早大柔道部男子 中島瑞が悲願の日本一! 男子部初の快挙を達成

チーム・協会
第42回全日本学生体重別選手権 9月30・10月1日 日本武道館 記事・写真 湊紗希

ベスト8以上で講道館杯全日本体重別選手権(以下、講道館杯)の出場権を得られる、全日本学生体重別選手権。大会は2日間にわたって行われ、男子部からは計7選手が出場した。各選手が奮闘する中、66キロ級で中島瑞貴(スポ3=福岡・西日本短大付)が悲願の優勝を果たし、新たに講道館杯への出場権を獲得。また飯田健介(社3=福岡・南筑)が81キロ級で3位に入るなど、今後に期待のかかる結果となった。

66キロ級で優勝を果たした中島瑞 【早稲田スポーツ新聞会】

 60から81キロ級の試合が行われた1日目には、南出健慎(スポ1=石川・鶴来)と長澤篤希(スポ2=静岡学園)、飯田、中島瑞の4選手が出場。73キロ級の南出は初戦の2回戦、固め技や内股などで攻め込むも、試合中盤で奥襟をつかまれてしまう。そのまま相手に潜り込まれ、巴投で技ありを許した南出。さらに、その後縦四方固で技ありを奪われ、合わせ技一本で2回戦敗退となった。81キロ級の長澤は、初戦を上四方固の一本勝ちで突破。続く2回戦では試合中盤で相手の奥襟をつかみ、頭を下げさせた状態から一気に内股を仕掛けて技ありを奪った。しかし、終盤に内股から体勢を戻す際に足を掛けられ、後方へ倒れた長澤。勝利まであとわずか12秒という場面で、小外掛により悔しい一本負けを喫した。

2回戦に臨む南出 【早稲田スポーツ新聞会】

残り時間わずかで勝利を逃した長澤 【早稲田スポーツ新聞会】

長澤と同じ81キロ級に出場した飯田は、延長戦のGS(ゴールデンスコア)に突入しながらも2、3回戦を突破し、4回戦へ駒を進める。試合は両者ともに激しい攻防を繰り広げ、飯田にとって3試合連続の延長戦に突入。徐々に息も絶え絶えとなったが、試合開始から約9分の場面で、飯田は右手で相手の奥襟をつかむ。その後、相手が後方から巻き込むように片足を浮かせた瞬間を逃さず、襟を引き下げた飯田。後方へ相手の重心を崩し、大内刈りによる技ありで準決勝進出を決めた。迎えた準決勝では前方へ体勢が崩れたところで内股を決められ、一本負けを喫して3位で大会を終えた。

準々決勝に臨む飯田 【早稲田スポーツ新聞会】

 66キロ級では、中島瑞が準々決勝までの4試合を本戦4分の間で制し、順調に準決勝へ進出。準決勝はGSに入ると先に2つ目の指導を受け、反則負けへ後が無い展開となる。しかし、GS1分40秒の場面で相手を自身に覆いかぶさるように倒した中島瑞は、そこから相手の左腕を自身の手足で絞め、腕挫十字固で一本勝ちを収めた。「やることはやろう。勝てたらラッキー」。そう考えながら臨んだ決勝戦は、過去に対戦し、敗れた経験のある古志侑樹(天理大4年)を相手に迎えた。試合は両者ともに寝技や足技を仕掛けるも、本戦4分間でポイントは入らずGSに突入。先に2つの指導を受けた中島瑞には苦しい展開となるも、相手の内股などに何度も辛抱を見せる。そして試合開始から約9分、相手が内股を仕掛けようと前傾で片足立ちになった時、相手の勢いを利用して重心を前方に崩した中島瑞。内股返で見事に技ありを奪い、熱戦を制して自身初、そして同大会で早大男子部初となる優勝を果たした。

決勝で内股返を決める中島瑞 【早稲田スポーツ新聞会】

2日目には90キロ級から100キロ超級までの試合が行われ、早大からは道下新大主将(スポ4=東京・国士舘)、園田陸斗副将(スポ4=熊本・九州学院)、笠井雄太(スポ2=愛知・桜丘)が出場。100キロ超級の園田は、初戦で昨年同大会において3位入賞を果たした相手との対戦を迎えた。大内刈などで積極的な攻めを見せた園田だったが、組手争いの際に自身の後方から左足をすくわれ、小外刈で悔しい一本負けを喫した。同じ100キロ超級の笠井は、初戦の2回戦で支釣込足により一本勝ちを収め、3回戦へと駒を進める。3回戦は先に相手に2つの指導がたまるも、両者ポイントのないままGSに突入。拮抗した試合展開となったが、GS2分45秒ほどの場面で大外刈を仕掛けられるも、これを持ちこたえ、逆に大外返を決めた笠井。準々決勝進出を果たし、勝利の瞬間には力強いガッツポーズを見せた。迎えた準々決勝は、後に日本一を遂げた酒井晃輝(天理大4年)と対戦。試合中盤、笠井は組み合いの際に右足を踏み出した瞬間に隅落で技ありを奪われ、ポイントを先取される。その後も強敵相手に奮闘したものの、ポイントを取り返せずに準々決勝で敗退となった。

2回戦敗退となった園田 【早稲田スポーツ新聞会】

3回戦で大外返を決めた笠井 【早稲田スポーツ新聞会】

 90キロ級で出場した道下は、2度の払巻込による合わせ技一本で初戦を突破。2回戦では、開始から30秒ほどの場面で大外刈りを決め、技ありでポイントを先取する。数十秒後には釣り手と引き手で相手を前方に崩し、払巻込を決めて技ありを獲得。順調に合わせ技一本勝ちを収め、講道館杯出場のかかる3回戦へ進んだ。迎えた3回戦では、小学生の頃から対戦経験があり、国士舘中高時代のチームメートでもあるライバル・岡田陸(国士舘大3年)と対戦。互いによく知る者同士である故か、終始激しい組手争いが繰り広げられた。試合は足技や寝技こそ出るもポイントは入らず、共に消極的姿勢による2つの指導を受けてGSに突入する。その後も一進一退の拮抗した展開となったが、GS1分半の場面で内側から左足を上方に刈られ、大内刈を決められた道下。技ありを許し、悔しくも3回戦で岡田の前に黒星を喫した。

3回戦はライバルとの一戦となった(道下は写真左) 【早稲田スポーツ新聞会】

中島瑞が初の日本一を達成するなど、今大会で躍進を見せた男子部。これで講道館杯への出場権を持つのは飯田と笠井、中島瑞、中野智博(スポ3=神奈川・桐蔭学園)の4選手となった。努力が実った選手もいれば、目標に定めた講道館杯への切符を逃し、苦渋をなめた選手も少なくはないだろう。次戦は兵庫・尼崎にて行われる、全日本学生体重別団体優勝大会。「ベスト4を狙える」と道下主将が語るように、難敵相手にも真価を発揮できれば、上位入賞も決して不可能ではないはずだ。4年生と挑む最後の団体戦を、大会後に各々が「やり切った」と思えるものにしてほしい。

結果

▽男子66キロ級

中島瑞貴(スポ3=福岡・西日本短大付)  優勝  講道館杯出場権獲得



▽男子73キロ級

南出健慎(スポ1=石川・鶴来) 2回戦敗退



▽男子81キロ級

飯田健介(社3=福岡・南筑) 3位

長澤篤希(スポ2=静岡学園) 3回戦敗退



▽男子90キロ級

道下新大(スポ4=東京・国士舘) 3回戦敗退



▽男子100キロ超級

笠井雄太(スポ2=愛知・桜丘) 準々決勝敗退

園田陸斗(スポ4=熊本・九州学院) 2回戦敗退

コメント

飯田健介(社3=福岡・南筑)

――どのような目標で今大会に臨まれましたか


 今日は優勝を目指して試合に臨みました。自分の持っている力を全部出し切って、大会を終えることを目標に頑張りました。

――大会の感想をお願いします

 3試合がGSで精神的にも身体的にもキツくて、諦めそうになった時もありました。ですが、普段の練習からGSを意識した練習をして追い込めていたので、その成果を今日の3、4回戦で出すことができたと思います。

――試合を通じて、自身の調子はどのように感じていましたか

 調子は10段階中10でしたね!良かったです。

――最終戦となった準決勝の振り返りをお願いします

 強い選手というのはわかってたんですが、もっとやれた相手だと思います。自分の持っている力全てを5回戦、準々決勝では出せなかったので、そこを課題にいろいろ練習したいと思います。

――最後に、次の団体戦へ意気込みをお願いします

 必ず日本大学に勝って、その先も勝って、絶対に組織目標である3位を達成できるように、僕もその力になれるように頑張りたいです。

中島瑞貴(スポ3=福岡・西日本短大付)

――どのような目標で今大会に臨まれましたか


 組み合わせ的にも悪くなかったので、一つ一つ集中というか、先を見過ぎず一戦一戦に集中して、いけるとこまでいこうという感じでした。

――大会の感想をお願いします

 自分の柔道スタイルが上手く表現できたというか、よくできた試合だったなと思います。寝技もきっちりやれましたし、辛抱する時はしっかりと辛抱してという感じで、一戦一戦を戦えたかなと思います。

――試合を通じて、自身の調子はどのように感じていましたか

 調子は良かったです。減量など今日までのコンディション作り的にも上手くできたかなと思います。昨日もしっかりとリカバリーをした上で、今日臨むことができました。

――決勝戦前の心境について教えてください

試合前に「やることはやろう」とは思っていましたが、今は正直なところ「まさかいけるとは…」という感じです。あの大舞台で自分がやれるのかという部分で不安や緊張を感じましたが、自然と体は落ち着いていたかなと思います。気持ち的には「勝てたらラッキーだな…」という感じですね。

――これまでに全国大会の優勝経験は

 ないですね。最高が2位なので、優勝は初めてです。

――改めて決勝戦の振り返りをお願いします

 1回負けたことがある相手で、あまり相性がいいとは言えなかったので、根気勝負だなと感じていました。あとは投げられないように注意していて、試合中は防御に関しては上手くできていたと思います。攻撃は正直そんなに有効打も出なかったですし、指導も2つもらってしまって、いいところを出せたかと言われるとぼちぼちでした。最後は自分も疲れていましたが、相手も疲れてきたところで我慢できたところは良かったなと思います。とはいえ、まだ修正点や改善点はいっぱいありますね。

――最後に、次の団体戦へ意気込みをお願いします

 今回は組み合わせ的にも早稲田がベスト4を狙える絶好のチャンスだと思います。早稲田らしく早稲田の強みで戦えたらいいですし、そこに自分も貢献しようと思います。

道下新大主将(スポ4=東京・国士舘)

――どのような目標で今大会に臨まれましたか


 個人的にはベスト8以上、講道館杯に出ることを目標にして迎えました。

――大会の感想をお願いします

 自分の試合は1、2回戦が結構いい内容だったと思います。最後に負けた相手が高校時代とかからよく知る後輩だったので、非常にやりづらい部分もありました。ですが、最後は気持ちで、執念の部分で負けてしまったのかなと感じています。

――試合を通じて、自身の調子はどのように感じていましたか

 1回戦でちょっと自分の中に緊張があるなあと感じていました。2回戦以降は緊張もほぐれてきて、動きもそんなに悪くはなかったかなと思います。

――改めて、岡田選手(国士舘大3年)との3回戦を振り返ってください

 (岡田選手は)よく知る人物で、一番仲がいい後輩でした。今でも交流をもつような仲で、一個下ではありますが、小学校の頃からライバル関係でした。最後負けてはしまったんですが、最後があいつでちょっと良かったのかなと、このトーナメント自体も少し感慨深いものがある気がしますね。

――最後に、次の団体戦へ意気込みをお願いします

 とりあえず去年が1日目で負けてしまったので、2日目に残ることを大前提にしたいと思います。個人的にはベスト4まで狙えるトーナメントだと感じているので、今回軽量級も活躍していますし、重量級も元々個々の力はあると思うので、もう少しチーム力を高めて尼崎に臨めば、ベスト4を狙えるんじゃないかと思っています。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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