生え抜き馬たちのダービーは人気決着?ショウガタップリ出走の西日本ダービー分析

佐賀県競馬組合
チーム・協会

準重賞・佐賀若駒賞を勝ち、地元代表の1頭として出走のミヤノウッドリー 【撮影:佐賀県競馬組合】

第8回 西日本ダービー
9月10日佐賀6レース
18時05分発走


西日本地区の各地方競馬場から3歳馬が集う西日本ダービー。その出走資格は「各場の生え抜き馬」であること。デビューからその走りを見続けてきた地元ファンにとっては「おらが町の馬が一番強い」と応援に力が入る一戦でもある。西日本地区にある6つの主催者(金沢、笠松、名古屋、兵庫、高知、佐賀)による持ち回り制の開催で、今年は佐賀競馬場で2度目の開催となる。2016年に創設されたレースを過去7回からのデータと、舞台となる佐賀ダート2000mの過去10回のデータから分析する。

開催場にかかわらず兵庫・高知馬が好成績

過去7回で最も勝利を挙げるのは兵庫所属馬。第1回マイタイザン、第3回コーナスフロリダ、第6回スマイルサルファーが優勝し、勝率、連対率、3着内率全てで高い数値を出している。マイタイザンは地元・園田競馬場での開催だったが、コーナスフロリダとスマイルサルファーは遠征しての勝利。また、高知所属馬はどの競馬場に遠征するにしても瀬戸内海を渡る必要があり長距離輸送が避けられないが、フリビオンが佐賀競馬場で勝つなど2勝を挙げる。

表1 【所属別成績】

地元ダービー上位馬に注目

JRAで「ダービー」と名の付くレースは日本ダービーただ一つだが、地方競馬の場合、地元競馬場でのダービーが行われたのち、秋に西日本ダービーが行われる。では、西日本ダービーで5着以内に入った馬の地元ダービーでの成績がどうだったかを見てみよう。
[表2]では西日本ダービー5着以内に入った馬のうち、地元ダービーに出走歴のある馬をピックアップ。馬名の頭の★印は開催場の所属馬を表している。
16年マイタイザンは兵庫ダービーで1番人気に推されるも7着に敗れ、西日本ダービーで巻き返した。その1例のみ例外で、基本的には地元ダービーでの成績と連動すると考えていいだろう。

表2 【西日本ダービー5着以内馬の地元ダービー成績】

1番人気4勝のレース

過去7回で1番人気が4勝を挙げる。最も人気薄での勝利は5番人気エアーポケット(20年)で、単勝は10.9倍だった。例年、初対戦の多いメンバー構成になるが、人気は信頼していい一戦。

表3 【単勝人気別成績】

馬券は手堅く狙う方が良さそう

先の項目に付随して、過去7回の3連単配当を見てみると、万馬券は20年と22年の2回のみ。16年は1番人気→2番人気→3番人気と人気順の決着で、840円だった。3連単の平均配当は7443円。

表4 【3連単配当】

佐賀2000mのコース形態

西日本ダービーの過去傾向を見てきたが、毎年開催競馬場の変わるレースのため、ここからは今年の舞台となる「佐賀ダート2000m」の傾向を見ていく。コース形態は下図の通り。
右回り1周1100m、直線はゴールまで200mの小回りコースで、2000m戦は向正面からやや引き込まれた地点からスタートし、1周半するコース。コーナーは6回まわることになる。

コース図 【佐賀競馬場】

内枠やや不利か

では、佐賀2000mの枠別成績はというと、表5の通り。コーナーが6回もあるため外枠不利かと思いきや、意外とそうでもない。むしろ、1枠と2枠の方がやや勝率が低くなっており、内ラチ沿いの砂の深さや内枠からスタートを決められなかった場合、勝負所からの進路取りが難しくなるのだろう。

表5 【佐賀2000m枠別成績】

中距離でも逃げ・先行有利なコース

直線の短い小回りコースゆえ、逃げ・先行馬が有利な舞台となる。地元調教師は「コーナーがキツめなので、4コーナーで4~5番手以内にいないと勝つには厳しい」と話す。中距離戦にはなるが、序盤から機動力のある馬、あるいは早めに捲っていける馬が理想だろう。

表6 【佐賀2000m脚質別成績】

データからの推奨馬は?

以上のデータから、理想の条件は
① 兵庫か高知所属馬
② 地元ダービーで5着以内
③ 上位人気
④ 逃げ・先行馬
⑤ あわよくば内枠以外

おそらく1番人気は石川ダービーを圧勝するなどデビューから無敗の11連勝を決めたショウガタップリ(金沢)。前走、大井に遠征した黒潮盃こそ6着に敗れたが、勝ったのはヒーローコールで、南関東強豪馬を相手に健闘した。②③⑤にあてはまり、地元戦同様、先行できれば④にも該当。
地元馬からはミヤノウッドリーか。九州ダービー栄城賞6着のため②には惜しくも当てはまらないが、内枠から窮屈で揉まれるレースを強いられており、力負けとは言いがたい。今回は大外枠で同馬には好材料だろうし、⑤にも該当する。同舞台の重賞であるル・プランタン賞とロータスクラウン賞では2番手に先行して2着に入っており、④も当てはまる。
①からはグロリアドーロ(兵庫)。兵庫ダービーは後方から脚を伸ばして3着で②、そして6枠で⑤にも当てはまる。
また、佐賀競馬場は高知からの移籍馬が好相性とあって、穴候補としてグラティアスグー(高知)も面白いかもしれない。

文・大恵陽子(おおえ ようこ)
競馬リポーター。小学5年生で競馬にハマり、地方競馬とJRAの二刀流。毎週水曜日は栗東トレセンで、他の日や週末は地方競馬の取材で全国を駆け回る日々。グリーンチャンネル「アタック!地方競馬」「地方競馬中継」などに出演のほか、「優駿」「週刊競馬ブック」「うまレター」「馬事通信」など各種媒体で執筆。
「大恵総合研究所」なるデータ分析機関を勝手に設立し、現場取材で得た騎手・調教師などの談話をヒントに、馬場傾向やレース傾向を導き出して精度向上に励む。

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著者プロフィール

佐賀競馬は九州唯一の地方競馬場として主に土日に競馬を開催しています。注目の重賞情報やイベント情報など、佐賀競馬のニュースを日々お届けいたします。

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