川﨑春花「自分と向き合って」初の完全優勝

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【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 JLPGAツアー2024シーズン第23戦『CAT Ladies 2024』(賞金総額6,000万円、優勝賞金1,080万円)の大会最終日が8月18日、神奈川県箱根町・大箱根カントリークラブ(6,652ヤード/パー72)で行われ、首位でスタートした川﨑春花が通算13アンダーで逃げ切り、今季3勝目、通算5勝目を完全優勝で飾った。3打差の2位に渡邉彩香、3位タイにペソンウ、阿部未悠、藤田さいきの3人が入った。
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《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:22mm》

 最終日を4バーディー、2ボギーの70で回り、通算5勝目を挙げた川﨑春花だが、第1日から1度も首位を譲らない「完全優勝」は初めて。「1人旅」となった展開を、川﨑は「今日も他の選手のことを意識してしまいそうな自分がいましたが、それを抑えて、自分と向き合うようにしてから優勝できるようになりました」と表現した。

 ルーキーイヤーの22年に2勝を挙げるも、23年は未勝利、メルセデス・ランキング48位と順位を下げた。今季も序盤はなかなか結果が出なかった。「最終日にスコアを崩すことが続いていたので、(7月第1週の)ミネベアミツミ レディスを前に、自分の心の持ち方を見直した」ことが、浮上のきっかけとなった。ミネベアミツミと大東建託・いい部屋ネットレディスで2戦連続優勝。いい流れは今大会でも続いていた。

 プロのキャディーでなく、ハウスキャディーにバッグを預けて優勝したのは今回が初めて。「たまには1人で考えながらやってみよう」とあえて厳しい環境に身を置いたのも、自分と向き合うことの大切さに気づいた川﨑には合っていた。

【Photo:Atsushi Tomura/Getty Images】

 最終日に「あのショットは自分の思い通りに打てました」と振り返ったのは9番・パー5の、ピンまで93ヤードの第3打だ。このホールを迎えるまでは2バーディー、1ボギーで、阿部未悠、藤田さいき、ペソンウらに追い上げを許していた。

 ボールの位置まで48度と52度の2本のウェッジを持って行き、少し迷った上で52度を選択した。「アゲンストの風を少し強く感じていて、48度で少しコントロールして打とうかと思ったのですが、構えてみたら52度でもいける気がしました」と説明する。これが的中し、ピン横1メートルにピタリ。難なくバーディーパットを決め、この時点で2位に4打差をつけて独走態勢を固めた。1人で考えることを自分に課した心構えが、ここ一番で的確な判断につながったのかもしれない。

 その後もピンチはあった。13番・パー4。第2打がグリーンに届かず深いラフに落ちて、少し表情をこわばらせた。アプローチも寄らず、6メートルのパーパットが残った。この日最も長いパーパットである。「これは大事なパッティングになるーと思ったので、より一層気持ちを引き締めて集中しました」と胸の内を明かす。「下りのフックラインで、打ちすぎると大きくオーバーしてしまう恐れもありましたが、しっかり自分が思った方向を向いて、距離感を合わせて打てました」という勝負のパッティングをねじ込み、勝利を揺るぎないものにした。

 優勝カップを掲げた後、次週の全英女子オープンに出場するため、あわただしく空港へ向かった。初挑戦の昨年は予選を通過したものの、17オーバーの73位に終わった海外メジャー大会。「全く違う環境に変わりますが、どんな環境でも一生懸命プレーしてきます」と力を込めた。自分と向き合いながらセントアンドリュースのコースに挑み、何か大きな物を得て帰ってくるに違いない。
(宮脇 廣久)
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