【徳島ヴォルティス】勝利に導く「新たな風」は俺たちだ! 得点は自分の価値を証明するもの。背番号9・ブラウンノア賢信、徳島のエースへ

徳島ヴォルティス
チーム・協会

【©TOKUSHIMA VORTIS】

 今季、クラブ設立20周年、そしてJリーグ参入20シーズン目を迎える徳島ヴォルティス。昨季途中から就任した吉田達磨監督がシーズンの最初から指揮を執る。編成人数を37人から29人と減らしてスタートを切った。目標はもちろん「J1昇格」。吉田監督は最初のミーティングでも、「上がろう!」と選手たちに伝えたという。昨季の戦いを踏まえて、吉田監督が必要になると挙げたものの一つが「点を取ることへの意欲、渇望」だ。高知・宮崎でおこなったキャンプでは、クロスに対しての練習やゴール前での攻防が起こる練習を多く取り入れ、ゴールに向かう意識をチーム全体に植え付けた。

 昨季の徳島ヴォルティスはリーグ戦43得点、対して自動昇格した2チームは79得点、75得点と得点力アップは必須だ。しかし、昨季のチームトップスコアラーである13得点を奪った森海渡選手は柏レイソルからの期限付き移籍満了し、横浜FCに完全移籍した。そこで得点力アップに期待がかかるのは、アスルクラロ沼津から完全移籍で加入した ブラウン ノア 賢信選手だ。189cmの恵まれた体格に加え、抜群のスピードを持ち合わせる。そんなブラウンノア選手が徳島を選んだ理由について尋ねると「徳島はパスサッカーのイメージがあります。昨季の沼津もビルドアップを大切にするチームだったので、自分の力を最大限生かせるのではないかと思い、選びました」と答えた。

沼津・中山雅史監督との出会い

【ⓒJ.LEAGUE】

 23歳の若さで、2種登録を含めると横浜F・マリノス、カマタマーレ讃岐、水戸ホーリーホック、アスルクラロ沼津とJリーグの全カテゴリを経験し、徳島で5クラブ目。各クラブで感じ得たものは大きいようだ。「横浜FMでは、トップチームの練習にも参加しましたが、レベルの差を感じました。全部が足りなかった」と振り返る。そのシーズンはJ1リーグチャンピオンに輝いたチーム。得点王のマルコス・ジュニオール選手や仲川 輝人選手ら強力なアタッカー陣のプレーを間近で見て、「もっと強くならないといけない。もっとゴール前の迫力を持たないと」と肌で感じた。

 プロ1年目の2020シーズンは横浜FMへの加入が決まるのと同時に、カマタマーレ讃岐に期限付き移籍。前半戦は主に守備の部分などを課題に挙げつつ、後半戦になると課題も徐々に克服され、レギュラーの座を掴んだ。結果、22試合2得点の記録を残し、翌シーズンは水戸に完全移籍。それまでは戦術を意識してプレーすることは少なかったようだが「秋葉監督は、ここに抜けろ!とか、決まり事も多くて、考えてプレーするようになりましたね」。ただ、水戸では思うように結果を残すことができず、沼津への期限付き移籍が2021年の8月に発表され、翌シーズンには完全移籍となった。

 2023シーズンには、沼津で37試合13得点を挙げ、得点ランキング3位となった。得点を量産できた理由を尋ねると「沼津では人との出会いが大きかったですね」。そのシーズンに就任した中山雅史監督らとの出会いが彼の転機となった。「ゴンさん(中山雅史監督)からは、ゴール前の入り方を本当に教わりました。フィジカルコーチのメニューは本当にキツかった。だからこそ、体力も付いたし、どのように動けば得点を奪えるのかをめちゃくちゃ考えるようになりました」。筋トレにも精力的に取り組み、持ち味のスピードはさらに磨きがかかった。さらに、毎週のトレーニングで、スプリント系のメニューがあり、それに取り組むことでスプリント回数もJ1トップレベルの回数に増えたという。讃岐時代、間近でプレーを見ていたが、守備にいかず当時の望月 一仁監督に怒られていた光景を覚えている。今は守備の仕事も全く厭わず、2度追い、3度追いと前線から積極的なプレスで守備のスイッチ役も担えるまでに。沼津での出会いが彼を覚醒させるきっかけとなった。

 今季、吉田監督がキーワードとして掲げるのは「スピード」。攻撃のスピードはもちろん、奪われた後のトランジションも求められる。ますます、ブラウンノア選手には期待がかかる。

渡、柿谷。決して物怖じしない。

【©TOKUSHIMA VORTIS】

 レギュラーを掴むのには、チーム内のライバルも多い。「暴れる。」と契約更新時に、この一言だけ残した、渡大生選手。言葉数は決して多くはないが、2017シーズンには徳島で23得点を奪い、J2日本人得点王に輝いたストライカーは、昨季の1得点という悔しい結果を胸に、エースの座を狙う。

 また、昨季12年ぶりに徳島に復帰し、チームで2位の7得点を挙げた、背番号8・柿谷曜一朗選手。「温かいサポーターばかりで僕たち選手たちは助けられてばかりですが、それに甘えてばかりでもいけません。昨季一緒に味わった苦しい悔しいという気持ちを、今季は一緒に最高の結果につなげたいです」と力強く語る。そうそうたるメンバーだが、ブラウンノア選手も物怖じしない。「目標は、何度も言っていますが、二桁得点。得点は自分の価値を証明するもの。」

 開幕戦は2月25日(日)に、徳島ヴォルティスのホーム、ポカリスエットスタジアムでヴァンフォーレ甲府と対戦。

「J1昇格したい気持ちは強いですし、徳島なら本当に狙えると思っています。」

 背番号9を背負い、ポカリスエットスタジアムでブラウン ノア 賢信が徳島ヴォルティスのエースとして、新しい歴史を刻む。

【©TOKUSHIMA VORTIS】

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著者プロフィール

1955年創設、2005年にJリーグに加盟。ヴォルティスはイタリア語で「渦」を意味する「VORTICE」から生まれた造語。鳴門の渦潮にあやかり、パワー、スピード、結束力を備え、観客を興奮の渦に巻き込む想いが込められている。2014年には四国初のJ1昇格。2020年にはJ2初優勝を果たした。

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