シーズン開幕から1カ月……昨年の今頃は? 2022年の月別勝率を振り返る

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左上から松本剛選手、西川遥輝選手、水上由伸投手、山口航輝選手、山本由伸投手、東浜巨投手 【(C)パーソル パ・リーグTV】

 2023年シーズンが開幕してから1カ月。オリックスと千葉ロッテが同率首位に立つなど、パ・リーグは混戦状態が続いている。

 昨季はオリックスの劇的な逆転優勝で幕を閉じた。しかし、この「逆転」優勝という言葉からもわかるように、シーズン中、優勝チームが常に他を圧倒していたというわけではない。どのチームにも、投打がかみ合って連戦連勝というタイミングがあれば、その逆もあったのだ。

 それぞれの球団にとって、シーズンのターニングポイントはどこで生まれるのか。開幕から1カ月が経った今、昨季の月別勝率を振り返っていく。

3~4月:東北楽天が驚異的な勝率をマーク

3~4月順位表 【(C)PLM】

 3〜4月の勝率1位は東北楽天だ。開幕直後に4連勝を飾って勢いに乗ると、一度も連敗しないまま4月を終え、他チームを大きく引き離しての首位となった。月ごとの集計で勝率が7割を越えたのは、この月の東北楽天だけであり、まさに絶好調だったことがわかる。その原動力となったのが、西川遥輝選手。打率.333、出塁率.472、5本塁打、7盗塁と縦横無尽の活躍で、同期間の月間MVPにも輝いた。

 2位の福岡ソフトバンクは、3月は6戦6勝と完璧な滑り出し。しかし、開幕5試合で2本塁打5打点とチームを引っ張っていた栗原陵矢選手の離脱が響いたのか、4月は9勝11敗1分と負け越した。

 一方、3月は1勝5敗という結果だったオリックスは4月、3度のサヨナラ勝利などで巻き返し、勝ち越しに成功した。そのうちの2試合は土壇場から吉田正尚選手の打棒で同点としており、主砲の意地を見せる結果となっている。

5月:7連勝を飾り好調な福岡ソフトバンク。ペナント覇者のオリックスは苦戦

5月順位表 【(C)PLM】

 5月は、7連勝を飾った福岡ソフトバンクが勝率1位に。大型連勝の締めは、東浜巨投手のノーヒットノーランだった。大関友久投手もプロ初の完封勝利を挙げていることから、先発投手がしっかりと試合をつくったことが要因の一つと言えそうだ。

 前月好調だった東北楽天は、8連勝もあれば、2度の4連敗もあるなど浮き沈みが激しく、貯金をつくることができず。北海道日本ハムも同じく勝率5割だが、こちらは前月から大きく勝率を上げている。上沢直之投手が完投勝利を含む4勝0敗、防御率0.58と貫録の投球を披露した。

 この月の勝率最下位は、意外なことにリーグ覇者のオリックス。こちらはいきなり7連敗を喫してしまったことが影響した。7連敗のうち4試合は1点差で落としており、応援しているファンにとってももどかしい試合展開だったかもしれない。

6月:投打の主軸が躍動した千葉ロッテがトップ

6月順位表 【(C)PLM】

 6月は、千葉ロッテが6割超えの勝率をマークした。同チームはパ・リーグで唯一、昨年の交流戦を勝ち越しており、納得の数字だ。美馬学投手が3勝を挙げているほか、4番にも座った中村奨吾選手が月間打率.292の好成績を収めた。埼玉西武は、栗山巧選手が19試合で打率.353と好調。前半を4勝7敗で折り返すも、5連勝で6月を終えて同率2位に滑り込んだ。

 交流戦を3連勝で締めた北海道日本ハムは、リーグ戦に戻ってから1勝9敗と大苦戦。5月には4本塁打を放った清宮幸太郎選手が1本塁打にとどまるなど得点力不足が目立ち、勝率は3割を下回ってしまった。

7月:オリックスが6割超えの勝率で初の月間勝率1位に

7月順位表 【(C)PLM】

 7月は、オリックスが初の勝率1位を獲得。最大でも2連敗と、大型連敗をすることなく安定して勝利を積み重ねた。椋木蓮投手が初登板初勝利、2試合目では9回2死まで無安打無失点投球を披露するなど、新戦力も台頭した。

 3カ月連続で勝率2位の埼玉西武は、新人王に輝いた水上由伸投手が11試合に登板し無失点。チームを勢いづける投球で、中継ぎ投手ながら2日連続で白星も手にした。北海道日本ハムは、勝ち越しが見えかけたところで松本剛選手が離脱。その後は2勝5敗と失速し、勝率5割止まりとなった。

8月:福岡ソフトバンクが2度目のトップ。3連続で2位の埼玉西武も同率1位

8月順位表 【(C)PLM】

 直近の2カ月では黒星が先行していた福岡ソフトバンクが、3カ月ぶりに月間勝率首位へと返り咲いた。7月には中継ぎとして登板していた武田翔太投手が、4試合に先発して2勝を挙げている。同率1位の埼玉西武は、序盤に2戦連続サヨナラ勝ちで4連勝を飾るも、この月は3度のサヨナラ負けがあった。クローザーを務めた増田達至投手が防御率4点台と不調で、波に乗り切れない部分があったか。

 千葉ロッテは勝率5割にこそ届かなかったが、前半を終えて3勝8敗と大きく負け越していたことを考えれば、十分な巻き返しを見せている。若き大砲・山口航輝選手が1本塁打ながら3割超えの打率を記録。つなぎのバッティングで打線をけん引した。

9〜10月:投手陣の奮闘が光ったオリックスが制覇。北海道日本ハムは初の勝ち越しで有終の美を飾る

9~10月順位表 【(C)PLM】

 9〜10月は、勝率.619のオリックスが1位に輝いた。エースの山本由伸投手が4勝0敗とさすがの成績を残しただけでなく、救援陣も奮闘。ポストシーズンでも鮮烈な印象を残した山崎颯一郎投手、宇田川優希投手はともに10試合に登板し、それぞれ0.60、0.00という防御率を記録した。

 北海道日本ハムは、シーズン開幕時から試行錯誤を重ねてきた新庄剛志監督の取り組みが実り、最終月にして初めての勝ち越しに成功。最終戦も勝利し、2023年シーズンへ期待を抱かせる終わり方だった。

 対照的に、ここまで抜群の安定感を見せていた埼玉西武が失速。9月中盤の7連敗が大きく響き、勝率3割台となってしまった。また、東北楽天は6月以降4カ月連続での負け越しに。9月~10月は、最多安打のタイトルを獲得した島内宏明選手が打率.248とやや苦しんだ。

 月別の成績を見ていくと、1年を通してそれほど勝率が上下しないチーム、振れ幅が大きいチームと、それぞれ特色があることがわかった。さらに、2022年のパ・リーグにおいて、ペナントの最終順位と月間勝率の順位が一致する月は存在していない。ここに、143試合という長丁場を戦うリーグ戦のおもしろさが表れている。

 2023年シーズンも始まったばかり。今後どのような展開が待っているのだろうか。

文・吉村穂乃香
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