【コベルコ神戸スティーラーズ/神戸から日本のラグビーを熱くする】 「もっと成長しないと、2027年は見えない」小瀧 尚弘、32歳。決意を新たに。
攻守での激しいプレーはもちろん、昨シーズンはラインアウトの分析にも力を入れたという。(写真提供/平本 芳臣) 【コベルコ神戸スティーラーズ】
悔しさが残るマオリ・オールブラックス戦
そう話すのは、6月29日(土)東京・秩父宮ラグビー場にて行われたJAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)vsマオリ・オールブラックスでロックとして先発出場を果たした小瀧 尚弘。後半5分までピッチに立ち、10-36で敗れた一戦を振り返り、ラインアウト、モール、ディフェンスなどで自分のやるべきことを遂行できなかったと反省する。
エディージャパン初戦となったイングランド代表戦(17-52)は、相手の強みであるセットプレーの場面を極力減らそうとしたが、この試合はセットプレーでプレッシャーをかけていくゲームプランで臨んだ。
特にモールにはこだわり、練習から時間をかけて準備してきたという。しかし、前半6分の先制トライこそ、ラインアウトからモールを押し込んで生まれるも、その後、敵陣深くでのラインアウトからの攻撃では相手にボールを奪われるなど、再三のチャンスを潰し、試合後の記者会見でエディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチは「スクラムは良い形で組めるようになったが、モールは感触を掴むことができなかった」と話し、モールを課題の1つに挙げた。
小瀧は「練習通りの“まとまり”を出せればトライを取り切ることができたと思うのですが、相手からのプレッシャーもあって押し切ることができなくて」とモールについて言及する。N08で出場したサウマキ アマナキも同じように「タイトにまとまって押すことができなかった」と首を傾げた。
また、サイン出しを務めたラインアウトに関しても、スティールされる場面もあり、2021年秋に行われたヨーロッパ遠征での日本代表vsポルトガル代表以来の桜のジャージを纏って出場した試合は悔しさが残った。
もっとやれる。まだまだできる!
東芝ブレイブルーパス(現・東芝ブレイブルーパス東京)入団2年目の2016年春に日本代表に初めて招集されるも、その後は桜のジャージを着る機会がなかった小瀧は、ラガーマンとして代表の躍進を嬉しく感じる反面、素直に喜べない自分がいたという。
RWC2019をきっかけに選手としてさらなるレベルアップと代表復帰を目指して、6年間所属したチームを離れて、リーグワン初年度の2021-2022シーズン、コベルコ神戸スティーラーズへ移籍。
高いハンドリングスキルを求められる神戸ラグビーに戸惑いながらも、1年目からポジションを獲得、NTTリーグワン2022-23は11試合に出場を果たした。しかし、昨シーズンは『世界最高のロック』と呼び声が高いブロディ・レタリックの加入もあり、3試合の出場に終わった。それゆえ、5月20日から29日まで行われたトレーニングスコッド菅平合宿に選出された時は驚きとともに、嬉しさが込み上げた。菅平合宿までは灘浜グラウンドで黙々と走り込む小瀧の姿が見られた。
そして5月30日に発表された日本代表スコッドからは外れるも、6月6日からの日本代表宮崎合宿に追加招集。
日本代表でのハードなトレーニングを通じて、小瀧は「まだやれる。まだまだできる」と感じたという。
目標は、昨年のフランス大会では叶えることができなかったワールドカップ出場だ。
「マオリ・オールブラックス戦でもっと成長しないといけないと思いました。そうじゃないと2027年のオーストラリア大会への出場は見えてきません。やる気がまたどんどんわいてきました」と決意を新たにする。
大学生をはじめ、若い世代が多い新生日本代表の中で、6月13日に32歳になった小瀧は、日本代表やバックアップメンバーの中でリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)に次いで2番目の年長者となる。
「プレーはもちろん、リーダーシップも発揮していきたい」
7月6日には豊田スタジアムで再びマオリ・オールブラックスとの一戦が控える。
「次の試合に出られるか分からないですが、出ることができたら、もっとやれるとことを見せたいと思います」
小瀧はこの悔しさを糧にさらに強くなる。
取材・文/山本 暁子(チームライター)
●7月6日(土)18時キックオフ ※キャップ対象外
JAPAN XV(ジャパン・フィフティーン)vsマオリ・オールブラックス (愛知・豊田スタジアム)
●7月13日(土)19時05分キックオフ ※キャップ対象試合
日本代表vsジョージア代表(宮城・ユアテックスタジアム仙台)
●7月21日(日)14時05分キックオフ ※キャップ対象試合
日本代表vsイタリア代表(北海道・札幌ドーム)
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