【ラグビー/NTTリーグワン】先輩との対峙でつかんだ手ごたえ。 初のPOTMも「もっとアグレッシブに」<WG昭島vs 日野RD>

日野レッドドルフィンズ 谷口永遠(たにぐち とわ)選手 【©ジャパンラグビーリーグワン】

マッチエピソード&記者会見レポート
WG昭島 21-52 日野RD


クリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)が、6戦全勝でディビジョン3の首位を走る日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)をAGFフィールドに迎えた一戦は、強い風の中、日野RDが8トライを奪う猛攻を見せてWG昭島を圧倒。ボーナスポイントも獲得し、開幕からの連勝を7へと伸ばした。

この試合、日野RDのスクラムの強さは際立っていた。その中心にいたのが、天理大学から今季加入した谷口永遠だ。天理大学といえば、WG昭島の北條耕太は谷口の3学年先輩にあたる。同じフッカーの北條との対戦を終えて、「ずっと(練習で)スクラムを組んできたので、ひさしぶりに(対戦相手として)意識しました。昔の自分と比べたら、今日はしっかりドミネートできてうれしかったです」と、先輩とのマッチアップを楽しんだ。この日はドライビングモールからの2トライもマークし、リーグワンで自身初めてのプレーヤー・オブ・ザ・マッチを受賞。前途洋々たる若武者だが、見据える山の頂はなお高い。

【©ジャパンラグビーリーグワン】

「もっとアグレッシブにプレーできたと思います。何度かボールをもらいに走り込んだのですが、(自分の)裏をとおされることが多かったのと、ラインアウトのコミュニケーションエラーもあったので、そこをしっかり詰めて、タイトなゲームでも勝てるようになっていきたいです。スクラム、ラインアウトモールともに、ディビジョン1で通用することを意識してプレーしています」

日野RDの苑田右二ヘッドコーチも、「ここ数試合はアグレッシブさに欠けるところがありましたが、今日は気持ちを前面に出してくれました。まだまだ改善することはありますが、若い選手なので、ミスも成功も、積み重ねていってほしいです」と、期待を寄せる。

自分たちのプレーがディビジョン1で通用するのかどうか。ここまでディビジョン3を無敗でひた走る日野RDの強さの要因は、そのスタンダードを追い求める姿勢であり、この試合でも片鱗を見せた。圧倒的な勝利だった。

(匂坂俊之/Rugby Cafe)

クリタウォーターガッシュ昭島のワイクリフ・パールー ヘッドコーチ(中央)、栗原良多バイスキャプテン(左) 【©ジャパンラグビーリーグワン】

クリタウォーターガッシュ昭島
ワイクリフ・パールー ヘッドコーチ

「残念な結果になってしまいました。ゲームの入りが良くありませんでした。日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)のセットピースに対応できませんでした。日野RDは攻撃力のあるチームなので、セットピースの部分で正確性を欠くと勝てません」

――この試合に向けて、具体的にどういったことにフォーカスして練習をしてきたのでしょうか?
「フィジカルなラグビーをすること。そこはできたと思いますが、ゲームのテンポを生み出せませんでした」

――ハーフタイムの指示はどういったものでしたか?
「日野RDのテンポに勝つために、セットピースのセットを早くしようという指示を出しました。後半は多少修正できて、自分たちがボールを保持でき始めてからは、相手も手を焼いているようでしたが、その流れをキープすることができませんでした」

――後半17分に、選手を一度に5人入れ替えた。その意図を教えてください。
「インパクトを与えてゲームの流れを変えたかったのですが、結果を見れば分かるとおり、うまくいきませんでした。良かった点としては、林田(拓朗)がスタンドオフ、ピアーズ(・フランシス)がフルバックに入ることで、相手がプレーしにくそうだったことです」

――次節に向けての修正点はどこでしょうか?
「ランニングラグビーがクリタウォーターガッシュ昭島(以下、WG昭島)の強みなので、テンポを上げてプレーをすることが大事になります。細かい修正ポイントはありますが、大きいメッセージとしてはテンポを上げることです」

クリタウォーターガッシュ昭島
栗原良多バイスキャプテン

「今日の試合のテーマは、フィジカルとコミュニケーションでしたが、試合の入りから日野RDのフィジカルに負けてしまいました。悪くはなかったのですが、入りの部分でリードできなかったことが、この結果につながってしまったと思います。あとは、セットピースでいい球出しができなくて、ディフェンスの時間が長くなってしまったのも敗因の一つだと思います」

――前回対戦したときと比べて、セットピースがうまくいかなかったが、どう感じていましたか?
「スクラムに関しては前回よりもいいイメージで組めたと思いますが、規律の部分でミスをして、ペナルティを与えてしまいました。ラインアウトに関してはかなり研究されていたと思います」

日野レッドドルフィンズの苑田右二ヘッドコーチ(左)、橋本法史バイスキャプテン(右)、谷口永遠選手(中央) 【©ジャパンラグビーリーグワン】

日野レッドドルフィンズ
苑田右二ヘッドコーチ

「素晴らしい環境の中で試合ができたことに感謝します。日野RDにとっては初めての連戦(2週連続の試合)だったが、準備してきたことがいい結果につながりました。みんなの努力を誇りに思います。次は清水建設江東ブルーシャークスとの上位対決なので、しっかり準備をして、エキサイティングなラグビーをできるように成長していきたいです」

――これで7連勝。チームの完成度をどう見ているか?
「去年の7月から練習を再開して、チーム全員がドライブをしてくれ、いいチームに仕上がってきていると思います。ディビジョン1でトップ8に入るようなチームになるために、自分たちのスタンダードを上げながら準備していくことが大切です。現状に満足しないでまだまだ成長していきたいです」

日野レッドドルフィンズ
橋本法史バイスキャプテン

「勝てたことはすごくうれしいです。今日の試合は風が強くて、コンディション的にも難しいところはあったのですが、その中で前半は我慢して戦えたことが、後半の最後の20分の粘りにつながったと思います。連戦の選手がいる中で、練習からチーム一丸となっていい雰囲気でプレーできていて、その勢いに乗って勝つことができました」

――7連勝となったが、チームの完成度はどうでしょうか。
「まだまだ伸びシロのあるチームだと思います。今日の試合の中でも成長していると感じました。風が強いコンディションの中で、80分間、しっかりとコミュニケーションを取れましたし、もっと強くなれると思います」

日野レッドドルフィンズ
谷口永遠選手(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)

「前節の中国電力レッドレグリオンズ戦では、スクラムで(プレッシャーを受けて)相手に流れを渡してしまうことがありました。今節はフォワードでしっかり(プレッシャーを掛けて)ペナルティを取りにいこうということで、それが体現できました。次節でもフォワードから流れを作って、スクラムでペナルティを取って、モールでトライを取っていきたいです」
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著者プロフィール

ジャパンラグビー リーグワンは、「あなたの街から、世界最高をつくろう」をビジョンに掲げ、前身であるジャパンラグビー トップリーグを受け継ぐ形で、2022年1月に開幕した日本国内最高峰のラグビー大会です。ラグビーワールドカップ2023を控え、セカンドシーズンとなるリーグワン全23チームの熱戦をご期待ください。

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