京セラドーム大阪のビジョンがパワーアップ! 演出担当者の新たな挑戦に迫る

オリックス・バファローズ
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【オリックス・バファローズ】

バファローズ本拠地開幕戦の九回裏、森友哉選手が放ったボールがライトスタンドに吸い込まれると、京セラドーム大阪6階のメディア放送室内に緊張が走った。球団宣伝グループのビジョン演出担当、木寺一樹がオペレーターに合図を送る。見つめる先は、センターバックスクリーン後方部の大型ビジョン。公式戦初お披露目となる新しいホームランムービーがスタートした。「HOMERUN」の特大文字がドームの屋根を突き破るイメージが映し出される。レッドカーペットをイメージした真っ赤な画面の両脇に、オスカー像を模したゴールドのバファローブルが次々と流れていく。最後にもう一度「HOMERUN」の文字が画面いっぱいに映し出され、ダイナミックなムービーが終了すると、木寺はほっとした表情で胸をなでおろした。
ビジョン演出担当者として10年目の春を迎えた木寺。今シーズン、サイズと機能がパワーアップしたビジョンをフルに活用し、多彩な演出に着手した。「むちゃくちゃ気合入れて作りました。バリエーションではどの球団にも負けていないつもりです」。木寺が自信を持って語るビジョン演出のこだわりについて話を聞いた。

写真:新設されたウイングビジョン(赤枠) 【オリックス・バファローズ】

◆2倍サイズのビジョンと新たな演出装置

オフシーズンの間に、京セラドーム大阪ではビジョン改修工事が行われた。これまで広告看板だったメインビジョンの両脇に、ウイングビジョンを1面ずつ設置。3面つなげることで、スクリーンサイズがおよそ2倍となった。さらに、ソニーマーケティング株式会社がシステムを組んだ演出装置を導入したことで、奥行きある立体的な映像演出と、より高度なリアルタイム演出が可能となった。
「ビジョン演出の幅がぐっと広がりました」と木寺。立体感あるバファローブルとバファローベルのアニメーションが、選手登場、ヒット、奪三振などあらゆるシーンで登場し、広大なビジョンの上を縦横無尽に動き回って球場内を盛り上げる。
スコアボード自体には変化を加えず、上からさまざまなイメージを重ねて演出する。「子どものころ、教科書に落書きとかしませんでした? それに近い感覚で考えました」。歴史上の人物に濃い髭を加え、おかしな吹き出しをつけた、やんちゃ坊主の「遊び心」が演出の原点にあるという。

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写真:ウイングビジョンの広告の後ろには、ブルとベルのオペレータールームが広がっている。 【オリックス・バファローズ】

◆ビジョンの裏で作業するブルとベル

新たなビジョン演出において木寺が重要視したのが、奥行きの見せ方。ブルとベルの動きが立体的であることはもちろん、世界観にまで奥深さがある。
「昔のスコアボードは裏側に人がいて、パネルを付け替えたりひっくり返したりして、選手の名前や守備位置を表示していました。それをイメージして、ブルとベルがビジョンの裏で作業している設定です」。木寺の想定では、普段ウイングビジョンに映されている広告の後ろには、ブルとベルの専用オペレータールームが広がっている。広告が入れ替わる際にちらりと見ることができる一室。写真の通り、椅子やモニターまで細かく作りこまれており、ブルとベルが楽しく演出の作戦を立てる姿が想像できる。
ブルとベルの一挙手一投足にも意味が込められている。「持っている応援タオルのデザインを変えたい時は、一度後ろを向かせてタオルを入れ替えさせています」。あえてアニメーションにひと手間加えることで、マスコットがビジョンの中で生きているように感じさせる。

写真:4月5日、杉本選手の第1打席で流れた誕生日のビジョン演出 【オリックス・バファローズ】

◆誕生日の特別演出

4月5日は杉本裕太郎選手の32歳の誕生日。第1打席で名前がコールされると、スコアボードに映る顔写真にパーティハットが被せられた。ピンク色のクラッカーから「HAPPY BIRTHDAY」の文字が飛び出し、ミニサイズのブルとベル、そして大阪らしくタコ焼きがビジョン上に散りばめられた。応援団からのバースデーソングと相まって、球場内は温かな応援ムードに。この日、杉本選手はマルチ安打。さらに翌日に3ランを放ち、お立ち台では「入団した時から、京セラでバースデーソングを歌ってもらうのが夢でした。昨日叶いました!」と格別な喜びを伝えた。
シーズン中に数えるほどしか使えない誕生日演出まで用意した理由について、木寺は情熱を持って語る。「だからこそ、やる価値があるんです。選手にとっての特別な日に、縁あってその場にいることをスタンドの皆さんに伝えたい。それがその選手を好きになるきっかけになるかもしれないから」

写真:ホームランのビジョン演出 【オリックス・バファローズ】

◆これからも面白い仕掛けを

木寺が考える野球観戦の醍醐味は「期待、がっかり感、喜び、悔しさ。色んな感情をリアルに味わえるところ」という。その場内の感情の起伏を大きくする引き金が、ビジョン演出と考えている。「これからも試合展開にのめり込める面白い仕掛けを考えて、訪れた人に『もう一度あの感動を味わいたい』と思ってもらいたい」。改めて決意を語った。
「シーズンは始まったばかりなので、全然出しきれていません。これからですよ!」と木寺。遊び心満載の演出アイデアは、とどまるところを知らない。(西田光)
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