「スポーツの価値を開放するカギは、テクノロジーと社会課題。」 SPORTS CONNÉCT powered by HiVE イベントレポート前編!

SPORTS TECH TOKYO
チーム・協会

【SPORTS CONNÉCT powered by HiVE】

スポーツテックをテーマにした世界規模のアクセラレーション・プログラム「SPORTS TECH TOKYO」は、日本スポーツアナリスト協会(JSAA)とVenture Café Tokyoが主催するネットワーキングイベント「SPORTS CONNÉCT powered by HiVE」に参加。

「SPORTS CONNÉCT powered by HiVE」は、“スポーツの価値をUNLEASH(開放)する”をテーマに、世界全体が持続可能な地球環境と人間社会づくりに向かう中、スポーツが果たせる役割とは一体なにか?を議論の軸に据え、6つのプレゼンテーションとネットワーキングを行った。
SPORTS TECH TOKYOは、イベントの中で、パラスポーツの視点から現代社会とスポーツの関係性を考える「PARA-SPORTS DRIVE AN INCLUSIVE SOCIETY [HYBRID]」と、スポーツを軸にビジネスを推進する企業5社によるピッチ「START - UP PITCH BY SPORTS TECH TOKYO[HYBRID]」の2つのプログラムをプロデュース。今回はその模様を前編と後編に分けてお届けする。前編では、パラスポーツの視点から現代社会とスポーツの関係性を考える「PARA-SPORTS DRIVE AN INCLUSIVE SOCIETY [HYBRID]」の模様を。後編では、新たなスポーツの可能性を感じさせてくれた、スポーツ領域を軸に多様な切り口でビジネスを推進する、5社のピッチの様子とピッチを視聴した著者の気づきをお届けする。

パラスポーツが持つ教育的な価値とは

PARA-SPORTS DRIVE AN INCLUSIVE SOCIETY [HYBRID]のプログラムでは「持続可能な形で、パラスポーツが根源的に持っている付加価値を社会的な需要とどのようにつなぎ合わせ、社会の態度変容を促していくのか?」をテーマに、ボッチャとブラインドサッカーが持つ価値を起点にパネルディスカッションが行われた。
パネルディスカッションには、一般社団法人ロボッチャ協会 代表理事 岡本弘毅氏・特定非営利法人日本ブラインドサッカー協会 事業戦略部 兼 事業推進部 結城 俊輔氏・ブラインドサッカー選手 寺西 一氏・有限責任 あずさ監査法人 アドバイザリー統轄事業部 シニアマネジャー山本正和氏の4名が登壇。

まず、ロボッチャという「STEAM×スポーツ×インクルーシブ教育」の3つの要素を掛け合わせたテクノロジー・スポーツの話題からスタート。ロボッチャは、パラリンピックの正式種目であるボッチャを“楽しみながら学ぶ”教育の機会としてパラスポーツであるボッチャを拡張させた新しい次世代型スポーツだ。

ロボッチャの体験会は「ロボットの構築、ロボットを動かすプログラミング、作ったロボットを使用してロボッチャをプレーすること」の3つを体験できることが特徴で、体験会に参加した方がプログラミングに興味を持ったり、元々プログラミングに興味を持っていた方が、スポーツを通じてのコミュニケーションに興味を持ったりと、STEAM教育にも通ずるスポーツ×教育の形を見出すことができる。

ロボッチャ協会 代表理事の岡本氏は、プレゼンテーションの中でロボッチャの普及を今後推進していく中で、「社会との接点をどのように作っていくのかが大きなポイント。単なるロボット競技として勝敗を競うのではなく、社会課題を解決するソリューションの一種として価値提供していきたい。」と語った。

一般社団法人ロボッチャ協会の情報はこちらから
https://roboccia.com/

ロボッチャ協会 代表理事 岡本氏 【SPORTS CONNÉCT powered by HiVE】

次に、日本ブラインドサッカー協会事業戦略部 兼 事業推進部 結城氏が日本ブラインドサッカー協会の活動を説明。日本ブラインドサッカー協会が競技の発展や普及に関する活動と並行して、ダイバーシティ&インクルージョン事業に積極的に取り組み、視覚をオフにした状態で得られる新たな体験を通じて、コミュニケーション能力の向上やチームビルディングを促す研修を行っていることを説明した。また、2022年に新設された「LIGA.i ブラインドサッカートップリーグ」についても言及した。
次に、その流れを受けて、LIGA.iブラインドサッカートップリーグの節タイトルスポンサーであり、「IDE共創パートナー」であるKPMGジャパンから、あずさ監査法人アドバイザリー統轄事業部 シニアマネジャーの山本氏が日本ブラインドサッカー協会との協業事例を紹介。
KPMGジャパンでは、ブラインドサッカーの特徴を活かした研修を社内研修の1つとして取り入れていることを説明。
ブラインドサッカーを通じた研修の目的について、次のように語った。

「KPMGジャパンには約9800人の人員が在籍しています。私たちは物を作っていないため、この9800人の人材価値を高めることが重要になります。そのため、職員たちがプロフェッショナルな能力を発揮できるように多様な価値観を受け入れられる組織作りを重要な経営戦略の1つとして取り組んでいます。例えば、日本ブラインドサッカー協会との取り組みでは、私と寺西選手がコミュニケーションをテーマに対談を行い社員向けに配信を行ったり、日本ブラインドサッカー協会が提供する実際にアイマスクを用いて様々なセッションを行う体験型のダイバーシティ研修を行ったりしています。

ブラインドサッカーで使用するアイマスクを使いデモンストレーションを行う様子 【SPORTS CONNÉCT powered by HiVE】

私自身も、寺西選手との対談を通じて人の特徴や癖を受容することの大切さを学ぶことができました。また、インクルージョンやダイバーシティの概念はなかなか実感できないものですが、ブラインドサッカー研修のおかげで、自身が潜在的に持っている視覚障害者へのバイアスに気づき、体験を通じてバイアスを取り除くきっかけを掴むことができました。リモートワークが普及する中、円滑なコミュニケーションはより一層重要度を増しています。今後も日本ブラインドサッカー協会が持っているコンテンツを活用させていただき、KPMGグループ内の活性化を引き続き促していきたいと考えています。」

・特定非営利法人日本ブラインドサッカー協会の情報はこちらから
https://www.b-soccer.jp/
・KPMGジャパンの情報はこちらから
https://home.kpmg/jp/ja/home/about.html

筆者はパネルディスカッションを聞いて、パラスポーツは、その競技性だけに留まらず、様々な個性・立場の人々を繋ぐインクルージョンの手段としても社会に価値を提供し始めていることを実感。今後、ロボッチャやブラインドサッカーのみならず、パラスポーツがそれぞれの競技特性を活かして社会との繋がりをより一層深めていくのではないかと感じた。今後の展開に期待したい。

イベントレポート後編では、スポーツを軸にビジネスを推進する企業5社によるピッチ「START - UP PITCH BY SPORTS TECH TOKYO[HYBRID]」の様子をお届けする。

INNOVATION LEAGUE 2022がスタート!

3年目の開催となる「INNOVATION LEAGUE 2022」が8月4日にローンチ。今年度はコラボレーションパートナーとして「全日本柔道連盟」と「日本アイスホッケー連盟」の2団体が参画。アクセラレーションは10月26日にキックオフし、2023年3月中旬頃のデモデイに向けてプログラムを開始予定。コンテストへの応募は2022年12月5日まで。募集要項など詳細は公式ウェブサイトをご確認ください。


執筆協力:清野修平
新卒でJリーグクラブに入社し、広報担当として広報業務のほか、SNSやサイト運営など一部デジタルマーケティング分野を担当。現在はD2Cブランドでマーケティングディレクターを担いながら、個人でもマーケティング支援を手掛けている。株式会社セイカダイにてデジタル・コンテンツ領域を担当。
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著者プロフィール

スポーツテックをテーマにした世界規模のアクセラレーション・プログラム。2019年に実施した第1回には世界33カ国からスタートアップ約300社が応募。スタートアップ以外にも国内企業、スポーツチーム・競技団体、スポーツビジネス関連組織、メディアなど約200の個人・団体が参画している。事業開発のためのオープンイノベーション・プラットフォームでもある。現在、スポーツ庁と共同で「INNOVATION LEAGUE」も開催している。

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