男子日本代表:アジア競技大会[7位決定戦]日本 55-74 韓国「もっとまわりを巻き込んで、結果を出したかった」今村佳太選手

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【© Japan Basketball Association.】

 「第19回アジア競技大会(2022/杭州)」のバスケットボールは最終日を迎え、男子日本代表は韓国との7位決定戦。どちらも満身創痍の中での戦いでしたが日本は55-74で敗れ、8位で今大会を終えました。

 コーリー・ゲインズヘッドコーチは3つのゴールを設定して臨んだ今大会。1つは予選グループ1位通過、2つ目は国際試合の経験を積むこと。そして、出場権を得た来年のパリ2024オリンピックへ向けた選考を兼ねており、試合の流れなどに左右されることなくすべての選手をコートへ送り、平等にチャンスを与えました。予選グループでの3連勝から最後は3連敗と悔しい結果に終わりましたが、この3つのゴールは達成でき、「ポジティブに捉えています」とゲインズヘッドコーチは評価します。
 昨日、Bリーグチャンピオンの琉球ゴールデンキングスが新シーズンの開幕を迎えました。今大会に臨む今村佳太選手はチームを留守にしなければならず、選手たちにとっては難しいタイミングであり、決断でした。「パリ2024オリンピックを目指し、日本代表としての僕の思いもチームは汲んでくれたおかげで今大会に出場できています。だからこそ、負けが続いた中でも絶対にヘッドダウンしてはいけないと思い、一貫して強くプレーし続ける責任もありました」と戦い抜きました。平均15点、スティール総数10本と攻守に渡り、またコート内外でチームを牽引。パリ2024オリンピックへ向け、「すごく手応えがありました」という今村選手は、以下のように今大会を振り返ります。

「どんな相手とマッチアップしても得点を取ることができ、クリエイトできたのは大きな収穫でした。トムさんのバスケスタイルが、僕自身としても徐々に定着してきたようにも感じています。だからこそ、もっとまわりを巻き込んで、結果を出したかったという思いもありました。この3週間は所属チームを離れている状況でも、ステップアップできました」

 成功体験を得られた選手がいる一方で、米山ジャバ偉生選手(富山グラウジーズ)は「手応えは全然感じられませんでした」と感想を述べます。米山選手の役割として、「身体を張ったディフェンスで前からプレッシャーをかけること、オフェンスでは積極的に3ポイントシュートを打つことを意識していました」が、反省点の方が多い大会となりました。しかし、良くも悪くもこの経験から成長することが大切な目的です。手応えこそ感じられなかった米山選手ですが、「きっかけをつかめたとは思っています」と言い、目指すべき方向は見えています。

「190cmの身長と体格を生かして、フロントコートから思いっきりディフェンスでプレッシャーをかけることは、相手にとって脅威になると思いました。オフェンス面でも3ポイントシュートやドライブが自分の役割だと分かったので、所属チームに戻ってからも積極的に続けていきたいです」

 韓国戦は齋藤拓実選手(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)と寺嶋良選手(広島ドラゴンフライズ)の2ガードを先発で起用。FIBAワールドカップ2023でも富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)や河村勇輝選手(横浜ビー・コルセアーズ)が世界を相手に活躍したアンダーサイズの日本のガード陣についてゲインズヘッドコーチは、「エナジーもスピードも3ポイントシュートもあり、バスケットIQが高く、そのレベルは確実に上がってきています」と可能性を感じています。同時に、「さらに上げていけなければ世界の強豪に勝つことはできず、オリンピックへ向けた課題です」と指摘するのも、日本にとっては欠かせない存在だからです。熊谷航選手(秋田ノーザンハピネッツ)を含めた今回の3人のガード陣に対しても、「日本のスタイルを突き詰めていかなければなりません。そのためにはプロセスが大事であり、この経験をしたからこそ、スタンダードを引き上げて積み上げて行って欲しいです」と期待を寄せました。

 小さなチームであり、大会前から要となるインサイド陣がケガに見舞われ、苦しい状況でした。川島悠翔選手(NBAグローバルアカデミー)をはじめ、フォワード陣は本来とは異なるポジションに戸惑いもあったはずです。「でも、そこに対して誰も言い訳はしていなかったですし、すごく人間性の良選手が集まった良いチームだと感じました」と今村選手は称えます。「誰が出ても役割は変わらずに、コートに立っている選手の強みを生かしていくのが日本の今のスタイルであり、そこはどんな状況でも変わりません」と続け、それを全うできたことが自信にもなりました。ゲインズヘッドコーチも「それこそがジャパン・バスケットボールです」と言及。ホーバスヘッドコーチが確立し、FIBAワールドカップ2023で証明したスタイルをこのチームも継承することはできていました。韓国戦を終えたあとのロッカールームでは、「アンダーサイズであり、若い選手や経験のない選手が揃ったチームだったが、日本代表として最後まで戦い抜いてくれたことを誇りに思う」と選手たちに伝えたゲインズヘッドコーチ。今大会で得たものをそれぞれが課題を持って取り組むことが、日本バスケの底上げにつながります。男子日本代表だけではなく女子日本代表や男女3×3人代表も含め、4チームのすべての選手たちにとって、ステップアップできるきっかけを得ることができた大会となりました。

コート内外で若いチームを鼓舞し続けた今村佳太選手 【© Japan Basketball Association.】

次につながるきっかけをつかんだ米山ジャバ偉生選手 【© Japan Basketball Association.】

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