クボタスピアーズのクラブハウスってどんなところ? 潜入取材レポ

チーム・協会
リーグワンのシーズンオフ期間、リーグワンロス、そしてスピアーズロスに陥っていませんか。今回の記事では、オレンジアーミーが普段なかなか見られないクボタスピアーズのクラブハウス内を紹介します。案内役は、スピアーズを裏で支え続けているクラブハウスキーパーの佐藤和敏さん(通称:かずさん)です。

充電もできる“スピアーズのスタバ”

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手が練習で使用するホームグラウンド「クボタ船橋グラウンド」は、クボタ京葉工場の敷地内にあり、グラウンドに面して2階建てのクラブハウスが建っています。まずは2階から見ていきましょう。

お手製のカウンターへの思いを話す佐藤和敏さん(以下、かずさん) 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

こちらは、カウンター越しに見える緑のグラウンドが目を引く事務局部屋。グラウンド全体が一望できるロケーションのよさから、“スピアーズのスタバ”と呼ばれているそうです。言われてみれば、カウンター席から滑走路を眺められる羽田空港のスタバにちょっと似ているかも……⁉
「耐久性はもちろん、目から受ける効果は大事だと思っているので、カウンターをつくるときは一枚板にこだわりました。また、スピアーズの仲間が快適に過ごせるように電源も取り付けています。自分のミッションは、選手やスタッフの士気を上げること。できる限りみんなの意見を吸い上げて、それをどうしたら実現できるか常に考えています」とかずさんは言います。

筆者はコラム「今日の推しメン」で藤原忍選手を取材した際に利用。爽やかな気分で過ごせました 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

続いてはトレーニングルームです。奥の壁には、山本剣士選手がここでスクラム練習をしていたときに開いたという穴が……!

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

近づいてよくよく見ると、何かに似ていませんか?

スピアーズクラブハウスの“隠れミッキー”と呼ばれているそう……! 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

トレーニングルームの並びにある部屋の壁には、かずさん手づくりの棚が取り付けられています。「大きなスーツケースで各地を移動する松下(忠樹)主務やトレーナーのみなさんからの要望を受けて作成しました。この棚があることで、空間の有効活用ができています」

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

2階には、選手やスタッフの打ち合わせなどで使用するミーティングルームも。ここは記者会見の会場となることもあります。昨シーズンはデイン・コールズ選手とリアム・ウィリアムズ選手、アーリーエントリー選手の入団記者会見が開催されました。

椅子の色はチームカラーのオレンジ 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

ダンベルのシャフト置き場も自ら設計

続いて1階に移りましょう。1階には、選手のロッカールームとグラウンドに面したトレーニングルームがあります。ロッカールームはプライベートな空間のため、トレーニング中だった福田陸人選手に許可を得てネームプレートをパチリ。

福田選手が知らないうちにネームプレートに写真が飾ってあったそうです 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

こちらが1階のトレーニングルームです。窓が大きくて明るい!

【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

「ワットバイクのメンテナンスは欠かせません。選手が部屋の外に出して使うこともあるのですが、船橋グラウンドは東京湾から近く、海風の影響を受けるため、さびやすいのです」とかずさん。主にシーズンオフ直後とシーズンイン直前に確認して、さびていたら油を塗るようにしているとのことです。

世界のトップアスリートが愛用するワットバイク 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

ダンベルのシャフト置き場も、なんとかずさんの手づくり。「トレーニングルームのスペースを取らないように考えて設計しました。溶接も自分でやりましたよ」

シャフトの説明をするかずさん 【クボタスピアーズ船橋・東京ベイ】

自分の役割がスピアーズにあることが幸せ

元々クボタの工場に勤めていたかずさんは、採用の前川泰慶さんに声をかけてもらい、2022年10月からスピアーズのスタッフとして働いています。

「クラブハウスキーパーとしての役割だけでなく、公式戦に出ていない選手のモチベーションアップにも貢献したいと思っています。例えば、なかなか出場できない選手に『(公式戦出場まで)もうちょっとだよ!』と励ましたり、選手の胸に抱えている話の聞き役に回ったりもすることもあります」

スピアーズでは、選手・スタッフ全員がフラン・ルディケヘッドコーチと1対1でミーティングする機会があるそうです。それはかずさんも例外ではありません。
「毎回『スピアーズにはいい選手がたくさんいるので、メンバーを変えて一人でも多くの選手にチャンスを与えてほしい』と訴えているんです。昨シーズンではこれまで声をかけてきた選手の活躍をこの目で見られて、スタッフ冥利につきます」

こうした選手のエンパワーメントにとどまらず、DIYや練習器具のメンテナンスなど、その仕事内容は多岐に渡ります。自ら考え、手を動かし、何でも課題解決してしまうというかずさんですが、これまでに受けた相談で難しかったものがあるか尋ねました。

「ハルさん(立川理道キャプテン)に『クラブハウスにサウナつけて!』と言われたときは、さすがに無茶振りだなと思いました(笑)」

人に頼られることが好きなかずさんは、選手の個別相談にも対応しているといいます。「(ルアン・)ボタ選手からは電子機器について相談されます。あとは、松井(丈典)選手や松波(昭哉)選手ともよく話しますね。この前、松波選手にバイクのウインカーの修理方法を教えたら、材料費200円だけで自力で直せたと言っていましたよ」

「自分の役割があること、しかもそれがスピアーズにあることが幸せ」と目を輝かせるかずさん。「これからも自らやるべきことを見つけて、率先して動いていきたい」と次のシーズンを見据えます。かずさんあってこそのスピアーズなのだとしみじみ感じたクラブハウスツアー取材になりました。
取材・文・撮影:せきねみき(ライター・コラムニスト)
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著者プロフィール

〈クボタスピアーズ船橋・東京ベイについて〉 1978年創部。1990年、クボタ創業100周年を機にカンパニースポーツと定め、千葉県船橋市のクボタ京葉工場内にグランドとクラブハウスを整備。2003年、ジャパンラグビートップリーグ発足時からトップリーグの常連として戦ってきた。 「Proud Billboard」のビジョンの元、強く、愛されるチームを目指し、ステークホルダーの「誇りの広告塔」となるべくチーム強化を図っている。NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23では、創部以来初の決勝に進出。激戦の末に勝利し、優勝という結果でシーズンを終えた。 また、チーム強化だけでなく、SDGsの推進やラグビーを通じた普及・育成活動などといった社会貢献活動を積極的に推進している。スピアーズではファンのことを「共にオレンジを着て戦う仲間」という意図から「オレンジアーミー」と呼んでいる。

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