バドミントン女子ダブルス「ユマサリ」、最後のプレーで伝わった本当の気持ち
【photo by Hiroyuki Nakamura】
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満足はしていないが納得できる試合
「この3年間、単複(シングルスとダブルス)で金メダルを目指して練習し続けてきたので、やっぱり悔しい。めちゃくちゃ悔しい」
里見は率直な思いを口にしながらも、続いて出てきた言葉には、どこか充実感もあった。
「東京大会以降、すごく差がついてしまったと思う相手だったが、互角に戦えたと思っている。満足はしていないけど、納得はできる試合だった。自分の中でもよく頑張ったと思える試合だった」
山崎も涙ながらに頷いていた。
「本当に悔しい。ただ、今までは点数が離れていたが、今日は離されずについていき、リードする場面もあった。(里見)サリちゃんが頑張ってくれているなかで、自分のミスが目立ってしまったのは悔しいけど…」
悔しさが残る銀メダルとなった 【photo by Hiroyuki Nakamura】
気持ちを確かめ合った合宿初日
「メンタルが折れていたこともあった」と言う山崎は、2人で気持ちを確認し合った時間をこのように振り返る。
「口では『獲りたい』と言ってきたけど、本当に金メダルを獲りたいのか、意思統一ができてなかった。合宿の初日にサリちゃんが『話そう』と言ってくれて、2人で『頑張ろう』という気持ちになった。それがあったからここの場に立つことができたと思う」
中国ペアと戦う“ユマサリ”ペア 【photo by Hiroyuki Nakamura】
「気持ちがブレていただけだったとは思う。でも、話せたことで気持ちが固まった。話し合いを持って絶対によかった」
それ以降は戦略を練るために意見をすりあわせる際の“密度”が上がったという。
最後の最後まで「ユマサリ」らしく
激しいつばぜり合いとなった第2ゲームは終盤まで互角に渡り合い19-21。最後はコートの深い位置に打たれた球を必死に下がりながら食らいつこうとした山崎が里見とぶつかりながら返球。甘くなった球を前に落とされたところで激戦は終了した。
試合後、山崎はパリ大会が最後のパラリンピックとなると明かした。
「サリちゃんと組んで7、8年。その前はパラリンピックの決勝戦で金メダルを獲るという気持ちも作れなかったけど、サリちゃんと出会って一緒に頑張ってきて東京で金メダルを獲った。金メダルを目指すという気持ちができた」
汗と涙をタオルで拭きながら、パートナーへの深い感謝を伝えた。里見も感情がこみ上げた。
ペアを組んで7、8年。2人で戦う最後の大会となった 【photo by Hiroyuki Nakamura】
東京大会で歴史を切り拓いた2人は、パリ大会で歴戦譜に新たな1ページを加えた。妥協することなく互いの心をぶつけ合い、力を合わせて頂点への道を探り合った。
「ユマサリ」の挑戦に、スタンドを埋めるパリの観衆から温かい拍手が降り注いだ。
「ユマサリ」らしい戦いを見せた 【photo by Hiroyuki Nakamura】
text by Yumiko Yanai
photo by Hiroyuki Nakamura
※本記事はパラサポWEBに2024年9月に掲載されたものです。
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