GR東葛FL亀井亮依、5日の三重ホンダヒート戦でチーム50キャップに到達!

NECグリーンロケッツ東葛
チーム・協会

入替戦は、来季もD1でバージョンアップした勇姿を見せるための通過点だ

亀井亮依 【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 NECグリーンロケッツ東葛の元キャプテンで、今季16試合中14試合出場と、攻守に身体を張って活躍中のFL亀井亮依が、5日の三重ホンダヒートとの入替戦第1戦(三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場 12時キックオフ)で、公式戦50試合出場を達成する。
 帝京大学ラグビー部でキャプテンとしてチームの大学選手権8連覇達成に貢献した亀井は、2017年グリーンロケッツ東葛に入団すると、トップリーグ開幕戦でデビューを果たした(後半開始から途中出場)。さらに、そのシーズンの12月9日にはサントリーサンゴリアス戦で初めてゲームキャプテンに抜擢されるなど、リーダーシップを発揮。翌18年度の共同キャプテン就任を経て、19年度からは2シーズン、単独でキャプテンを務めた。
 ところが、チームはなかなか白星に恵まれず、キャプテンとしての日々は、ほとんどが、勝てないチーム状態に苦悩する日々と重なった。
 しかも、リーグワン初年度となった昨季は、プレシーズンにアキレス腱断裂という大ケガを負って出場は3試合にとどまった。
 そんな苦難の日々を乗り越えた末の、50キャップ達成なのである。

 亀井が言う。
「僕自身は、そんなにキャップ数にこだわりはないのですが、正直に言えば、“まだ50キャップか……”という気持ちはあります。
 新型コロナウィルスの感染拡大で中断したシーズンがありましたし(19―20年度)、シーズン自体が短い年もあった(20―21年度)。僕自身も、リーグワン初年度を前にアキレス腱断裂というケガをしたので、仕方のない部分はありましたが、もう少し早くたどり着けたかな、みたいな気持ちですね。
 でも、この前150キャップを達成した瀧澤(直)さんや、チームで200キャップを達成したコベルコ神戸スティーラーズの山下裕史さんとか、上には上がいますから、自分としては50キャップは1つの通過点という感じです。
 今季は、これまで14試合に出場しましたが、今までで一番多いのではないかな。大きなケガをした次のシーズンに、ケガもなくここまで来られたのは、自分としては成果だと思っています。
 ただ、年々強く感じていることですが、シーズンを通して試合に出続けること自体に、難しさがある。試合に出るためには、まずメンバーに選ばれなければならない。つまり、チームから求められるプレーヤーであり続けて、初めて試合に出場することができるのです。
 僕のFW第3列というポジションで言えば、選手が大型化し、(海外出身ながら日本人選手と同等の出場資格を持つ)カテゴリーAの選手も増えているなかで、1つあるかないかの椅子を争うような状態です。だから、すごく難しく厳しい競争に勝たないといけない。
 しかも、コーチ陣が入れ替わると、やろうとするラグビーも違ってくるから、そのなかで求められることに対して、自分の持っている力をどう発揮するか。そういったことも、メンバーに入るためには必要になってくる。
 だからこそ、100キャップや150キャップという選手はすごいと思うのです。
 もちろん、僕自身、達成が不可能だとは思いませんが、そのためには、相当な準備や努力が必要になるでしょうね」

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 そんな亀井にとって、キャプテンを務めた日々はどんな毎日だったのか――。
「入団したシーズンからゲームキャプテンを務めたことは嬉しかった。頑張ろうと思いました。
 僕自身、大阪市立菫(すみれ)中学校でキャプテンを務めてから、常翔啓光学園高校、帝京大とキャプテンをやらせてもらったので、背負うではないですが、そういう立場でプレーする感覚が常にありました。だから、キャプテンはそれほど重荷ではありませんでした。
 大学で同期の姫野和樹は、トヨタヴェルブリッツ入団と同時にキャプテンに就任したし、若手がキャプテンを務めるのは、そう珍しいことではなかったですからね。
 キャプテン像には、いろいろな在り方があると思います。
 役割や、やり方も人によって違うでしょう。たとえば、ゲームをコントロールするポジションの人がキャプテンになれば、ゲームコントロールが役割になるし、それは、チームによっても変わってくる。僕のFLというポジションで言えば、チームから求められるのはプレーの一貫性ですから、自分の役割をやり続けることが、求められるキャプテン像だと思っていました。
 ただ、チームが勝てなかった19年度からの2シーズンは苦しいときが多かった。でも、常にそういう“何かを背負う”ポジションにいたので、マイナスではなかったですね」

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 そして、キャプテンの重責から解放された21年、新生グリーンロケッツ東葛の一員としてリーグワン初年度に臨もうとした矢先のアキレス腱断裂。それもまた試練のときだった。

「たぶん、慢性的な疲労が溜まっていたのだと思います。プレシーズンの、走って当たってスクラムを組んで……みたいなメニューの最中に切れたのですが、僕自身の足の踏ん張り方やステップの切り方に問題があったところへ、疲労の蓄積が重なってのケガでした。
 でも――もちろん、ケガしたことは残念でしたが、今から思えばケガして良かったと思う部分もあります。
 1つは、自分の身体としっかり向き合えたこと。
 アキレス腱を切ったことで、身体のバランスが狂ったのですが、切る前の身体の動きには改善しないといけない部分があったのでしょうね。
 昨季はトレーニングがあまりできなかったので身体が細くなった。その分、今季は、プレシーズンからリハビリと身体の強化をしっかりやってきました。今は、やっと身体のバランスが整い始めたところです。これは感覚的な部分ですが、僕自身のなかでは走り方も変えました。
 だから、今季は、ケガする前の段階に戻ったというよりは、一歩成長してバランスを整えられたシーズンでした。
 とはいえ、ケガ明けだったので、一番の目標は、大きなケガをせずにシーズンを終えることでしたね。ケガする前は、ただ闇雲にハードなトレーニングをしていましたが、ケガをして“いつまでラグビーできるかわからんな”と痛感したので、まずはケガをしない身体にすることが大切だと思ったのです。
 だからこそ、1試合1試合出場できる喜び、1試合の重みを、より感じるようになりました。キャップ数に関係なく、“プレーできるのはありがたいことやな”と、つくづく思ったシーズンでした」

 同時に、チームを外から見て学んだことも多かった。
「グリーンロケッツ東葛のラグビーを外から見る時間が長かったので、いろいろと勉強になりました。昨季に関して言えば、外から見ていてディフェンスのシステム自体が機能していなかったし、選手がシステムを理解できていない部分がありました。というか、基盤ができていなかった。
 今季は、ディフェンスコーチを含めて、しっかりと基盤を作って実行する――という、ディフェンスをする上で最低限必要な部分は、チームとしてレベルアップできたと感じています。
 もちろん、まだまだ細かい部分ではレベルアップしないといけないところはありますが、今は、逆にその部分が、入替戦の2試合でもっと伸びていけるところだと思っています」

【NEC GREEN ROCKETS TOKATSU】

 入替戦を、ディビジョン1残留のための戦いととらえるのではなく、来季以降、チームとしてレベルアップするための絶好の機会と、とらえているのだ。

 だから、亀井は、こう言葉を継いだ。
「50キャップだからといって、僕自身が入替戦で特別なことをするつもりはありません。
 ただ、グリーンロケッツ東葛がディビジョン1で16試合を戦い、強度の高いゲームを経験するなかで、チームとしてレベルアップしたこともあります。そんな強みを、ゲームのスタートからしっかり出すことが勝つためには必要で、そのための準備をして臨みたいと思います。
 ホンダヒートとは、2シーズン連続の入替戦となりますが、アグレッシブな部分をぶつけてくるチームです。だから、ラグビーの基本であるフィジカルバトルで勝つこと――そこが一番大切な部分になると思いますね」

 そして、第1戦に勝利すれば、ホスト柏の葉公園総合競技場に戻っての第2戦(13日 12時キックオフ)で、東葛エリアのクルーの前でディビジョン1残留を決めてシーズンを締めくくることが可能になる。
 亀井自身も、51キャップからの新しいスタートを、クルーに披露することができるのだ。
「必ずディビジョン1に残留を決めて、来季につなげていきたい――それが、チーム全員の思いです。だから、クルーのみなさまには、会場に見に来ていただけると、僕らもありがたい。
 僕自身、柏の葉での最終戦のメンバーに選ばれれば51キャップ目となって、100キャップへの第一歩になります。だから、僕にとっても大事な試合です。いいスタートにできれば、と思っていると同時に、シーズンの良い締めくくりにしたいですね」
 そう。
 亀井自身が、来季ディビジョン1のなかでバージョンアップした勇姿を披露するためにも、入替戦必勝はマストなのである。
 だから――亀井は、取材の最後を、こんな力強い言葉で締めくくった。
「勝ち切ります!」

(取材・文:永田洋光)
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著者プロフィール

NTTジャパンラグビーリーグワンに加盟するラグビーフットボールチーム。 日本選手権優勝3回、マイクロソフトカップ優勝1回の実績がある。2021年にリブランディングを行い、千葉県東葛エリアをホストタウン(千葉県我孫子市、柏市、松戸市、流山市、野田市、鎌ケ谷市、白井市、印西市)とし、チーム名を「NECグリーンロケッツ東葛」に改称。柏の葉公園総合競技場で開催されるリーグワンの試合をホストゲームと位置付けて運営している。「WIN THE RACE」をスローガンとし、日本一を目指す。

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