【Baseball5を学ぼう】 「Baseball5の先頭を引っ張っていくモデルチームに」 日本初のチーム「5STARs」 結成から現在までの軌跡

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日本でも普及しつつあるアーバンスポーツBaseball5。全国各地でチームがつくられ、活動やイベントが多く行われている。

日本で最初に立ち上がったチームが5STARs。Baseball5のパイオニアである六角彩子選手が創設し、そこを起点に現在は関東でリーグ戦が行われるまでに発展を遂げた。

チーム紹介の第1弾は、今もBaseball5をけん引している5STARsについて特集する。チームを立ち上げた六角選手にお話しを伺った。

(取材 / 文:白石怜平、表紙写真:本人提供、以降敬称略)

Baseball5の「未来を見せるため」21年に結成

「5STARs」が誕生したのは2021年9月。

日本で唯一の世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公認インストラクターである六角彩子と村山智美の2人で立ち上げた。日本初、Baseball5のチームが誕生した背景を六角に訊いた。

「Baseball5の体験会を続けていたのですが、やってみて面白いとなって『どこでできるの?』と聞かれてもチームがなかったんです。
それなら未来を見せるためにチームを作らなければいけないと思い、高校から女子野球で一緒にやっている村山と2人でつくりました。
やりたい人なら誰でも入れるチームにして、最初は2週に1回のスパンでスタートしました」

Baseball5の先駆者として日本初のチームを結成した(筆者撮影) 【©Homebase】

活動は自身が拠点を置く埼玉県を中心とし、認知度を高めるべく多くのエリアでできるよう、場所を固定せず行ってきた。

現在も加須市や上尾市にある小学校の体育館で練習を重ねている。

現在は毎週日曜日に練習を行っている(筆者撮影) 【©Homebase】

現在は30名を超え、新たな流れも

発足後はチームで体験会を開催。SNSで発信することで集まり、競技の魅力を知る人がどんどん増えていった。六角も野球を通じて培った人脈で声かけし、次第に増えていった。

当初2名でスタートしたメンバーは、3年近くでオープン(15歳以上)とユース(15歳以下)を合わせて31人へと拡大。

年代も8歳から50代と幅広く、世代を超えて関わり合えることが一つの特徴である。

六角始めメンバーの地道な活動で増えていった(本人提供) 【©Homebase】

メンバーが増えていく過程で、ある動きが生まれていた。

「自分で新しくチームを作る動きもあるので、それはすごくいいことだと思っています。5STARsメンバーの人でもここに所属しながら、熊谷でチームを立ち上げてユースで日本選手権に出たケースもあります。
5STARsに入って、チームのノウハウを得て他の地域で普及してもらえるというのはいいなと。将来的にそうしたいと思ってチームを最初につくったので。まさに形になっていて嬉しいことです」

日本代表で2022年アジアカップとワールドカップを戦った宮之原健も、元々は5STARsでスタートしたが、拠点を置く東京で新チーム「Spirit Bonds」を4月に立ち上げている。

ユースチームを発足し、昨年11月にはイベントを開催

5STARsのもう一つの特徴として、ユースのメンバーが多くいることである。現在は16名が在籍し、日本のBaseball5の未来を担う子どもたちが集まっている。

毎週日曜日はユースチームの練習も行われている(本人提供) 【©Homebase】

ユースチームができたのは結成から約半年が経った22年の3月頃。きっかけは世界的な動きがあったことだった。

「26年からユース五輪の競技になるので、自分たちもユースをつくりたいという話をかねてからしていました。体験会にも来てくれた子たちもたくさんいて、そのつながりから広がってきました。特に5STARsでは、小学生も在籍しています」

ユースチーム発足後は、子どもたちにも練習だけでなく試合を体験してほしいという想いから、昨年11月に鴻巣市で「Baseball5 Fistival in 鴻巣」と題したイベントを開催した。

今後は毎年継続して行う運びとなり、今年も12月に予定されている。

毎年ユースのイベントも開催していく(本人提供) 【©Homebase】

初の日本代表としてアジア準優勝に

これまでチームのメンバーそして裾野を拡大し、日本のBaseball5の基礎をつくりあげている5STARs。大会においても初代日本代表として世界への扉を開いた。

22年、日本が参加する初の国際大会である「WBSC ASIA Baseball5アジアカップ2022」の代表チームとして選出され、準優勝の成績を収めた。

選手兼監督を務めた六角を中心に、數田彩乃や内山瑞輝といった現在もチームを支えるメンバーで世界の舞台で結果を残した。

六角とともに今も日本代表として活躍する數田(筆者撮影) 【©Homebase】

帰国後、世界一への想いがさらに高まった選手たちは練習にも変化が加わった。

「実戦練習が多くなりました。人数も増えて紅白戦もできるようになったのと、あとはチームも他の地域でつくられてきたので、練習試合したり合同練習したりなど交流が深まっていきました」

継続的な練習そして実戦を積み、チームは力を着実につけていく。アジア準優勝の他にも、大会での実績を重ねていった。

「地元でもある茨城県日立市にBaseball5のチームがあるんです。5年ほど前から私が女子野球教室を開催していて、2年前からはBaseball5で”六角杯”と地方大会の冠をいただきました。そこで5STARsも参加して2回優勝してます」

「勝てるそして面白いチームに」

5STARsは理念として「Baseball5でみんなと笑顔に」を掲げている。普及活動を通じて地域や参加した方々とBaseball5を楽しむこと、そしてチーム同士リスペクトし合い練習中も笑顔ある空間になっている。

「リフレッシュかつ一生懸命になれるような場所にと考えています。スポーツってリフレッシュや趣味の一つになると思います。そこが一番ですね。みんなで楽しくやりたいし勝ちたいし、地域貢献やもちろん代表選手も輩出したい。全部(理念に)詰まっていますね(笑)」

理念の通り、Baseball5で笑顔があふれている(筆者撮影) 【©Homebase】

日本のBaseball5をリードしている5STARs。

現在主将を務める小暮涼や、BCリーグ・埼玉武蔵ヒートベアーズでプレーしていた金城義(つとむ)などパワーとスピードと兼ね備えたメンバーが充実している。上述の通りユースのメンバーも増えるなど、実力と普及の両面で進化を続けている。

主将の小暮涼 【©Homebase】

金城義 【©Homebase】

最後に5STARsの目指す先について六角に訊いた。

「Baseball5の先頭を引っ張っていくモデルチームになりたいです。幅広い世代がいて選手も増えていますので、チームが長く存続できる形に少しずつなってきています。それはとても重要なことですし、もっともっと勝てるそして面白いチームになっていけると思います。
あと、優勝への想いが強くあるのでかっこいいチームも目指していきたいです。目標としては、今月からリーグ戦が始まったのでその優勝、日本選手権を今回初戦で負けてしまったので、リベンジして頂点に立ちたいです」

6月からは初のリーグ戦「B5.LEAGUE」が行われている(筆者撮影) 【©Homebase】

Baseball5の未来を切り拓いてきた5STARs。これからもリーディングチームとして競技を盛り上げていく。


(おわり)
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著者プロフィール

「Homebase」は、全日本野球協会(BFJ)唯一の公認メディアとして、アマチュア野球に携わる選手・指導者・審判員に焦点を当て、スポーツ科学や野球科学の最新トレンド、進化し続けるスポーツテックの動向、導入事例などを包括的に網羅。独自の取材を通じて各領域で活躍するトップランナーや知識豊富な専門家の声をお届けし、「野球界のアップデート」をタイムリーに提供していきます。さらに、未来の野球を形成する情報発信基地として、野球コミュニティに最新の知見と洞察を提供していきます。

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