Baseball5アジアカップ優勝へ!日本代表選考会レポート

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 振り抜いた手から、『バチンッ』という衝撃音とともに、次々に高速の打球が放たれる。時に打球は守備の間を抜き、バウンドしてフェンスに達する。あるいはその途中で守備側の選手が素手で打球をつかみ、素早いモーションで1塁へ送球する。攻守ともハイレベルなプレーが出るたびに、場内は歓声や拍手に包まれる。他選手のプレーを称える姿は、スケートボードやBMXなどのアーバンスポーツを彷彿させ、その場にいると、ここが日本代表選手の選考会の場であることを忘れてしまいそうである。

 3月2日土曜日、都内体育館で「第2回Baseball5アジアカップ」(4/13-16、韓国・ソウル)に出場する日本代表選手の選考会が行われた。「侍ジャパンチャレンジカップ 第1回Baseball5日本選手権 オープンの部」に出場した全32チームから26名(男子15名、女子11名)が候補選手として招集された。(一部選手は故障やスケジュールの都合で辞退。)この候補選手の中から、男子4名・女子4名の日本代表を選ぶのがこの選考会の目的である。

 第2回アジアカップでは3位以上の成績で「第2回 WBSC Baseball5ワールドカップ」の出場権が獲得できる。しかし、第1回アジアカップで2位となった日本代表が今回目指すのはもちろん「優勝」のみ。躍動する選手たちの横で、選考委員たちはその一挙手一投足を真剣な眼差しで追った。

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 候補選手たちは、もともとの所属チームに関わらず、その日限りの6つのチームに振り分けられた。オリエンテーションのあと、チームごとにウォームアップ、その後は、キャッチボール、打撃練習、試合形式とメニューが進んだ。なお、キャッチボール以降の全てのメニューは選考委員による評価対象となった。

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 試合形式までの一連のメニューを終えて、2022年の第1回Baseball5ワールドカップに代表選手として出場した六角彩子(第1回WBSC Baseball5ワールドカップ最優秀女子選手)、三上駿(侍ジャパンチャレンジカップ 第1回Baseball5日本選手権 最優秀男子選手)、そして同年の日本代表決定戦に出場した稲村亜美(タレント)らに話を聞くと、日本のBaseball5のレベル向上について口をそろえて語ってくれた。

「以前からプレーしている人も、新規の人もレベルが高かった。日本全体的にレベルが上がっていると思う。選考も難しいのではないか。」(六角)
「2年前より参加人数が増え、レベルが上がっている。今日の試合も非常にしまった試合ばかりだった。」(三上)
「目で追えないくらい速い打球もあった。日本のBaseball5のレベルアップを感じた。」(稲村)

2年前の代表選考や、その後の世界大会を知る選手らが語るように、攻守ともレベルの高い選考会であった。そして冒頭に紹介したように、選手たちがハイレベルなBaseball5を心から楽しんでいるのが印象的な選考会でもあった。辻東倫(元読売ジャイアンツ)も、代表に選ばれるよう全力を尽くしたことに加え「他チームの選手と組んでの試合は良い経験になった」と語った。

 終了後、初めて代表選考会に参加した吉永健太朗(日大三高-早稲田大-JR東日本、第93回全国高等学校野球選手権優勝投手)は、Baseball5の魅力を次のように語ってくれた。

「ファウルがなく1球1球で(打者が)入れ替わり、スピード感がある。室内でもできるので、天候に左右されないのも魅力。男女混合というのも時代に合っていると思う。野球で打つ時はバットを使うので手で打つことには違いも感じるが、捕球については、手先で捕ろうとするとエラーになってしまうので丁寧に捕球することを覚えた。野球がうまくなることにつながる魅力もある。」
 参加した各選手も改めてBaseball5の魅力・楽しさに気づいたのではないだろうか。レベルの高い選考会で、代表には誰が選ばれてもおかしくないが、選ばれても選ばれなくても、選手たちは、今日この選考会で感じたBaseball5の魅力を自チームや各地域で伝えていってくれるのではないだろうか。集合から解散までわずか4時間ほどではあったが、Baseball5の将来に期待を感じる代表選考会であった。


《Homebase編集部》
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