【コベルコ神戸スティーラーズ/神戸から日本のラグビーを熱くする】 「会長」こと、HO松岡 賢太がサモア代表戦でテストマッチデビュー!出場時間は5分も「オフフィールドでキャラクターは出せている。オンフィールドでももっと自分らしさを発揮し、信頼を勝ち取って、ここからプレータイムを伸ばしていく!」
高校2年の時にHOへ転向。ハンドリングスキルが高く、フィールドプレーで存在感を発揮する。(写真提供/平本 芳臣) 【コベルコ神戸スティーラーズ】
現在地を知ることができた菅平合宿
出番は後半35分。サモア陣22mライン付近での相手ボールスクラムでHO原田 衛(BL東京)に代わってフィールドへ。前半からスクラムをコントロールする日本代表はここでアーリーエンゲージの反則を得てフリーキックを獲得。速攻を仕掛け、日本代表は粘り強く攻撃しゴール前へ。松岡は2、3度ボールを持ち、縦に進む。
「どれだけアピールできるのか。それだけを考えていました」
サモア代表の反則に対し、日本代表はスクラムを選択。ゴール前左中間でのスクラムから右に展開し、李のパスを受けた途中出場のWTB高橋 汰地(トヨタV)がダメ押しのトライ。
試合後のミックスゾーンで松岡は「楽しかったです!」と笑顔を見せ、
「これまで支えてくれた家族、いつも応援してくれているスティールメイツに感謝の気持ちが湧き上がりました!」と声を弾ませた。
「ラグビーワールドカップ2019日本大会」で日本代表vsスコットランド代表を現地で観戦し、この場所に立ってみたいと思ったという松岡。
ただ、高校日本代表やU20日本代表に選ばれるも、「日本代表」は漠然とした目標だったという。それがはっきりとした目標として掲げるようになったのは、2020年4月、神戸製鋼コベルコスティーラーズ(当時)に入ってから。実際に2019年のワールドカップで試合に出ていた選手と一緒にプレーし、「絶対に日本代表になって、ワールドカップに出場したい」と思うようになったという。
HOに転向するまでバックローでプレーしていて、フィールドプレーに自信を持つ松岡は、1年目から試合に出場。入団4年目の昨シーズンは全試合に出場。
そして今年5月、日本代表トレーニングスコッド菅平合宿メンバーに選ばれた。しかし、日本代表から外れて、バックアップメンバーに。
「正直悔しかったです。HOには大学生の選手も選ばれている中で、プロ選手としてプレーしている自分が落ちて。現在地を知ることができました」
エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチから求められたのは、世界で戦うにあたり体を大きくすること。175cm、100kgの松岡は、これまで運動量にこだわっていたというが、イングランド代表戦からスタートした日本代表のサマーシリーズを見ながら、「絶対にここに戻る」という思いを持ち、トレーニングに励んだという。
その成果が出て体重は2kg増加。その上で『超速ラグビー』に対応できるよう走れる体を作ってきた。
フィールド内でももっと自分らしさを出していく
「このチャンスを逃したくない!」
覚悟を決めた。
PNCプールB第2戦アメリカ代表戦で、W杯2大会連続出場でエディー体制になってからも試合に出場していたHO坂手 淳史が負傷し、離脱。そうして巡ってきたサモア代表戦でのメンバー入りだった。
「5分という短い時間でしたが、スクラムで反則も取れましたし、ボールキャリーもできました。ここからもっとプレータイムを伸ばしていきたい!」
代表合宿に招集されて以来、選手の絆を強めるためのチームビルディングを仕切ってきた。そんな松岡に付いたあだ名は、「会長」。
松岡主催のチームビルディングのひとつが「会長ナイト」。9月3日の夜には、母校のジャージを着て、ディナーを食べる「会長ナイト」を行った。
神戸スティーラーズでもデイブ・レニーディレクターオブラグビー/ヘッドコーチに指名されてチーム内のイベントで司会をしたり、歌を披露したりして盛り上げる。
「日本代表でもオフフィールドでキャラクターを存分に出せています。オンフィールドでももっと自分の持ち味を出して、エディーさんの信頼を勝ち取って、スタメンで出られるようにしたい!」
明るくて、優しい性格だが、グラウンドに入ると一転し、激しさを前面に出す。ティエナン・コストリーも「ケンティーさんはグラウンドでは別人格になる」とそのギャップに驚く。
グラウンドに入ったら「やるか、やられるか」。
小さい体に熱きハートの持ち主は、フィールド内外で躍動し、日本代表の「2番」を勝ち取ると決意を新たにする。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
ファイナルシリーズ
決勝
●9月21日(土) 19:05KICK OFF 大阪・東大阪市花園ラグビー場
日本代表(プールB1位)vsフィジー代表(プールA1位)
※アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024
参加6チームがA(フィジー、サモア、トンガ)、B(日本、アメリカ、カナダ)2つのプールに分かれて総当たり戦を行い、プール1・2位が準決勝、3位が5・6位決定戦に進出。日本代表は2019年大会以来5年ぶりの優勝を目指す。
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