山﨑がいるとき・いないとき J1第24節vs北海道コンサドーレ札幌 マッチレビュー

note
チーム・協会
【これはnoteに投稿されたデータで見る京都サンガFCさんによる記事です。】

試合サマリ

前半

戦前の予想どおりオープンな展開に。

開始早々にこぼれ球を拾った札幌が決定機を得るも太田のビッグセーブで失点を許さず。

20分を過ぎると京都が徐々にペースを掴み始め、ロングボールでの組み立てを徹底する攻撃により札幌のハイプレスを回避し、高さで勝る前線の力を使って押し返すことに成功します。
しかし中盤でのロストやパスワークでヒヤッとするチャンスも作られます。
一進一退。

木下の交代で嫌な雰囲気になりますが、交代した原が巧みな裏抜けからPKを獲得。きちんと自分で決めきり先制に成功します。

拮抗した状況で先制し前半を折り返すこの上ない展開…と思いきや、泣かされ続けるVAR介入が発動。原のハンド判定で札幌にもPK。

暗い雰囲気がスタジアムに漂いますが、これを太田がビッグセーブ。開始早々のシュートストップに続き要所での素晴らしいパフォーマンスがチームを救ってくれました。

リードでの折り返しに成功します。

後半

山崎の交代に伴い3バックに変更したサンガ。

後ろ3枚への変更は劇的に上手くいくか悪化するかのどちらかになりがちですが、残念ながら今日は後者でした。
札幌に押し込まれ続ける展開が続いてしまいます。

サンガは自陣ゴール前に張り付けられた時の守備を不得手にしています。人数が足りているのに中央から崩されることも多々ありますが、この日は失点を許さず。

札幌側の事情ですが。
テンポ良く繋がるパスワークにドリブルで変化を付け、ゴール・アシストに絡み決定機を生む金子拓郎の不在があまりにも大きい。
アクセントを付けられない札幌のパスは、サンガのブロックの外周を回るに留まります。

右に流れて受けることが増えた浅野のアバウトなクロスが増えたのも、サンガ守備陣にとって脅威になりませんでした。真ん中にいて直接得点を狙われる方が怖い。
集中して守れていたのも要因ですが。

苦しい時間を耐えて失点を0で抑えることができました。
60分頃からはサンガが押し返しはじめ、原を起点としたロングカウンターでチャンスを作り始めます。

そして73分。
相手のエリア内ミスを拾った福田心之助が左足で追加点。お礼参りもとい恩返しゴール。ここ最近は攻守ともに厳しいパフォーマンスが続いていましたが、この日は良いプレーを続けていた福田にチャンスが巡ってきたのは偶然ではないでしょう。

ここから札幌は一気に攻撃を強化しましたが、エリアへの侵入や連続してのコーナーキックも得点には結びつきませんでした。

勝利が見え始めた92分。またも札幌のミスを見逃さないサンガがパトリックで追加点を挙げ、3-0。
勝利を決定づけました。

総括

【データで見る京都サンガFC】

両チームともにゴール期待値は2弱。 結果だけ見れば3-0で快勝に見えますが、3-3はもちろん0-3もあった際どい試合でした。

差を分けたFW・GKの個人の力。
このポジションの選手の移籍金が高騰しがちな理由が分かった気がします。

PickUp:前後半でチームが変わった要因

見ていて「前後半で変わってしまったなあ。悪い意味で」と感じた方は多いのではないでしょうか。

実際にかなり押し込まれてしまいました。なぜでしょうか。の部分を掘り下げていきます。

①山崎の負傷交代

【データで見る京都サンガFC】

前半から札幌の前線がキツいハイプレスを仕掛けてきました。
レイソル戦でズタボロにやられた「京都のGK・2CB・アンカーを前の3枚で潰す」の形と同じです。

レイソル戦と同じなのになぜ札幌相手にはやられなかったか。レイソル戦は悩みながら中途半端なプレーに終始しましたが、この日は迷いなく山崎に当てることで相手陣地に押し込むことができました。

何より、山崎のコンディションの良さ。

187cmで跳躍力があり、高さで競り勝ち空中のボールに先に触れる。
頭と見せかけて胸で収める。
機動力もあって裏抜けの選択肢を見せつつ足元の駆け引きもできる。
突撃プレスで寄せられればフリックで裏返すこともできる。

アバウトでもよいから大きく蹴って当てればよいのです。
今の山崎に背負われて完璧にはじき返せるDFなど、Jリーグにはそうそういません。
強みである武器で殴り続ける。シンプルですが勝利への近道です。

自分のゴールを優先して守備やポストワークで手を抜くFWも多いですが、山崎がそうでないことなど説明するまでもないでしょう。

山崎の頭で後ろに逸らされたボールが、裏に抜けた豊川・木下の足元に収まればそれだけで決定機です。
一撃で決められかねない危険に晒される札幌のDFラインは深く取らざるを得ず、ハイプレスを狙い続ける前線との距離が生まれ札幌は間延びしました。

結局川崎は使いませんでしたが、印象的なシーンでした 【データで見る京都サンガFC】

山崎に当てて押し込むもよし。
間延びした中盤で展開するもよし。

サンガにはスペースと選択肢が生まれ余裕に繋がりましたが、キーとなる山崎の途中交代で「ロングボール」の選択肢が失われてしまいました。

②3バックへの変更

札幌の間延び(前線と後ろの距離感が悪い)が、サンガが押し込むカギとなったことは上記のとおりです。

前半に札幌の後ろが上げきれなかった要因はもう一つ。FW・CHの裏抜けです。特にシーンが多かった山崎・豊川をピックアップします。

【データで見る京都サンガFC】

しつこすぎるほどに豊川が菅・中村の背後を狙っていました。オフサイドになることもありましたが。

得点に直結こそしないものの、明らかに札幌が対応に手を焼いていました。
左では松田や川崎が田中の裏を狙うこともあり、FW3枚・CH2枚の計5枚(FPの半分)を前線に置く4-3-3の利点を生かし、数を使って相手を押し込んでいたのですが...。

後半に入り3バックへ変更。
サンガの3バックは中盤アウトサイドが下がって守るため5バックになり、前線の枚数が減ってしまいました。チーム全体の重心が後ろにかかり、今度はサンガの前と後ろが間延びしてしまいました。

いくら裏抜けが有効と言っても一人で抜けるだけでは脅威にならず、DFを後退させることもできません。

少し話をさかのぼります。
レイソル戦とFC東京戦で豊川が下がってからチーム全体の攻撃が停滞したのは、偶然ではありません。

豊川の良さは、チャンスメイクやハイプレスなど目に見える分かりやすいプレイだけではない。

触れるかどうかわからない。無駄走りになる。
そんなリスクの高いボールであっても全力で裏抜けを続けることで、相手のディフェンスラインを後退させ、相手チーム全体の前進を止めてくれているのです。

ペップバルサの異次元のパスサッカーが、メッシ・イニエスタ・シャビの技術だけでなく、彼らにスペースを与えるために前後に走りまくっていたビジャ・サンチェスによっても支えられていたのと同じ話です。
WGの役割はフィニッシュワークだけではありません。

③想定外の原太智

前半からびっくりでした。こんなに足元上手いのかよ。と。

ぱっと見で分かるトラップの質。
「俺じゃなきゃ見逃しちゃうね(画像略)」のレベルではありませんでした。
(良くも悪くもリーガ2部に合わないなと感じました)

特に素晴らしかったのがキープ力を生かしたパスのタイミング。
サンガの選手がほぼできていない、プレスの矢印(重心)が受け手から外れた瞬間に出すことで味方に余裕を与える匠の技。

とはいえ、ベルギーで勝率1位と聞いていた空中戦での競り合いは…。本領発揮とはいかず。

そんなこんなで、TLで見かけた「ウタカそっくり」との表現が良い得て妙と思いました。

山崎が交代し制空権を失い押し込まれましたが、原が起点となることで去年のウタカを使ったロングカウンターと似た場面を多数作ることができました。

後半入ってすぐの押し込まれは想定外で慌てたものの、落ち着くに連れ原を軸にしたカウンター狙いに切り替えていたように見えました。

ロングカウンター狙いに切り替えたことで前半より保持され自陣に侵入される回数は増えました。一方で被決定機は減りました。

狙いどおり自陣に引き込んでやったぜククク...。
なんて良い話ではないかと思いますが、そこまで想定外でもなかったはずです。結果論も含め。

押し込まれたなら押し込まれたなりに原の足元やパスセンスを活かす道を見つける。
空中戦で制するのをプランAとするならば、地上で戦うプランBを見つける良いきっかけになったのでは。と期待しています。

個人評価(輝いた選手たち)

先発

GK 26 太田 岳志 8.0 ★MAN OF THE MATCH
前半最初と最後のビッグセーブで文字通りチームを救いました。PKストップの瞬間に感じた心と体が震える感覚。日常を過ごしているだけでは決して味わえない感動を与えてくれた、ファンタスティックなパフォーマンスでした。これぞエンターテイメント。
セーブ以外にも、プレーが切れているタイミングで福田を始めチームへの声かけも続けてくれたことが、最後まで切れなかったチームの集中を支えてくれていました。文句なしのMOMです。

DF 20 福田 心之助 7.0
裏を取られたりクロスを引っかけたりは残るものの、全てのプレーが劇的に改善し勝利に大きく貢献しました。のびのびプレーできるようサポートしてくれた周りに感謝ですね。

MF 18 松田 天馬 7.0
ポジショニングと運動量で相手の攻撃をたびたび寸断。裏抜けやパスワークでもいい働きをしていました。影のMOM。

控えメンバー

DF 24 イヨハ 理 ヘンリー46*' 7.0
途中出場のCBに7をつけていいものか悩むのですが、あまりにも安定していて取り上げたい気持ちを抑えられませんでした。難しい「CBの途中出場」をこなすクオリティが高すぎます。
完全移籍にしませんか?

MF 25 谷内田 哲平77' 6.5
こぼれてきたのは相手のミスでも、パトリックのスピードを殺さない位置とタイミングのパスは谷内田の技術。ハイプレスや守備時の位置どりも良く穴を作りませんでした。
パトリックがドリブルしてるからアシスト付かないかもしれないよね。みたいなところまで谷内田らしい。

FW 14 原 大智29' 7.0
ようやく巡ってきたきちんとしたデビュー戦。得点はもちろん前線の活性化とロングカウンター戦術の核となり3ポイント奪取に大きく貢献。
75分あたりで走り方が変わるくらいバテてしまっていたので、フィジカル面はこれからでしょうか。

さいごに

前節のFC東京…いやF東戦のマッチレビューで、こんなことを書いていました。
「妙な色気が出て中途半端になっている」「強みを整理して活かすことに集中すべき」と。

札幌戦では中途半端なビルドアップを捨て、自分たちのストロングを生かし戦う姿を見せてくれたと感じています。
その上3ポイントまで付いてきて何よりの結果です。

走力と高さを生かして相手を苦しめ続ける。
苦しんだ相手が手を打ち、歪みが生まれたところで、今度はその歪みをついていく。そのためのビルドアップ。強みを軸とした良い戦いだったと感じました。
(「そら見ろ!俺の言うとおりだろう!」ではなく「仮説が当たって嬉しいな」くらいに解釈してください)

とはいえ、苦言も呈させてほしい。
最終3-0とはいえ一歩間違えれば逆もあった試合で、何より「成長」ではなく「自分たちを取り戻した」だけです。

3歩下がって3歩進んだだけの現状を手放しに喜ぶことなどできません。
(福田が良いパフォーマンスを見せたからと言って、サイドバックの補充が手つかずである事実も問題視しています)

直近では9月の2週目はまた試合がない週です。
1週間空いてまた「3歩下がって」、9月末くらいに元に戻って「3歩進む」ではあまりにも進歩がありません。文字どおり。

過ちを繰り返さないために何が必要かを考えてほしい。
試合がなければ意識や集中が続かないようでは、戦い方が「チームに定着した」とは言えないはずです。

以上です。
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最後までご覧いただきありがとうございました!
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