GR東葛、13日にD1残留をかけてホストスタジアムでの今季最終戦に挑む!

NECグリーンロケッツ東葛
チーム・協会

勝利をつかみきれなかった第1戦で得た課題と手応えとは?

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 「すごく悔しい。勝てた試合なのに負けてしまったから……」
 試合後に、CTBクリスチャン・ラウイがそう言って唇を噛みしめた。
 トレードマークである笑顔が、かけらも見られない曇った表情と、噛みしめた唇からこぼれてくる言葉のトーンが、なによりも雄弁にラウイの悔しさを物語っていた。

 ラウイが言う。
「確実にトライを獲り切るという部分は、次の試合に向けて修正しないといけないと思います。しっかり、ゆっくり自分たちのペースで攻めれば良かったのに、やっぱり少し焦った部分がありました。特に最後の方は、コミュニケーションも含めて、上手くいかなかった。もっと僕らのやりたいラグビーをできたのに、という思いがあります」
 ラウイの悔しさは、5対27と22点差をつけられて迎えた後半に、4トライをたたみかけて三重ホンダヒートをダウン寸前まで追い込みながら、トドメをさせずに29対34と敗れたところに源を発している。
 しかもヒートは、フロントローに負傷者が相次いでPRを務める選手がいなくなり、後半のラスト30分以上を、選手を14人に減らして、お互いに押し合わないノーコンテストスクラムでのゲーム続行を選択していた。数的優位を活かして作り出したチャンスを確実にモノにしていれば、スコアは逆転できたはずだった。

「相手がバテてきたときに、どうすればスペースができるのか。ボールの運び方もそうだし、その部分がきちんとできなかったから、前半はああいう点差になった。花園近鉄ライナーズ戦のように前半にいい形で試合に入れたら、後半もいい展開に持ち込めたのですが、今日は、前半でトライを奪われたので、余裕がなくなった……」
 ラウイ自身、76分にSO金井大雪からパスを受けてヒートの防御を切り裂き、インゴールに飛び込んだにもかかわらず、激しいタックルを見舞われてコントロールを失い、TMOでノックオンと判定されてトライを逃している。

CTB:クリスチャン・ラウイ 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】


 けれども、この日で入替戦が終わったわけではない。
 13日に柏の葉公園総合競技場で行われる第2戦(12時キックオフ)に、6点差以上つけて勝利すればディビジョン1残留が決まる。
 だから、ラウイは最後にこう言って前を向いた。
「僕も焦ってノックオンをしましたが、そういう部分で焦らずに自分たちの仕事をしっかりできれば、来週に関しては全然心配をしていない。勝てると思います」
 まなざしに浮かんでいたのは、悔しさではなく決意だった。

「前半から、アタックをしているときにあわてている感じがありました」と、松尾健コーチもラウイと同じ危惧を抱いてゲームを見つめていた。
 だから、ハーフタイムには「1つひとつの局面では勝っているのに、あわてている分、それがミスにつながっている」と、選手たちに伝えた。
 しかし、後半に入っても、そうした「バタバタ感」は収まらず、ラウイのノックオン以外にも2つ、決定的なトライチャンスを逸している。
 1つは50分過ぎに、ラインアウトでFLカヴァイア・タギヴェタウアがボールをしっかり確保。SHニック・フィップスが放った柔らかいパスに、狭いサイドからWTB後藤輝也が走り込んできれいに抜け出し、ゴールラインに迫った場面。これは、後藤が倒されてできたラックからのボールに、途中出場のNO8アセリ・マシヴォウがトップスピードで走り込んだためにパスを柔らかく受け止めることができず、ノックオンで終わっている。
 もう1つは、65分過ぎに、こちらもラインアウトからアセリが防御を突破。ゴール前でできたラックから、ニックが強引にインゴールに飛び込んだ場面だ。ニックは、ヒートLOフランコ・モスタート(南アフリカ代表)のタックルを食らって、インゴールでボールを落としてしまった。

 松尾コーチが言う。
「今日の試合に向けて準備をするなかで、ディフェンスでは技術的なポイントを3つ挙げたのですが、でも、それよりも『タックルは気持ちだよ』と強調しました。ところが――みんな気持ちが入り過ぎたのか、激しく行った結果がノット・ロール・アウェーのような反則につながってしまった。
 あるいは、気持ちが入り過ぎて、ボールの周りに寄り過ぎてしまい、ギャップができてしまった。そうではなくて、気持ちに余裕を持って、これまでやってきた通りにスペースを埋めれば、問題はなかったのですが……。
 これはアタックに関しても言えることです。
 後藤がラインブレイクした場面は(練習で想定したように)サポートがついて、ボールをつなげばトライにできるはずですが、あわてて対応ができなかった。ニックがノックオンした場面も、もう少しガマンしてあと2フェイズくらい重ねれば、余裕でトライが獲れたでしょうね。
 アタックでも、みんな自分がすべてやらなければ、という気持ちばかりが出ていた。いい意味でもっとリラックスすればいいのに……と思いながらゲームを見ていました」
 だから、やはりラウイと同じように、第2戦に向けて前を向いた。
 こう言うのだ。
「第2戦は、我々が今季やってきたことをしっかり出せば間違いはない。実際、今日の試合では、フィジカルで勝っていましたからね。何か特別なことをするのではなく、これまで積み重ねてきたことを、いかに100%に近い形で仕上げてゲームに出せるか――来週は、そこの勝負だと思います」

 ロバート・テイラーHCは、敗因に「グリーンロケッツ東葛の優位性を発揮できなかったこと」を挙げた。「優位性」とは、「これまでディビジョン1でタフで強度の高いゲームを戦ってきた経験」のこと。だから、第2戦では優位性をどう活かすかがカギになる、と言うのだ。
「今日の前半は、強度の高いプレーをなかなかできず、優位性を活かせなかった。でも後半には、レギュラーシーズンで経験した強度の差が現れて、ヒートの選手が手当を受ける場面が多くなりました。スクラムが、ノーコンテストになったのが、その証でしょう。ただ、プレーの正確性に欠けたことは、反省しなければなりません。でも、そうした反省を踏まえて万全の準備をして臨めば、来週は絶対に勝てる――そう確信しています」
 そして、今季最終戦となる第2戦に向けて力強くこう話した。
「まずスタートに集中すること。今日の後半のようなスタートを切ることがなによりも大切で、そのための強度、エナジー、そして勝利への意欲をこの1週間でもう一度高めます」

HC:ロバート・テイラー 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 キャプテンのレメキ ロマノラヴァは、「確かに今日はゴールラインを越えたところでノックオンが2回あって、スコアでは負けたけど、アタックには手応えがあった」と振り返ってから、こう続けた。
「今日のヒートにはホームアドバンテージがあったけど、来週はグリーンロケッツ東葛がホスト。こちらにアドバンテージがある。だから、来週は絶対に勝てると思う!」
 2試合の合計勝ち点で勝負を決める入替戦の決着を――そして、そんな一戦必勝の大事な今季最終戦を――ホストエリアのクルーの前で戦えることを、最大の武器に挙げたのだ。

 来季もディビジョン1という日本ラグビー最高の舞台で戦い、そのなかでさらにステップアップして白星を上積みする勇姿を、クルーへ感謝を込めて届けること――そのための大切な大切な「最初の一歩」を刻むこと――それが、グリーンロケッツ東葛が、13日にホストスタジアムの柏の葉で果たすべき、今季最後の、そして最大のミッションなのである。

(取材・文:永田洋光)

キャプテン:レメキ ロマノラヴァ 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

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著者プロフィール

NTTジャパンラグビーリーグワンに加盟するラグビーフットボールチーム。 日本選手権優勝3回、マイクロソフトカップ優勝1回の実績がある。2021年にリブランディングを行い、千葉県東葛エリアをホストタウン(千葉県我孫子市、柏市、松戸市、流山市、野田市、鎌ケ谷市、白井市、印西市)とし、チーム名を「NECグリーンロケッツ東葛」に改称。柏の葉公園総合競技場で開催されるリーグワンの試合をホストゲームと位置付けて運営している。「WIN THE RACE」をスローガンとし、日本一を目指す。

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