳前後の選手でチーム編成されたジュニア・ジャパンの一員として出場し、初優勝した「ワールドラグビー パシフィック・チャレンジ 2020」。

この大会で濱野は『13番』で出場。その時『12番』を付けていたのは、キャプテンとしてチームを率いた当時帝京大学1年だった李 承信。
1歳上の李とは、ともに兵庫県出身ということもあり、子どもの頃からラグビースクールの試合で対戦していたという。その李が、日本代表に選ばれて活躍し、ラグビーワールドカップ2023フランス大会に出場。

「承信さんの活躍に刺激を受けて、僕もあの舞台に立ちたいと思うようになりました」

濱野は口数が決して多い方ではないが、負けず嫌いで、内には熱いものを秘めている。チームでも黙々とトレーニングを積み、チームメイトからクラブハウスに住んでいるんじゃないかと言われるほどだ。

チーム1の練習の虫は、最近では持久力を鍛えるためにエアロバイクを購入し、寮の部屋でもトレーニングができる環境を整えた。

さらに、今年のオフシーズンは自費でアメリカに渡り、メジャーリーグラグビーのチームで2週間練習を積み、これまで以上にフィジカルが鍛えられたと感じている。
すべては成長して神戸スティーラーズでチーム内競争を勝ち抜きポジションを獲得し、ひいては日本代表に選ばれ続けワールドカップに出場するという目標を叶えるためだ。

10月26日(日)には、日本代表はニュージーランド代表との対戦が控える。
「オールブラックスは高校時代、憧れていました。戦えることができたら、すごく嬉しいです!」
夢と目標に向かって濱野が大きな一歩を踏み出した。

取材・文/山本 暁子(チームライター)
リポビタンDチャレンジカップ2024
10月26日(土) 14:50KICK OFF 神奈川・日産スタジアム
日本代表vsオールブラックス (ニュージーランド代表)
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著者プロフィール

兵庫県神戸市をホストエリアとして、日本最高峰リーグ「NTTジャパンラグビー リーグワン」に参戦しているラグビーチーム「コベルコ神戸スティーラーズ」。チームビジョンは『SMILE TOGETHER 笑顔あふれる未来をともに』、チームミッションは『クリエイティブラグビーで、心に炎を。』。 ホストエリア・神戸市とは2021年より事業連携協定を締結。地元に根差した活動で、神戸から日本そして世界へ、笑顔の輪を広げていくべく、スポーツ教室、学校訪問事業、医療従事者への支援など、地域活性化へ向けた様々な取り組みを実施。また、ピッチの上では、どんな逆境にも不屈の精神で挑み続け、強くしなやかで自由なクリエイティブラグビーでファンを魅了することを志し、スタジアムから神戸市全体へ波及する、大きな感動を創りだす。 1928年創部。全国社会人大会 優勝9回、日本選手権 優勝10回、トップリーグ 優勝2回を誇る日本ラグビー界を代表するチーム。

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