【JOCインテグリティ教育】令和4年度第1回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:小平奈緒選手)

日本オリンピック委員会
チーム・協会

【令和4年度第1回基礎研修プログラムを開催】

 日本オリンピック委員会は5月26日、JOCシンボルアスリートの小平奈緒選手(スピードスケート)をゲストにお招きし、初めてオリンピック強化指定選手に認定された選手を対象にオンラインで、「令和4年度JOCインテグリティ教育事業 第1回基礎研修プログラム」を開催しました。

 本プログラムは、オリンピック強化指定選手としての資質、インテグリティ(誠実さ、真摯さ、高潔さ)を高め、自らの価値、オリンピックの価値を守る知識と手段、正しい倫理観や道徳心を有するアスリートを育成し、アスリート自らがあるべき姿に気付き、なりたい姿を描き、必要なスキルを求め習得し、自ら行動変容を起こすことを目的に実施します。第1回目のプログラムには、今年度から初めて強化指定選手に選ばれた108名が参加しました。

■尾縣貢JOC選手強化本部長からメッセージ

プログラム実施に先立ち、尾縣貢JOC選手強化本部長から「スポーツは決してアスリートだけでできるものではなく、様々な人の支えの上に存在します。この事実をしっかりと胸に刻み、感謝の気持ちのもと、日本を代表する選手としての行動が求められています。本研修を通じて、改めて自分の人間力と向き合っていただき、日本を代表する選手に求められているものを手に入れていただきたいと思います」と、激励のビデオメッセージが寄せられました。

 続いて、オープニングセッションとして本研修の司会を担当する上田大介JOC選手強化本部インテグリティ教育ディレクターが、研修の目的やインテグリティの意味、日本代表選手団の編成方針など解説。「人間力を向上して社会から信頼されるためには、既に社会から信頼を得ているアスリートの言動から学び、そこからヒントを得て行動に移していくことで達成できると思います」と呼びかけました。

【尾縣貢JOC選手強化本部長からビデオメッセージ】

■小平奈緒選手「『なりたい自分』を明確に」

 次に、「Chat with Champions」と題し、2018年平昌オリンピックスピードスケート女子500m金メダリストの小平奈緒選手がゲスト出演。小平選手がオリンピックを意識したタイミングや初めてオリンピックに出場したあとの心境の変化など、これまでの競技人生を振り返り「オリンピックは私にとって世界中の皆さんの前で私が私でいられる場所です。スポーツマンシップと言われるものもありますが、それはパフォーマンスではなく、普段の日常で周りの人と関わってきた私自身がその場で試されるような舞台だと思っています」と語りました。さらに、オリンピックを目指す選手たちに向けて「誰かに決められた人間力をみんなが目指すのではなく、自分がどういったアスリート、人間になりたいのかを明確にすることが重要だと思います」とメッセージを送りました。

【小平奈緒選手の好きな「りんご」と「トマト」にちなんだ赤色を掲げて集合写真を撮影しました】

 続いて、アスリートディスカッションと題し、4人一組のグループに分かれて、「(1)どんなアスリートになりたいか」「(2)それをどうやって実現するか」「(3)それはなぜか」をテーマに、選手同士のディスカッションを実施しました。

 最後に、クロージングセッションと題し、上田JOCディレクターが社会からの信頼を確保するための行動として、アンチドーピングへの意識向上や、成人年齢の引き下げに伴う注意点を説明。さらに、リスクマネジメントの徹底として「自分の判断基準を持つ」ことの重要さを述べた上で「いつか皆さんがその競技に憧れたように、また皆さんを通じてその競技に憧れを持つ人を生み出していかなければなりません。それがトップアスリートに求められる一つの大きな使命です。その行動は夢を与えられる行動かをしっかりと考えながら判断していただきたいと思います」とアドバイスを送りました。

■研修を終えた感想

 基礎研修プログラムの終了後、小平奈緒選手に本日の感想や研修に参加した選手に向けてのメッセージ、また研修に参加した3名の選手に本日の学びや今後の目標を語っていただきました。

■小平奈緒選手(スケート・スピードスケート)
「参加者の顔ぶれがすごくフレッシュで、コロナ禍の厳しい状況も乗り越えながら、みんなに頑張ってほしいなと心から思いました。本日の研修では人間力の話もあって周りに気を遣いすぎたり、かしこまった言葉や取り繕った言葉にならなくてはと思うかもしれませんが、私はその上で、自分の心に正直に生きてほしいと思います。私も含めて人間は本当に完璧ではなくて、なにか問題が起きた時も、相手の気持ちを想像してみたり、まずは自分を振り返って考え抜くことで、自分の人間としての深みだったり、視点の幅みたいなものが広がり、結果的に自分がどういう人間なのか知る機会にもなって、人間が育つと思います。自分の心に正直に生きた方が人生が豊かになるので、その素直さというか自分らしさを大事にしながら、これからの数々の舞台をありのままで経験していって、良い選手になっていってほしいと思います」

【小平奈緒選手】

■田中桃子選手(サッカー)
「今までもオリンピックを目指していたのですが、どこか漠然とした気持ちの部分もあり、それが今回のような場を設けていただくことで、本当に目指すためにどんなことをやっていかないといけないのか、より具体的に考えていく気持ちになりました。小平選手の話を聞くなかでは、しっかり自分の心の声をキャッチして、自分自身を前向きに持っていくことが上を目指すために大事だと感じました。また、SNSの使い方も恐さや難しさもありますが、使い方一つで自分自身を成長させてくれる機会にもなる考えが素敵でした。私はサッカーの価値を高めて、広めていける選手になりたいと思っていたので、今回の話を伺っても、その方向性で良いと思いました」

【田中桃子選手】

■高橋侑花選手(スケート・スピードスケート)
「同じ種目で活躍する小平選手の意見や考えを聞くことができて、これからのトレーニングのモチベーションになったと思います。特に『他人じゃなくて自分がどうなりたいか』、『もし辛いことがあったとしてもこれなら自分はできるんじゃないか』といった何事も前向きに考えて自分がやるべきことに意識を持っていく小平選手の姿勢や言葉が、今後自分が辛いと思った時に活きてくるように感じました。この先は結果だけではなく、内面や日々の姿勢も評価してもらえる選手になりたいと思いました。個人競技といっても一人だけでやれる競技ではないので、サポートや支援してくださる方に、結果も含めて色んなことを返していきたいです」

【高橋侑花選手】

■寺嶋良選手(バスケットボール)
「今回の研修を受けて、オリンピックという舞台に対する覚悟や心の変化がありましたが、特に小平選手の生の言葉は響きました。研修の中で『人間力なくして競技力向上なし』という言葉があり、そこを目指そうと思った矢先、小平選手からは「型にはまりすぎず自分の心や在り方を明確にしたほうが良い」といった話があり、全員が同じ人間力を目指すのでなく、自分の答えを持つ姿にアスリートの素晴らしさを感じました。オリンピックの舞台に行けば、いろいろな人間力を持った素晴らしい選手たちが集まっていて、自分が目指したいものがより見えてくると感じるので、まずはその刺激的な場に行けるように頑張っていきたいと思っています」

【寺嶋良選手】

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著者プロフィール

日本オリンピック委員会(JOC)は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」を長期ビジョンとして掲げ、オリンピックの理念に則り、スポーツ等を通じ世界の平和の維持と国際的友好親善、調和のとれた人間性の育成に寄与することを目的に活動しております。 JOC公式ウェブサイトでは、各種事業の活動内容をはじめ、オリンピック日本代表選手団や、世界で日本の代表として戦う選手やそのチームで構成されるTEAM JAPANに関する最新ニュースや話題をお届けします。

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