若手の活躍光った2022ジャパンパラ水泳競技大会、花の都を見据えて競争激化
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パリを見据えて着実に進化する大学生スイマー
練習量に絶対的な自信を持つ南井。世界を見据えたタイム設定で練習を重ねる 【photo by X-1】
そう話すのは、水泳ではもっとも障がいが軽く、レベルも高いS10クラスで世界と戦う大学2年生の南井瑛翔だ。関西の名門・近畿大学体育会水上競技部で練習に励む。高校時代に頭角を現した南井だが、進学後の伸びしろは天井知らずで、昨年は東京パラリンピックに出場。今年は世界選手権に初出場を果たしている。
生まれつき左足に障がいがあり、水を蹴り進むパワーが弱い。さらに腕の動きを意識するあまり、「キックが止まってしまっていることがある」といい、今大会の100m自由形では後半、75m以降のキックを意識することでラストスパートにかけた。その100m自由形では日本新記録。50m自由形でも日本記録を更新する活躍を見せた。
そして、大会最終日。迎えた“本命”の100mバタフライでアジア新記録を樹立した。だが、南井の喜びは控えめだ。記録は1分00秒22。国際大会でメダルを狙うには57秒台に到達しなければならない。「次の大会では必ず59秒台を出したい」と少し悔しそうな表情でプールを後にした。
200m個人メドレーをメイン種目にする大学生スイマーの由井 【photo by X-1】
平泳ぎの強化をしてきた。キツくなる後半は水を掴む動作をより意識しているという。「結果が出てうれしい」と話す由井は、次に勝負をかける大会の200m個人メドレーで自己ベスト更新を誓った。
新たな環境でパリを目指す
好記録を連発した西田はスプリント2種目を強化 【photo by X-1】
最終日の50m自由形は予選、決勝ともに日本新を記録した。スタートに課題があるといい、泳ぎ方も2ヵ月前に変えたばかり。「すべてがハマったわけではない」という西田の進化はまだまだ止まらない。
100m背泳ぎ(S8)は、22歳の新社会人・窪田が制した 【photo by X-1】
その窪田は、日本記録を保持する2位の荻原虎太郎とともに100m背泳ぎで大会新記録を樹立。1分07秒57の好タイムで、昨年の1分09秒台から記録を大幅に短縮させた。
「最後、タッチが合わなかった。1分06〜05秒台を狙っていた」と話す窪田は、少し納得のいかないといった表情でこう明かす。
「6月の大会で荻原がバタフライのキックでバックを泳いでいた。そのときは普通に泳いでいたが、それも(泳法上)いいんだと知って、今回、僕も真似をしました」
もともと前半に強い窪田だが、1回のキックやひとかきで進む距離も長くなったことで後半の粘り強さも磨かれつつある。
100m自由形で優勝した荻原も「彼にあまり、負けたことがなかったから、(100m背泳ぎで2位になり)すごく悔しい。次こそ勝ちたい。今後、大きな大会の100m背泳ぎで彼と表彰台に上がれたら嬉しい」と言い、国内で切磋琢磨できるライバルの躍進を歓迎した。
東京大会はバタフライなどで出場した荻原。今は練習で泳いでみて速かったという背泳ぎに注力 【photo by X-1】
上垣監督によれば、水面でのバサロキックは、潜水しなければ泳法違反にならないという。今後、国内でも同様の泳ぎでタイムを縮める選手が現れるかもしれない。
大会を盛り上げたヒロインたち
アジア新記録を打ち立てた16歳の福田 【photo by X-1】
200m個人メドレー(SM9)でも2分51秒50で優勝するなど好調だ。
好調の要因は「キックの強化に取り組めたこと」。また、プール以外でもフィジカルトレーニングに取り組み、体幹や下半身の筋力を強化してきた。
ポジティブさと強い気持ちが持ち味で、ほとんどの選手がパリに向けての明言を避ける中、「世界選手権1位の選手の泳ぎを研究したい。パリの舞台でメダルを獲ることが目標」ときっぱり。パラ水泳の新たなヒロインとして注目を集めている。
一方の宇津木は、下半身だけでなく、全身をくまなく使えるよう、平泳ぎの泳法改善に取り組んでいるという。このまま第一人者の座を福田に譲るつもりはない。
表彰で笑顔を見せる宇津木(左)と福田(右) 【photo by X-1】
新鋭の木下は、自由形や個人メドレーを得意とする 【photo by X-1】
「そろそろ世代交代。でも50m自由形は意地でも勝ちたい」と山田(中央)。2位の岡島(左)、3位の川渕大耀(かわぶち・たいよう)も成長著しい 【photo by X-1】
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※本記事はパラサポWEBに2022年9月に掲載されたものです。
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