歴史ある街にスポーツが溶け込む! パリで開催されたパラリンピックデーが大盛況
【photo by Mika Inoue】
会場となったレピュブリック(共和国)広場はパリのランドマークの一つ。3.4ヘクタールという巨大な広場の中央には、フランス共和国と自由を象徴する女神像マリアンヌがそびえる。今回はイベントの様子から、パラリンピックまであと1年を切ったフランスのムードの一端を覗いてみたい。
マクロン大統領からパリ市長、100人超のパラアスリートが集結!
シッティングバレーボールを体験したイダルゴ市長 【photo by Mika Inoue】
会場には100人超のパラアスリートたちが集結。デモンストレーションやパラスポーツ体験、サイン会など、選手たちと直接触れ合える絶好の機会となった。
会場には車いすテニス、車いすバスケットボール、車いすラグビー、柔道、シッティングバレーボール、卓球、カヌーなどのパラリンピック競技のほか、クライミングやスケートボードなどの人気スポーツがそろい、選手によるデモンストレーションや体験を楽しむ多くの来場者でにぎわいを見せた。
車いすラグビーの体験ブースにはフランス代表のキャプテン、ジョナタン・イベルナ(中央)の姿が 【photo by Mika Inoue】
激しいサーブやアタック、ブロックの応酬が続くシッティングバレーボール 【photo by Mika Inoue】
柔道ブースには選手以外にフリージュ(後述)の姿も。一緒に、礼! 【photo by Mika Inoue】
車いすテニスでは、選手たちの素早いラリーに歓声が起こった 【photo by Mika Inoue】
パラアスリートによるサイン会 【photo by Mika Inoue】
パリ2024オリンピック、パラリンピックの公式グッズも見逃せない 【photo by Mika Inoue】
パリ2024大会のマスコット、Phryge(フリージュ)。左がオリンピック・フリージュで、左がパラリンピック・フリージュだ 【photo by Mika Inoue】
会場を盛り上げたパラアスリートたち
マット・スタッツマン選手(右) 【photo by Mika Inoue】
アーチェリーとの出会いは偶然で、失業中の2010年にTVで狩猟のシーンを観てこれだ、と閃いたという。
「弓を買いに行った店で、店員に聞かれたんだ。どうやって使うつもりかと。家へ帰って、両腕のない人間が弓を引く方法をGoogleで検索したけれど、一件も見つからなかったね。それで自分で研究したんだ」とユーモアたっぷりに語る。
足の指でペンを持ち、サインをするスタッツマン 【photo by Mika Inoue】
「スポーツに限らず、何事にも不可能なんてないんだ。自分がその例として、多くの人に感じてもらいたい」と聴衆の心に深く刻まれる言葉を贈り、大きな拍手を受けた。
いち早くパリ2024大会の出場を決めているフランスのパラアスリートたちも、聴衆から喝采で迎えられた。
シャルル=アントワーヌ・クアク 【photo by Mika Inoue】
グローリア・アグブルマグノン 【photo by Mika Inoue】
みんなが参加しやすい、広く開かれたイベント
車いすバスケットボールを体験する来場者たち 【photo by Mika Inoue】
最初に選手たちが競技のデモンストレーションを行い、続いて参加者がチャレンジしていく。来場者はファミリー層が多く、幼い子どもたちも親と一緒に参加していた。
各競技スペースで体験を楽しむ来場者たち。走り高跳び(左上)、ブラインドフットボール(右上)、VRでの陸上競技用の車いす(レーサー)体験(左下)、カヌー(右下) 【photo by Mika Inoue】
車いすテニスを体験した少年2人。普段からテニスに親しんでいるというエタンくん(左)、オトナンくん(右) 【photo by Mika Inoue】
2028年開催のロサンゼルスパラリンピックへの正式競技入りが期待されるクライミング。体験のため、広場には大きな壁が設置された 【photo by Mika Inoue】
他にも多数のブースが。自転車競技体験(左上)、車いすユーザーも体験していたスケートボート(右上)、パワーリフティング体験(左下)、パリ2024パラリンピックのチケットが当たるゲーム(右下) 【photo by Mika Inoue】
【photo by Mika Inoue】
大人も子どもも楽しめる、視覚を遮断してゲームにトライする体験コーナー 【photo by Mika Inoue】
開催場所の便利さに加え、荷物のセキュリティチェックさえ受ければ入場フリー、参加無料という垣根の低さ。DJセットからは常時音楽が流れてフェスさながら、堅い雰囲気はみじんも感じさせない。フランス国内メディアの注目度も高く、お昼のニュースでもイベントのにぎやかな様子が流れた。
入場自由の野外イベントのため正確な数字は出ないものの、主催者の発表によれば数万人規模の記録的な来場者数だったという。パリ2024パラリンピックのチケットは半数以上が25ユーロ以下と手頃な価格で、家族パスの割引なども充実している。公式販売開始日前日というピンポイントのタイミングで行われたこのパラリンピックデー。パラリンピック競技の周知とパラスポーツの普及、そしてチケット発売のプロモーションという効果は十分に得られたはずだ。「Games Wide Open」をスローガンに掲げるパリ2024大会は、今回のイベントのように街にスポーツが溶け込んだ、高揚感ある場となるのではないだろうか。
text by Yuka Miyakata(Parasapo Lab)
photo by Mika Inoue
※本記事はパラサポWEBに2023年11月に掲載されたものです。
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