「車いすカーリングに恋しちゃった」新しい選手たちのはじめの一歩
氷の上でノリノリ
ベルトランド・トラモント(以下、ベルトランド): 何年か前にテレビで観たんだ。普段からスポーツをやってるんだけど、歳を重ねてもできそうな車いすカーリングに興味を持ったんだ。
アナ・ナダル(以下、アナ): 私もテレビで観て。私は車いすラグビー、アルペンスキー、馬術をやっているんだけど、ほかのスポーツにも興味があったの。体験イベントで車いすカーリングをやってみたらハマっちゃった。
アナ: 投球の力加減が難しい……。刻々と変わるアイスの状態も読まないといけないから、やっぱりもっと練習と経験が必要。
ベルトランド: 先の先を読んで、という戦略が未熟だった。車いすカーリングは、たくさんのことを一度にやるから難しいね。
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スペインにカーリング場はあるの?
車いすカーリングの練習ができる場所は、国内に1ヵ所(ハカ)だけ。アイスリンクは秋から春にかけて5ヵ月間ほどしかオープンしておらず、ほかの競技も使うため、予約がほとんどとれないそう。アイスコンディションもよくないため十分な練習ができず、選手たちはイギリスやイタリアに移動して練習することもあります。
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アナ: 世界大会に参加できたことを友だちも家族も喜んでくれているし、新しい歴史をつくることができてとっても嬉しいの。残念ながら、YouTube配信で私が投球しているところは映らなかったみたいだけど(笑)
ベルトランド: 素晴らしい経験になったよ。今年の初めに関係者の1人が「世界大会に行こう!」と言ったんだけど、「そんなの不可能だよ。車いすカーリングを1度もやったことがないんだから」と答えた。でも、私たちは世界大会に出場することができた。拮抗した試合もあって、キャリアの長い国の選手たちとプレーできたことにとても満足しているよ。
チームは“家族”
ジェロニモ・ガブリエル(以下、ジェロニモ): 戦略的なところだね。チームのみんなが力を合わせて戦うという要素も好き。
イェザ・ソウザ(以下、イェザ): 家族みたいなチームの絆かな。
ジェロニモ: イェザみたいに若いアスリートと年齢の高い選手が一緒にプレーできるし、成長を一緒に感じられるところもいいよね。
ジェロニモ: 大変だね。気持ちをぶつけて、チームのバランスをとるときもある。でも忘れないようにしていることがあるんだ。それは、勝ったときも負けたときもみんな一緒、つまり「正しいときはみんな正しい、間違いはみんなの間違い」。みんなで勝敗を分かち合うことが大切だと思ってる。
――それにしても、アイスリンクに長時間いるだけで大変そうですね……。
イェザ: ほんと凍っちゃう! 車いすカーリングを始めたときは、体験したことのない寒さにびっくりして、氷の上に乗るのも少し怖かった。でも防寒着を重ね着すればへっちゃらだよ。
イェザ: 友だちも家族も驚いてた。「私、車いすカーリング選手なんだ」といったら、「えっ?」とか「カーリングって何?」って。でもみんなサポートしてくれて、大会のYouTube配信を観てくれたり、そのURLをSNSでシェアしてくれたり、すごく応援してくれてる。
――初めての世界大会で勝つ経験もしました。
ジェロニモ: 緊張していたけど、大舞台に立てることを素晴らしいと感じたし、最初のブラジル代表になれたことも誇りに思う。大会が始まったときはちょっと心配だったんだ。ほかのチームは素晴らしい歴史を持っていたり、パラリンピックにも出場したりしている。こんなチームと対戦して本当に大丈夫かなって。だからスペインに1勝を挙げられたことは、大きな仕事をやってのけたし、短い間ですごく成長できた。上手にはできなかったかもしれないけど、大会を通じてよく戦えたと思う。
interview by Reiko Shikama(TEAM A)
photo by TEAM A
※本記事はパラサポWEBに2024年1月に掲載されたものです。
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