【東都大学野球】日大の要 南條の活躍で今季初の勝ち点
駒澤大との第2戦 4回裏 ライトへタイムリー安打を放った南條 【日本大学】
前日の駒大1回戦では谷端将伍内野手(経済3年=星稜)の今季3本目となる本塁打を含む13安打9得点に、2回戦では6安打7得点と打撃で圧倒した。角田はバットを短く持ち大学初本塁打。片岡昭吾監督も「芯に当たったのが初めてなんじゃない?まさかホームランになるとは思わなかった」と驚きを隠せない。今季から、正捕手に座る南條も3安打3打点と大活躍。南條は「自分は長打を量産するバッターではない。持ち味のミート力を出せました」と笑顔を見せた。前週、片岡監督が「打てなくても、それぞれに工夫して打撃に臨んでいる」と言った通り、それぞれの打撃に対する努力が結果として表れた。そして、試合後、片岡監督はこう付け加えた。「昨日は市川、山内。今日も榎谷がしっかり試合を作ったからこういう展開になった。しっかり守ってくれたら、こういうゲームになっていくと思う。目指している野球が少しできたかな、という感じです」。守備からリズムを作り、攻撃へ。好守かみ合った結果に手応えをつかんだ。
駒澤大との第2戦 4回裏本塁打を放ちホームでガッツポーズする角田 【日本大学】
ライバルがいたから成長できた 厳しくも、親しみやすい捕手へ
駒澤大との第2戦 3番手で登板した中山 【日本大学】
「もっとしっかり投げような」。
2/3回を投げ打者3人に対し1安打無失点。開幕から3試合目の登板で、1年生ながら貴重な中継ぎとしてよく頑張っているのはよくわかる。本当ならば褒めてあげたい。笑顔で握手をしたかった。「でも、1年生だからといって打たれていいわけではいので。メンバーに入った以上は、控えの選手たちの分も背負って戦わないといけない。まだ次戦に向けて修正すべきところはたくさんあるので」。笑顔をぐっとかみ殺し、あえて厳しい言葉をかけた。中山なら、もっと成長できる。そんな期待を込めた。
今季、大学野球界は東都大学野球のみならず、他リーグも含め1年生が早々にデビューし、活躍。話題になっている。東都大学野球で言えば、中大の東恩納蒼投手(1年=沖縄尚学)はすでに2勝を果たした。南條は、そんな周りの環境も視野に入れた。「同じ学年の選手が活躍しているのは気になると思うんです。自分もそうだったから…」。自身の1年時の思いがよぎる。ベンチ入りも、試合にはなかなか出られない。「中大の野呂田選手など、他の1年生の活躍が気になった。でもそこだけに目がいってしまうと自分の結果がついてこなくなるんです」。自らの経験から、後輩たちには、自分の野球に集中して欲しい。そんな優しさからの厳しい言葉だった。
南條の歩む野球人生には、いつもライバルがいた。高校時代は、同じ近畿地区には市和歌山に松川虎生捕手(現・ロッテ)が甲子園にも出場し注目を浴びていた。「高校時代から意識する存在でした。負けていられないな、と。守備の技術をもっとあげないとダメなんだと思っていました」。スローイングにフットワークを地道な練習で磨いた。
大学に入ると、2学年上に、友田佑卓(現・三菱重工East)捕手が正捕手として活躍していた。なかなか勝てない存在だった。しかし昨秋、新チームがスタートすると片岡昭吾監督が捕手陣に声をかけた。「止められる(ブロッキングできる)選手を使うからな」。いつも他人と比べてきた。最後は自分自身との勝負だと気がついた。近距離からのキャッチングの練習をするだけでなく、バッティングマシンを前に、体にアザを作りながら捕球の練習を重ね、正捕手を手にした。
若い投手陣をリードするため、自己改革にも取り組んだ。「大人しい性格なんです」と、照れ笑いを浮かべるが、中山、榎谷礼央投手(経営2年=山梨学院)らをリードするため、コミュニケーションを欠かさない。練習が終わると近くの定食屋に誘い、食事を共にすることも。「先輩、後輩ではなく、友達関係の方が馴染みやすいかなと思ったので」。いいアニキ分として、投手のいい面を引き出す。片岡監督も「ここまで若い投手陣をよくリードしてくれいますよ」と評価した。
目指すべき選手がいつもいた。「自分の中では比べるものがあると、それを越そうと思って頑張れるんです。でも、そればかりだと先がない。自分のプレーにいかに集中するか。自分もこれからです」。正捕手をつかんだからといって、安心してはいられない。まだまだ先がある。「捕手は南條なら大丈夫、と言われるようにしっかり頑張っていきたいです」と、力を込めた。
昨年、あと一歩で逃した優勝へ。この勝ち点を勢いにかえ、チーム一丸、力強く前へ突き進む。
対駒沢 2回戦に先発した榎谷 【日本大学】
駒澤大との第2戦 9回表 勝利後ハイタッチする投手山内と捕手南條 【日本大学】
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