【選手が選手を紹介!橋本陸斗→山口竜弥】「オムくんは苦しかった時に惜しみなくアドバイスをくれた、とにかく俺の師匠!」「自分の境遇と重なる陸斗の熱意が俺を動かした」

東京ヴェルディ
チーム・協会

【©︎TOKYO VERDY】

選手が明かすチームメイトの素顔『PLAYER INTRODUCTION』

東京ヴェルディ公式マッチデイプログラム内で好評の、緑の戦士たちによるリレー形式の“他己紹介”企画。プレーヤーとしての特長はもちろん、チームメイトだからこそ知っている選手の素顔に迫ります。橋本陸斗選手が語る山口竜弥選手の素顔とは・・?

橋本陸斗が語る山口竜弥

オムくんって、ああ見えてけっこう俺のことが好き

さて、俺がぜひ紹介したいのは山口竜弥くん、オムくんです! オムくんはもう去年から、とにかく俺のサッカーの師匠です!

オムくんって、ああ見えてけっこう俺のことが好きなんですよ(笑)。なんか同じタイプというか、情に厚いところなどが似ているなと感じます。プロ1年目の去年は苦しかったんですが、もうめちゃくちゃアドバイスを求めました。それに対して、オムくんは全部返してくれた。今年も、例えば俺が試合のメンバーに入った時とかには、必ず何かいい言葉をかけてくれます。あの人はシンプルに俺のことが好きなんだと感じます(笑)

足が速くなりたかったときに、オムくんに教えてもらったトレーニング

そうそう。ここで紹介するのにピッタリのエピソードがあります!

オムくんの足の速さはサポーターの皆さんはもう知っていると思いますが、俺もユースの中では速かったんです。でも、去年プロに入って、俺より速い人がいっぱいいて衝撃を受けたんですよ。チーム内だとヤマくん(山下諒也・現横浜FC)とかオムくんがいて。

それで、勝てないのがめちゃめちゃ悔しかったので、オムくんに「足が速くなりたいので、トレーニング方法を教えてください」って相談したんです。実はオムくんって、もともとは全然足が遅かったらしいんですよ。そこからあそこまで速くなったということは、トレーニングをしたということじゃないですか。なので、「教えてください」とお願いしたんです。

そしたら「いいよ」と言ってくれて。で、そこから練習終わりにヴェルディのジャージを着たまま、2人で車に乗ってオムくんの実家がある綱島に連れて行ってもらったんです。そこには、まぁ〜すごい急な坂があるんですよ。そこで、オムくんが実際にやっていたという練習を一緒にやって、「こういうことをやったら足が速くなるよ」とメニューを教えてくれた。それがまた、めちゃめちゃキツいんですよ。「この人、ここで毎日やっていたんだ」と感心してしまいました。

そのメニューの中から「重要だな」と思ったものを自分の中で考えて、家の近くの坂で毎日トレーニングをしていたら、それが積み重なり、今年はけっこうスピードが上がったんです! オムくんが惜しみなく俺にアドバイスをくれたこともすごくうれしいし、とにかく俺の師匠です!

山口竜弥選手 【©︎TOKYO VERDY】

重要な場面では必ずいい言葉をかけてくれる。内容は俺とオムくんだけの秘密!

あと、俺はドリブルが得意だったのですが、プロに上がってからはシンプルに相手が抜けなくて、そこについてもオムくんに聞きました。

そこにもあの人なりのドリブルの理論がきちんとあって。ただ、これは実際にやりながら説明しないと、言葉で説明するのが難しいので、すみません。ここでは分かりやすく説明できないですけど、とにかくオムくんなりの理論がしっかりとあって、それを教えてもらいました。

もちろん、ドリブルのやり方は人によって違うので、吸収しながら、自分なりにいろいろ練習の中で試していきました。一瞬にしてキュッと抜くにはやはりスピードも必要なので、そのためにもスピードをつけながらという感じで、ドリブルについてもすごく詳しくアドバイスしてくれて。そのおかげで、今年は相手を抜けるようになりましたし、実際に試合の中でも効果が見られているので、オムくんにはマジで感謝しています。

普段から一緒にいることが多いオムくんへの質問!

そんな感じなので、普段から一緒にいることが多いですね。ご飯とかにも連れていってもらいますし、いま言ったように、とにかくサッカーのことは常に聞いてます。

オムくんは基本、ダラダラしてるけど、スイッチが入った時、やるべき時はめちゃめちゃやる人。重要な場面では必ずいい言葉をかけてくれるので、俺はすげー好きで、カッコいいなと思っています。ただ、どんな言葉をかけてくれているかは秘密です!そこはね、そんなベラベラしゃべっちゃうと、せっかくのオムくんのカッコ良さがなくなっちゃうので。こっそりやっているのがカッコいいと思うので、そこは俺とオムくんだけの秘密ですね。すみません(笑)

じゃあ、俺からオムくんへの質問です。「なんでそんなに俺のこと好きなんですか?」。まあ、たぶんあの人は照れ屋なので「好き」とは言わないと思いますけど(笑)、ぜひぜひ聞いておいてください。

最後に。オムくんはいま22歳ですが、ケガがちなので、これから長い時間、その才能を発揮し続けるためにも、私生活をしっかり頑張ってください!

山口竜弥選手 【©︎TOKYO VERDY】

山口竜弥が語る橋本陸斗

そもそも「好き」っていう前提がおかしいし、返事に困るわ(笑)

橋本陸斗から紹介を受けました、山口竜弥です。

陸斗の質問、「なんでそんなに俺のこと好きなんですか?」だって? いやいやいや、そもそも「好き」っていう前提がおかしいし、返事に困るわ(笑)。でも、頼りにされるのはうれしいですね。自分はどちらかと言うと先輩に頼っちゃうことのほうが多くて、頼りにされることがあまりなかったので、いろいろ相談されたり、頼られたりするのは素直にうれしいです。それに、あいつは自分と似ている部分があって、あっちからすごく絡んでくるから、なんか後輩らしくてカワイイなとは思っています。

時間を割いてでも教えたい。陸斗の熱意が俺を動かしたんだと思います

前回、陸斗が走りに関して、俺が答えを教えたとか、俺が育てたみたいな言い方をしていましたが、全然そんなことはなくて。とにかくあいつがすごく悩んでいたので、話を聞いただけです。

特に去年は、ユース時代にできていたことが、プロになってできなくなって、「こういうところで悩んでるんですよー」みたいな話をずっと聞いていました。自分は人にアドバイスできるようなタイプではないですが、陸斗の「本気でどうにかしたい」という気持ちが伝わってきて。俺は仲間や後輩が苦しい時、つらい時にこそ、手助けできるような人でありたいと思っているので、陸斗がそうやって助けを求めてきた時に、こっちも本気でやってあげたいなと。ある意味、陸斗の熱意が俺を動かしたんだと思います。

それに、もっと良くなりたいのに、どうしていいか分からずとりあえず周りの人に聞く、みたいな状態を見て、自分の高校時代とかの境遇と重なったことも、「俺が教えられることがあるなら、時間を割いてでも教えたい」と思えた要因でした。

ただ、「こうすれば足が速くなるよ」という正解を教えたわけではなく、「俺はこうやって足が速くなったから、お前もこれが合うならやればいいし、合わなくても一つの方法として知っておいてもいいよね」という提案をしただけ。その中で、あいつがきちんと自分で判断して、自分なりに調べて、他の方法もいろいろ試しただろうし、そうやって自分で抽出した結果が今、陸斗が実感として得ているスピードの向上につながっているのかなと思います。

橋本陸斗選手 【©︎TOKYO VERDY】

“感覚”を体に覚え込ませるアドバイス

これは、自分なりの理論になってしまうのですが、陸斗は筋肉の使い方というか、走る時の出力の出し方みたいなものが若干、自分と似ているなと思っていました。だから、「足が速くなりたい」と相談された時に、自分が昔練習していた環境に連れて行って、同じメニューをやらせてみたら、やっぱり前の自分に似ていた。その時は全然ダメだったのですが、逆に言うと、「このまま続けたら絶対に良くなるな」という確信がありました。自分もそのメニューをやってから一気に速くなったので。

ただ、俺は陸上のコーチではないし、教えられる資格があるわけでもないので、さっきも言ったとおり、正解ではなく、あくまで提案です。どちらかと言えば、 “感覚”を体に覚え込ませたという感じ。言葉にするのは難しいのですが、「こういうメニューをやったら速くなるよ」ではなく、「速く走るってこういう感覚だよ」というのを養う。こういう接地で、こういうふうに足を運んでというのを、まずは遅い動きから始めて、それをどんどん速くしていって、徐々に “地面を捉えている”という感覚をつかむ。そういう自分がやっていたことを提案しました。

あとは、プレーヤーとして「気持ちいい」と感じる場面があるんですが、俺と陸斗はその感覚も似ているのかなと。だから、陸斗がどうしたいのか、何をどういうふうに悩んでいるのかが分かるし、アドバイスがしやすいというのもあると思います。

橋本陸斗選手 【©︎TOKYO VERDY】

先輩たちからしてもらったことを後輩へ還元していきたい

こんなふうに、後輩に対して「苦しい時やつらい時にこそ手助けしたい」と思えるようになったのは、自分がこれまでいろいろな先輩に救われてきた人生だなと感じているからです。特に最近はそれをしみじみと感じますね。

ヴェルディで言ったら、自分が試合に出ていない時期に、カンペイさん(富澤清太郎さん、昨季まで東京Vに在籍)にいろいろ相談に乗ってもらいました。何気なくご飯に誘ってくれて、一緒にいてくれて、サッカーの話だけでなく、サッカー以外の自分の話も聞いてくれる。それが、その時の自分にとってはめちゃめちゃありがたかったです。逆にカンペイさんの話を聞いたり、生き方についての話とかも聞かせてもらったりして、「自分もこういうふうになりたいな」と思いました。ガンバ大阪時代にも、本当に自分がダメなことをしてしまった時、先輩に助けてもらいました。そうやって先輩たちからしてもらったことを、これから同じように後輩へ還元していきたいなと思っています。

悔しさや不甲斐なさはピッチで示すのが仕事

それと陸斗からのメッセージですが、「オムくんはちょっとケガがちだから私生活を頑張って!」って。なんか俺のほうが後輩みたいじゃん(笑)。まぁでも、実際にケガが多いのは、サッカー以外のところに何かしら原因があるから、というのは事実なわけで。それは自分も素直に受け止めていますし、これからも常に意識しながらやっていきたいなと思います。

自分自身、ケガが多かったことも含め、現状には全く満足していません。チームに全く貢献できてないので、不甲斐なさや、サポーターの方々に申し訳ないという気持ちもあります。

ただ、その思いをピッチで示すのがサッカー選手の仕事です。ピッチに立って、必ず活躍してチームに貢献してみせるという強い思いがありますし、覚悟もあります! なかなか試合に出られないのは悔しいですし、もどかしいですが、原因はすべて自分にある。ここを乗り越えて、試合に出て活躍すれば、選手としても人間的にも一段階も二段階も成長できると思うので、とにかく今は成長のために必要な期間だと思って日々必死に取り組んでいます。
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著者プロフィール

東京ヴェルディは、日本初のプロサッカーチームを目指して設立された1969年の当初から、青少年の育成とスポーツ文化の振興と確立を目的に活動を行っています。1993年の開幕時からJリーグに参戦して初代チャンピオンに輝き、連覇も達成するなど数多くのタイトルを獲得しています。女子チームの日テレ・東京ヴェルディベレーザは設立当初から日本の女子サッカー界を牽引する存在で、多くのタイトルを獲得してきました。日本女子代表にも数多くの選手を送り出しています。男女ともに一貫した育成システムを誇り、世界に通じる選手の育成を続けています。

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