#2【2024年WEリーグ杯第2節サンフレッチェ広島レジーナvs大宮アルディージャVENTUS】レビュー
何といっても昨年出場機会に恵まれなかった中村楓選手や、怪我で長期離脱をしていた塩田選手など、サポーターの中には「この選手が見たかった!」という人もいたはずです。
試合全体としては、TOの影響で前節で見せた攻撃は難しい部分はあったものの、守備では吉田監督仕込みの高いパフォーマンスを示していたと思います。
今節のスタメン。フルターンオーバー!!! 【マイマイ】
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スタメン全交代で挑む吉田体制の2試合目
守備に関しても相手のビルドアップに苦戦し、プレスがハマらない時間帯が多かったのですが、DFラインが的確な対応を繰り返しており、崩されるようなシーンはほぼなかったかと思います。
総じて言うと、「守備に収穫あり、攻撃に課題多し」といった感じですが、では試合内容について振り返っていきましょう。
機能不全に陥るボール保持
今節では、IHのポジションでプレイした上野選手と柳瀬選手のサポートが少なかった印象です。DFライン+アンカーでボールを保持するものの、前後が分断して効果的な前進ができませんでした。
【中盤のサポートが少ない前進シーン】
【マイマイ】
このようにビルドアップからの前進が機能不全に陥っていたため、そこから先の展開も難しくなりました。特に、CFの髙橋選手は動き出しに特徴を持つラインブレイカーで、ポストプレーが得意なわけではないため、前身からDF裏へのパスを供給する選手の不在も響いたと思います。(※髙橋選手の動き出しに呼応できるのは渡邊選手、瀧澤選手あたり…)
前節では、IHポジションに入る小川選手や瀧澤選手が積極的なサポートを行っていましたし、アンカーの笠原選手が顔を出す回数も多かったです。この辺はターンオーバー故の機能不全とも言えそうです。
【前節では小川選手が積極的なサポートを見せていました】
相手の保持に苦戦するプレス
【SH-DHの間にパスが通るシーン】
【マイマイ】
また、大宮は後方での数的優位を作ったビルドアップを志向しており、相手の保持を制限するプレスがかかりませんでした。この辺の原因に関しては、仕込みが甘いのと、メンバーが入れ替わったのとの半々といった感じです。
柔軟に動けないタイプの松本選手と吉野選手に加えて、人に強く当たるけどスペースは守れない柳瀬選手、守備範囲の狭い森選手で構成される中盤では、プレスもブロックも難しいかもしれません。(吉野選手に関してはSBをマンツーで見るというシンプルなタスクが与えられており、DFラインに吸収されるシーンも目立ちました。)
統率されたDFラインと安定した守備
守備に関しては吉田監督の細かい仕込みが前節からも見られており、今節も中村選手・呉屋選手の両CBを中心に的確な守備対応を見せていました。相手に主導権を握られながらも、最後のところで崩れなかったのは、統率されたDFラインによる安定した守備があったからです。
【サイドの広いスペースに展開された時の対応】
【マイマイ】
昨シーズンまでであれば、サイドに展開されたときは「SBが突っ込んで1対1でやられる」「SBは中に戻ってSHが走って戻る」という対応がほとんどでした。
ターンオーバーをしてもスペースを意識した守備ができるのは、吉田監督の指導の成果と言えるでしょう。
【DFラインのスライドとカバーリングの意識】
【マイマイ】
そして、特に守備面で際立っていたのが中村選手と呉屋選手のCBコンビです。DFラインを統率しながらSB裏のケアやカバーリングを的確にこなしつつ、背後へのボールに対するアラートも欠かせませんでした。
【CB2人の意識の高さと貢献】
主力投入で改善した保持の形
特に、前節積極的な狙いを持っていたポケット攻撃を狙う形が繰り返しあり、徐々にゴールの気配が強まってきました。
【インナーラップからポケットを狙う中嶋選手】
【中盤で顔を出してレイオフを狙う】
吉田監督の仕込みの跡が見える守備対応
DFラインのカバーに入るボランチ森
これは前節で笠原選手がやっていた動きでもあり、吉田監督が明確にボランチの守備で求めているプレーと言えるでしょう。
【CBの間が割れた時にカバーに入る森】
出る出ないの判断やDFラインの管理
【スペースとパスコースを管理しながらスライドするDFライン】
【数的不利では後退しながらスペースを埋めるDFライン】
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ターンオーバーで見えた個々の選手の印象
右SH吉野選手と渡邊選手の振る舞いの違い
吉野選手がプレスの逃げ口になれていない理由には、ボールスキルの差もあるのですが、パスの受け方にも明確な差が見えています。
【棒立ちで駆け引きをしない吉野選手】
ボランチのスライド/プレスバック/カバーリングの意識
【ボランチのスライド/カバーリングが薄い場所を突かれる】
【マイマイ】
安心して試合を任せられるDFライン
DFラインに関しては、誰が出ても同じような守備ができるクオリティに達していると思います。
【ロングボールに対する的確なポジショニング】
次戦に向けての雑感
保持に関しては、個々の選手のスキル不足が否めませんでした。もちろん想定内ではありますし、無失点で推移させながらレギュラーとの交代で試合を決めるプランだったと思うので、しょうがない部分は当然あります。
ただし、攻守においてレギュラー組との差は否めないため、DFラインの選手と上野選手以外の序列は動きそうにないですね。
対戦相手の大宮に関しては、昨年対戦したよりも戦術的に洗練された印象がありました。コンパクトな守備でこちらの前進を妨害しながら、的確なポジショニングでセカンドボールを拾うなど、主導権を握られ続けましたね。
保持に関しても4222の形で後方での数的優位から安定したポゼッションを繰り広げており、スムーズな前進を狙っていました。ただ、ゴール前でのクオリティや崩しの質不足や、レジーナのDFラインが強固だったこともあり、ゴールを奪うほどの脅威はなかったです。
レジーナとしては、難しい試合の中で勝ち点1を無失点で取れたのは評価できると思います。今節のTOが今シーズンのチーム力に好影響を与えてくれればいいと思いますね。
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