2023.8.2 新日本プロレス G1 CLIMAX 33 DAY12 試合雑感

note
チーム・協会
【これはnoteに投稿されたもるがなさんによる記事です。】
◾️第1試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Dブロック公式戦
棚橋 弘至 vs アレックス・コグリン

棚橋が第一試合を務めることに様々な想いはありますが、それでもこの豪華さはやはり積み上げてきたものを感じますよね。対するコグリンも気合いは凄まじく、ロイべ投げやハイフライを捉えてのブロックバスターなど見せ場はかなり多かったです。

このG1での棚橋はコンディションが悪く、動きに精彩を欠く場面は多いものの、スリングブレイドの高度で判断するに何とか必死に抗ってるなという印象でした。しかしながら最後はコグリンのジャックハマー狙いを抑え込めず叩きつけられて敗戦。やはりコグリンのナチュラルパワーは目を見張るものがありますね。

後藤に続いての棚橋撃破の勝利の価値は大きく、多少衰えようともその首はいまだ大金星であり、棚橋戦以後の外国人レスラーは軒並み飛躍が約束されてるも同然なのであまりネガティブになることもないなと。

◾️第2試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
マイキー・ニコルス vs “キング・オブ・ダークネス”EVIL

相変わらずこの戦法に批判も多いですがEVILのこのG1での試合ってわりかし安定してますよね。この試合も相手がオーソドックスなマイキーというのもあってか悪辣な殺法がいつもより光っていましたし、会場のブーイングもいい相乗効果になっていたと思います。

特にディック東郷がセコンドにいると、反則技のときに観客の視点をEVILとディック東郷のどちらに集中すればいいかわからず、それがちゃんとブラインドとして機能しているんですよね。今回もレフェリーを盾にするシーンでEVILが何かするかと思いきやディック東郷の足掬いがあったわけで、単なる反則と言ってもバリエーションに細かな違いはあるのですよ。対するマイキーもやられっぱなしというわけではなく、スタイリッシュな金的ガードは惚れ惚れしてしまいました。

この試合のキーパーソンは藤田であり、度重なるとばっちりを受けたせいか乱入に違和感がなかったのがよかったですね。相手がやってるからこそこちらがやっても文句を言われる道理はなく、また2vs1のシーンがいつもより目立ってたのもあってカタルシスとして機能していました。

最後はジャパニーズレッグロールクラッチホールド。やや安定せず、ドタンと背中を叩きつけてのブリッジでホールドしたのは笑いましたが、ザックと同じ腕組みでのホールドはTMDKの絆を感じて良かったですね。


第3試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Dブロック公式戦
矢野 通 vs シェイン・ヘイスト

バケツマン誕生でダメでしたねw矢野の試合は特筆すべきことはなく、ネタがハマるか否かであり、笑ったら負けだと思っているので今回は僕の負けですw

最後は金的からの悪質タックルで押さえ込んで矢野の勝利。シェインは散々な目に遭いましたが、ぶっちゃけた話シェインのリアクションは本当に素晴らしく、やられた後の表情含めて文句のつけようがないですね。WWEでコミカルなキャラクターをやらせても意外とハマるどころかブレイクしそうな感じもあったというか、キャラと表現力の幅の広さに驚かされましたね。シェインいいですよ。

◾️第4試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
石井 智宏 vs HENARE

先ほどのコミカルな試合から一転してのバリバリのゴツゴツ・タフネスマッチ。このオールインワンパッケージの幅の広さが新日です。HENAREの入場時の気合いの入りっぷりは素晴らしく、顔タトゥー以後は明らかに変わりましたね。

懐かしのTOAボトムまで引っ張り出しての壮絶な死闘はHENAREに軍配が上がりました。石井は相変わらずずっと石井のままであり、ここ数年衰えてないどころかまさに不変と言ってもいいほどの安定感があります。G1での勝ち星がもはや関係ない領域にいるというか……それでいてその首の価値は落ちておらず、HENAREも現時点では2勝であるものの、鷹木戦に続いて石井戦でも勝利したのはデカいですよね。HENAREに必要なのは強者イメージであり、その証明になったと言えるでしょう。あとは鷹木と石井以外でも好勝負を叩き出せるようになれば一気にオーバーしそうですね。

◾️第5試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Dブロック公式戦
後藤 洋央紀 vs ジェフ・コブ

手負いの獣は恐ろしいという言葉は後藤のためにあるのかもしれませんね。膂力では流石にコブには負けるものの、負けるといって張り合えないわけではなく、伊達に激動の時代を生き抜いてきたわけではないのですよ。力で応対しつつも、時折見せた足攻めなどの柔軟さがしっかり機能しており、意外と器用なんですよね。

対するコブは負傷した後藤に対してやや舐めプモードでいながらも、村正を抱え上げてのボムやアスレチックスプレックスなどのスープレックスは相変わらずの衝撃であり、後藤は苦しい戦いを強いられます。

後藤危うしかと思いきや、カミゴェ式のヘッドバッドでダウンさせると、そのまままさかの秘技・回天を解禁!後藤のTwitter曰く「奥の手」とのことですが、このタイミングで出してくるとは……。僕の記憶が正確ならばヘビー転向以降は後藤は回天は雪崩式でしか使っていないはずで、これは闘魂継承で赤タオルを巻いて入場していたJr.時代の必殺技なんですよね。反動込みとはいえ、ムーンサルトを普通に放てるコブは受け手としてちょうどよく、巨体を綺麗に円を描いて叩きつけることに成功しました。

その後はGTRで後藤の逆転勝利。回天のインパクトがとにかく大きく、ひょっとしたら過去に使ってきたJr.時代の技を解禁するのかな?という期待が否応なしに高まってきます。あと残っている技はゴートゥーヘブンこと地獄車。これは王座戦モードのときにたまに出していますよね。それ以外だとビクトル式腕ひしぎ逆十字固めでしょうかね。往年のファンにはカシンのイメージが強い技ではあるのですが、昔の後藤の得意技であり、これはJr.時代にしか使っていない技でもあります。後藤のそれは極めたあとに顔面にバシバシと踵落としを入れる荒技であり、また見てみたいんですよね。ただ、腕関節はすでに昇龍結界があり、こちらも最近はあまり見せていないのでまた使って欲しくありますね。やはり後藤は「業師」であり、単なる脳筋パワーファイターというわけではないというのを改めて知らしめた試合になったなと思いました。

◾️第6試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
タマ・トンガ vs エディ・キングストン

タマの明るい雰囲気とエディキンのインディー殺法が綺麗に噛み合っていましたね。こうして相対するのを見るとタマちゃんも風格が出てきたように感じます。

エディキンのバックフィスト・トゥ・ザ・フューチャー。浸透してるような浸透してないような感じではありますが、あの急加速しての裏拳は結構好きなんですよねwそこからのノーザンライトボムでタマを倒してエディキンの勝利。本当にこの情念と情感はクセになるというか、所作が見てて飽きないんですよ。エディキンは本当に応援したくなりますよね。

◾️第7試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Dブロック公式戦
内藤 哲也 vs ザック・セイバーJr.

このG1を通じての内藤の試合はどれも内藤カラーが非常に強い試合というか、ファンが見たい自由奔放で大胆不敵な内藤哲也を存分に見せていると思います。コンディションも結構いいように感じるというか、勝っても負けてもどこか余裕綽々なんですよね。

このザックとのマッチアップも当人は不得手としつつもあまりそうした印象がないというか、以前の間接地獄での悲惨な負けのイメージが強すぎるだけで、ザック視点だと決して内藤はイージーゲームではないんですよね。以前の公式戦では徹底的に封殺されたわけで、ザックの試合が関節一辺倒から色々と拡張されたのって内藤戦がきっかけではないかと勝手に思っております。

そんな飛び回る内藤と迫り合いつつ、どうにか引き摺り込もうとするザックという構図になり、内藤と のテンポやペースに時に乗りつつ逆らいつつ、一進一退の攻防を繰り広げていました。互いにコリエンド式デスティーノ、ザックドライバーを撃ち合うも終わらず、時間切れが迫る中、最後はトルネードDDTの勢いのまま首固めを見せるという離れ技で内藤の勝利。これは凄く綺麗な決まり方でしたね。

なんというか、重要視してるのはみんながイメージするカッコいい内藤を見せることで、徹底してそこに拘ってるように感じました。これ、決勝進出もあるかもしれませんね。

◾️第8試合 20分1本勝負
『G1 CLIMAX 33』Cブロック公式戦
鷹木 信悟 vs デビッド・フィンレー

フィンレーにとっては大一番の一戦です。バレットクラブの新リーダーでありながら、現状のポジション的には大関といった印象であり、実力は申し分ないながらもあと一つ上に行くための「贄」が欲しいんですよね。その相手として鷹木は元王者というのもあってちょうどよく、見る前から死闘の予感がビンビンに漂ってきます。

その想像に違わず、脅威のテーブルクラッシュに雪崩式ブレーンバスターと身体を張り合う壮絶な戦いとなりました。特に雪崩式ブレーンバスターは凄まじく、セカンドではなくトップロープから鷹木が一気に放り投げたことでフィンレーがバウンドしたのがやばかったです。フィンレーのテーブルへのパワーボムも良かったのですけど、インパクトではこちらが上回りましたね。

対するフィンレーもクライマックスでは投げ捨てのパワーボムを二連続で見舞うなど、タマ・トンガ戦で見せたオーバーキルの処刑モードで応戦。手足をもぎ、骨を砕き、最後に子供がオモチャを投げ捨ててバラバラにするかのような、蓄積ダメージを一気に噴出させる意図での投げ捨てパワーボム連発というのはわりと斬新な気もします。力強さより残虐性が上回ってるとでもいいますか。体格的に合う技、合わない技とフィンレーは装備していますが、その意図に人体破壊というイメージの一貫性があるのはわりと好きだったりします。

しかしながらそれで折れる鷹木ではなく、最後はパンピングボンバーからのラストオブザドラゴンで勝利。途中のメイドインジャパンの決まり具合も素晴らしく、苦戦はしたもののしっかり勝ちをモノにするあたり鷹木の壁は厚いなと。フィンレーは本当にあと一歩といった感じですね。戦い自体はだいぶ洗練されてきた反面、やはり育ちの良さを感じる場面が多いので、この血統をどう活かすか今後が非常に楽しみです。

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