鎌倉インテルと素敵な仲間たち「地域のエネルギーをともに供給していく存在でありたい」湘南菱油株式会社

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kotaro Matsuo】

 鎌倉インターナショナルFC(以下、鎌倉インテル)の本拠地である「みんなの鳩サブレースタジアム」(以下、鳩スタ)は、古都鎌倉で文字どおりみんなの力を結集して生まれたスタジアム。2022年10月、スタジアム誕生から1年を記念して、鎌倉インテルのサッカークラブの枠にとらわれない活動に賛同したスポンサー、パートナー企業の皆さんに、クラブへの想いや期待をお聞きする企画をスタートさせる。第1回目は、湘南地域を中心に13店舗のサービスステーション(ENEOS)をはじめ、ガス事業、飲食業など幅広く事業展開を行い、今年、70年の節目を迎える湘南菱油株式会社(以下、湘南菱油)。老舗企業を率いる鎌倉市笹目町出身の大庭大(おおば・まさる)社長に、鎌倉インテルのGK兼フロントスタッフの岡崎修也が話を伺った。

(文・古賀寛明)

お問い合わせフォームから奇跡のメッセージ

【Kotaro Matsuo】

岡崎 おかげさまで鳩スタが1周年を迎えましたと、ご報告と御礼を申し上げる前に、会社創立70周年おめでとうございます。70年間も事業を続けるというのは凄いことですね。

大庭 ありがとうございます。創業したのは1953年、昭和でいうと28年になります。当時はまだ戦後から時間もそんなにたっていなく、道路も満足にないころです。初代が戦後復興とモータリゼーションを見越してガソリンスタンドをつくっていったのがはじまりです。

岡崎 70年間ガソリンスタンドなど、地域のエネルギーを守ってきた存在なんですよね。

大庭 ガソリンを含め石油やガスといったエネルギーを地域に安定して供給してこられた70年間でしたが、これから先の10年はそうもいかない。状況は激変しています。ガソリン車からEV、電気自動車への移行は加速しており、2035年にガソリン車の新車販売が禁止されます。海外も同様で、米国もカリフォルニア州に続いてニューヨーク州が35年にガソリン車の新車販売を禁止すると発表しました。ですから事業については、未来を逆算した展望を描かなければなりませんし、新たなチャレンジも必要です。EVの増加にともなう電気の供給はもちろん行いますが、地域が栄えるためのエネルギーとは何か、ということを考えなければならないと思ったんです。そんななか、鎌倉インテルと出会ったのです。

岡崎 鎌倉インテルとの出会いは、どういったものだったのですか。

大庭 いろんなことが重なっているのですが、最初は息子がサッカーをしていて「お父さん鎌倉インテルって知っている?」と教えてくれたことでした。その時は、そんなチームができたのかと思っただけでしたが、その後、再びネットニュースで目にしたことで興味を持ちました。調べたところ、オーナーの四方(よも)さんの地域コミュニティのハブになりたいといった想いや国際的な人材を育成するといったサッカークラブにとどまらないビジョンに触れて、共感したのです。私自身、子どもの頃からずっとスポーツは身近なものでしたし、米国に住んでいた頃の思い出もよぎりました。ご存じの通り米国は、野球、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケーの4大スポーツがあり、それぞれのシーズンになれば老若男女が地域チームや推しのチームを応援し、街もその話題でもちきりです。生活にスポーツが根付いた雰囲気をずっと良いなと思っていました。それで、自分で鎌倉インテルのお問合せフォームに書き込んだんです(笑)。

岡崎 それは凄い、本当にありがたいスポンサーさんです。そして何よりクラブの姿勢に共感していただけるのは嬉しいことです。

大庭 私自身、鎌倉で生まれ育って、いまも同じ地域に住んでいます。この街は、古き良きものを大事にする街ではありますが、一方で新たなことが生まれにくい街でもあります。だから想いへの共感もありましたが、単純に新たなことへのチャレンジを凄いと思いサポートしたいと思ったのです。そして、この鎌倉インテルこそが、鎌倉や三浦半島などのこの地域のエネルギーになるのではないか、自分のやりたいこと、探していたものと同じではないかと感じました。地域の人を巻き込んでいくことで、地域が盛り上がり、鎌倉という街を好きになる。それは街の元気につながっていく。そうなった鎌倉の街の姿を見てみたいと考え、エネルギーの源となる鎌倉インテルのサポートを行おうと決めました。

2021年9月、湘南菱油の社員の皆さんと共に人工芝敷設作業を行う 【鎌倉インターナショナルFC】

鎌倉ではガソリンスタンドでも鳩スタでもエネルギーを注入できる

岡崎 長崎の軍艦島や北海道の夕張など、エネルギー産業が街をつくった歴史は知っていますが、我々も街をつくるエネルギーを供給している存在だというのは驚きですし、嬉しいです。

大庭 私たちの商売である石油やガスのエネルギーも普段はあって当たり前のもので、何か問題が起こらない限りは注目されませんが、元気な街でいるには必要なものです。同じように、誰かを応援することで、人と人がつながり、目に見えない感情を巻き起こす。これも地域にとって大事なエネルギーだと思ったわけです。ちょっと強引ですがビジネスにつながってもいます。例えば、鎌倉が好きになると、住みたいと思いますよね、そういった人が増えると実際に住みはじめる人もいますから、我々がエネルギーを供給することになります。その住んでもらう過程のなかでエネルギーの供給をできるのが鎌倉インテルであり、街の魅力なのです。だから、支援するわけです。

岡崎 日常の当たり前を支えているのが湘南菱油さんと考えれば、非日常のサッカーは対極にあるなと思っていましたが、エネルギーを供給する点でいえば共通の存在だったんですね。我々も日常にもっとフットボールの熱を浸透させて、今はまだ種火ですが、大きな炎にしていきたいです。ところで湘南菱油さんは、大庭社長だけでなく社員の方々も鎌倉インテルに協力してくださっています。昨年、人工芝を敷いた時にも多くの方が手伝いにきてくださいましたし、その後、焼き芋のキッチンカーまで出店していただきました。社長の想いが社内に浸透しているんですね。

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

大庭 社員のなかには鎌倉インテルに興味がある人も、ない人もいるわけで、社長が応援しているから応援してもらいたいとは微塵も思っていません。私だって、サポートしているから行くのではなく、スタジアムに魅了されているから行っているのですから。ただ、サポートはメッセージです。新たなチームを支援して、生まれる何かをみてもらいたい。見えてくる景色が地域のエネルギーだと気づいて欲しいと思っています。そうすると、最終的には、「この地域が好きだ!」と思うはずですから。それにはまず、スタジアムに行かなきゃわかりません(笑)。

岡崎 ありがたい話です。早く、鎌倉インテルが媒介者となって地域のエネルギーとして何かを生み出したいですね。

大庭 いや、実はもうエネルギーは生まれているんですよ。例えば、夏のイベントに行ったことで、登場されたチアダンスの先生がもともとの知り合いだとわかりましたし、取引先の娘さんもそのチームで踊っていました。そうやって人と人とがつながることで、一緒に何かやりたいね、といった感じで何かが生まれるきっかけになっているのです。これもチーム、スタジアムを通して生まれたエネルギーです。鎌倉インテルのエネルギーがじわじわと地域に広がっていく様をみるのは楽しいですよ。

【マルサ写真】

岡崎 鎌倉インテルはチームとしては今の神奈川県2部リーグから徐々にステップアップしていこうとしており、クラブとしてもサッカーだけでなく地域のコミュニティのハブとなっていこうとしているのですが、湘南菱油さんは今後の姿をどう描いていますか。

大庭 事業の話をすると、ガソリンスタンドというのは最終的な目的地ではありえず、江の島に行くから、三浦に行くからとエネルギーを入れる場所でした。ですが、これから先は、冒頭でガソリン車からエコカーへの移行の話をした通り、変わっていかねばなりません。今後は、地域の人が地元の情報、例えば、「鎌倉インテルが調子いいよね、今度、鳩スタ行こうか」というような会話が飛び交う、従来のエネルギーだけでなく、元気をもたらすエネルギーも供給できる場所、人や情報が出会う地域のハブになりたいと考えています。これは四方さんとも話をしましたが鳩スタと同じです。私たちはガソリンスタンドで、鎌倉インテルは鳩スタで、ともにそういった場所を地域につくるパートナーなんですね。

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

岡崎 まさに共創ですね。湘南菱油さんとクラブの関係が同じ方向を向いているんだな、そんな風に感じました。これからも、エネルギーを満タンにできるような鎌倉インテルでありたいと思います。本日はありがとうございました。また、鳩スタでお待ちしています!

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

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【鎌倉インターナショナルFC】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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