【物語りVol.42】CTB 森 勇登「個人個人のやるべきこと、細かいところを突き詰めていく」

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東芝ブレイブルーパス東京では、ファンの皆さまにクラブのことをより知っていただくために、今シーズンからライターの戸塚啓さんにご協力いただき、選手・スタッフ一人ひとりの「物語り」を発信しています。
※スポナビでは毎日朝7時と夕方17時に更新します

【物語りVol.42】CTB 森 勇登

 スーパーエリートと言っていい経歴の持ち主である。
 中学時代に福岡県選抜で全国優勝を経験した。東福岡高校では、3年時に3冠を達成した。U17日本代表、高校日本代表に名を連ねた。
 明治大学にはゴールデンルーキーとして入部し、1年時から試合に出場した。18年の大学日本一に大きく貢献し、ジュニア・ジャパンの招集も受けた。
 東芝ブレイブルーパス東京にも才能豊かなセンターとして入団している。複数の社会人チームから誘いを受け、「自分が一番成長できるチーム」との理由で、伝統ある赤いジャージを選んだ。
 ところが、数年前から言い知れぬ違和感に襲われていたと言うのだ。
「大学3年の終わりぐらいから、感覚的にうまくいってないなというのがずっとありまして。それまでチャレンジできていたのが、だんだんとチャレンジせずに手堅いプレーになっていったというか。考え過ぎてうまくいかない……ちょっと悩み過ぎていました。ブレイブルーパスに入ってリーグワン1シーズン目も、うまくいってないなというのはずっとありました。アタックとキックの質、判断も悪くなっているなと感じていました。そのことを考え過ぎて、他のプレーも悪くなっていました」
 森田佳寿コーディネーターやダン・ボーデンBKコーチと、1対1でのミーティングを重ねた。迷宮からの出口を探した。
「プレー中の細かい部分の判断を、もっとこうしたほうがいいとアドバイスを受けたりしました。たとえば、このエリアではこういうプレーをしようといった、エリアマネジメントについてなどです。僕が強みとするステップワークやフットワークをもっと生かすために、どうしたらいいのかという話もしました」

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 ミーティングを繰り返しながらプレシーズンを過ごしていくことで、頭のなかが整理されていった。灰色の靄に覆われていた頭上に、少しずつ晴れ間がさし込んできた。
「僕自身はラグビーをそれなりに知っていると思っていたんですが、振り返ってみるとずっとセンターをやってきたから、スタンドオフやフルバックのことは、分かっていなかったんだなと。高校ではゲームの行方が決まったあとにスタンドオフに移ったりして、ほぼほぼキックを考えるとかがない状態でやっていました。そういう状態で最初からスタンドオフをやるとなったときに、ゲームの組み立てとかを全然分かっていなかったと痛感しています。森田さんやダンとのミーティングで、そういうところも成長できたかなと思います。
考えがクリアになって、少しずつやりやすくなってきています」

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 トッド・ブラックアダーHCのチーム作りでは、本来のセンターに加えてスタンドオフやフルバックでの出場も見込まれている。2022―23シーズンの初出場となった第2節では、フルバックの松永拓朗に代わって途中出場した。
「東芝は昔からFWのチームと言われてきて、FWはやっぱり安定してきていますし、それに加えてバックスのチームにもなってきている。あとは個人個人のやるべきことというか、細かいところを突き詰めていくべきかなと思います」

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 自身が描く未来図を問われると、「ジャパンにはもちろんなりたいです」と間を置かずに答えた。174センチの24歳は、具体的なイメージも描く。
「僕自身は小柄なので、現実的に考えるとスタンドオフとかフルバックでジャパンになりたい。そのためには自分の強みを生かす。自分なりの色を出す。あとは安定したプレーですね。安定したプレーが、10番に一番求められると思うので」
 そう言って森は、リッチー・モウンガの名前をあげた。オールブラックスの一員として19年のラグビーW杯に出場した28歳は、身長176センチとほぼ同じサイズだ。そして、23―24シーズンからの東芝ブレイブルーパス東京への加入が発表されている。
「自分のなかでこうなりたいという選手なので、東芝に来ることを聞いたときはびっくりしました。もちろん楽しみです。色々と聞いてみたいです」
 希望と勇気が同時に立ち上がり、森は世界へ向けて雄飛していくのだ。

(文中敬称略)
(ライター:戸塚啓)

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著者プロフィール

東芝ブレイブルーパス東京はジャパンラグビーリーグワン(Division1)に所属するラグビークラブです。日本代表のリーチマイケル選手や德永祥尭選手が在籍し日本ラグビーの強化に直接つなげることと同時に、東京都、府中市、調布市、三鷹市をホストエリアとして活動し、地域と共に歩み社会へ貢献し、日本ラグビーの更なる発展、価値向上に寄与して参ります。

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