「高円宮賜杯 第44回 全日本学童軟式野球大会 マクドナルド・トーナメント」大阪・新家スターズが大会連覇!豪雨にも負けない攻守を支えたものとは?
【©白石怜平】
前年度優勝の大阪・新家(しんげ)スターズが史上3チーム目となる連覇で大会の幕が下りた。
4回に一挙9得点、豪雨でコールドに
試合は初回から動いた。1番・山田拓澄が左中間に二塁打を放つと進塁打後、3番の藤田凰介が遊ゴロで山田を還し先制点を挙げた。チームを牽引してきた主将が自ら犠牲となり、先制点をもぎ取った。
リードオフマンを担った山田 【©白石怜平】
しかし、タイガースも最後まで諦めない全力プレーを見せた。一塁手の馬野心輝は打球に何度も飛びつき、1球に懸ける気持ちは最後まで絶やさなかった。
一塁方向へ上がったフライに飛びついた馬野 【©白石怜平】
中盤以降から雨足が強まりコールドに 【©白石怜平】
「この場にいられると言う事は、多くの練習が必要だったと思います。また、大会を無事に終えることができて本当にホッとしていますし、保護者の方々、そして子どもたちが健康を維持しながらしっかりとプレーをできるようにしてくれたチームの皆さんも本当にありがとうございます。
今日もすごい雨の中、これまでのような閉会式はできませんでしたが、たくさんの思い出ができたと思います。これからも野球で活躍することを期待しています」と労いの言葉を贈った。
トロフィーを渡す高円宮妃久子殿下 【©白石怜平】
打撃で見せた監督と選手の意思疎通
「ありがとう、そしておめでとうと言いたいです。よくやってくれました。こうやって喜んでいる時に子どもたちが成長すればいいですね。これだけやってきたから優勝できたと思うと、中学に進んでも(頑張れば)また良いことが起きるのを信じていると、お話はしています」
連覇に導いた千代松監督 【©白石怜平】
「最高に嬉しいんだけどこの天気ですから(笑)。最高の瞬間を選手たちと迎えてというのを想像しましたけども、独特の終わり方になりましたね。また何日か経てばさらにまた感情が出てくると思います」と正直な思いも吐露した。
優勝の瞬間はベンチで迎えた 【©白石怜平】
「先頭打者が多く塁に出たと思うのですが、あれは全て相手守備の逆を突いたんです。右打者であれば左寄り、左であれば右寄りにシフトでしたので」
その意識は選手にも浸透していた。藤田、そしてこの試合5安打(記録上はイニング途中でのコールドのため4安打)を放った松瀬吟愛にそのことを問うと、両者とも「指示はありました」と答えた。
自己犠牲で先制点を挙げた主将の藤田 【©白石怜平】
千代松監督は逆方向へ打つことを常に練習で徹底していたと言い、「逆方向に打てたらどの方向にも打てるので」と、日々の鍛錬と選手たちとの意思疎通の成果が大舞台でも発揮された。
打撃で光ったのは松瀬。決勝で全打席安打と大暴れし、攻撃陣をバットで牽引した。その要因を問うと、
「自分が得意のスローボールに絞っていました」と、狙い球を確実に捉えた結果だった。打順は5番を務め、チームで繋ぐことも意識していたそうで、「チームのみんなにありがとうと言いたいです」と一丸となったことを表していた。
記録上は4安打だが、5安打の活躍を見せた松瀬 【©白石怜平】
豪雨にも負けない堅い守りの基礎とは
「我々は週5回練習しているのですが、最も多く割いているのがシートノックです。なので守備には自信があるんです。土日は試合を組んでいるので、走塁は試合の中で経験を積んでいます」
この大雨の中でも堂々としたプレーを重ねていたのにも要因があった。
「実は雨の日にもシートノックを重ねてきました。一昨年の大会で、三塁手が雨の中でボールを滑らせてしまった試合があって。その時我々が負けた相手が優勝したんです。
なので、その経験から雨でも練習してイメージを掴んでいたので、この天候でも崩れることはなかったですし、相手の方が嫌だったんじゃないかと思います」
藤田ら選手たちも雨でのプレーは「慣れていました」と話すなど、豪雨の中でも変わらないパフォーマンスを発揮した。
大会での経験を踏まえた練習の成果が発揮された 【©白石怜平】
投手起用について監督は「球数制限もあるので、全国大会は3人は必要」と、起用についての意図を話した。
背番号1をつけてマウンドに上がった庄司 【©白石怜平】
「先輩は日本一なので、『俺らも日本一取りたい』と多くの練習を積んでました」(千代松監督)
大会期間中においても練習は欠かすことがなかった。朝の試合が中心のため、そこに合わせて朝5時前に起床。試合前に1時間半ほど練習をしてから臨んだ。
そして試合後も昼から練習を重ね、鍛錬を重ねていた。場所は近隣の神宮外苑室内球技場などを借りて工面していたという。
「暑さでみんなバテるんじゃないかと言われるんですが、普段の練習量が多いので、そんなことは全くないです」と結果で示してみせた。
来年はまだ大会史上どこも成し遂げていない3連覇へと臨む。次回以降は都道府県持ち回りとなり、新潟開催となる。
本大会において新たな歴史への挑戦が始まっていく。
(写真: / 文:白石怜平)
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