パラグライダー ジャパンリーグ第4戦目、今季絶好調の上山が2勝目飾る

【©JHFパラグライディング競技委員会】

パラグライダー競技における国内最高峰のシリーズ戦、ジャパンリーグ。その第4戦目となる「2022白山手取川ジオパークパラグライダー大会」が5月28日-29日の2日間に渡り石川県白山市の獅子吼高原で開催され、56名の国内トップクラスの選手が集結し、凌ぎを削るレースを見せた。

動力を持たないパラグライダーは、太陽の熱から生み出される上昇風や地形によって発生する上昇風を利用して空高く上昇することが出来、時には100kmや200kmという遥か彼方の遠くまで飛んで行く事も出来る。
ジャパンリーグでは、その日の気象条件に合わせて決められた複数のポイントを順番に空中で通過し、誰が一番最初にゴールまで辿り着くかを競う。空中のオリエンテーリングとも呼ばれるこの競技は、パラグライダーの操縦技術はもちろんの事、風を読み気象の変化に気が付く洞察力、上昇風を予想し戦略を組み立てる頭脳などが物を言い、性別、年齢に関係なく同じ土俵で互角に戦えることが魅力の一つだ。

今大会の初日は強風につき、競技を安全に行うためにも残念ながら中止となった。
2日目、天気は快晴だが次第に温かい空気が上空を覆う予報となった。上空の気温が高くなると上昇気流が発生しづらくなる為、パラグライダーは遠くまで飛ぶことが難しくなる。この気象条件に合わせた、8カ所のポイントを通過する26.6kmと短めの競技内容でレースが行われた。

11時30分の上空一斉スタートに向けて、選手達は標高650mの獅子吼高原から次々と離陸し上昇していく。選手達は少しでも有利にレースを始めるために上空1000m付近で良いポジションを探り合っている。

11時半、良いスタートを決めたのは、若手の小林大晃とベテラン成山基義だ。日本代表選手にもなっているこの両名が同時に一つ目のポイントを通過し、序盤を引っ張る。すぐ後ろには女子トップクラスの山下敦子を始め多くの選手が続き、抜きつ抜かれつの非常にハイペースなレースが展開される。
戦況に動きを見せたのは中盤、山から離れた場所にある6つ目のポイントを取る時。ベテラン成山を始めとする大多数の選手は最短距離のルートを飛んでタイムを縮める戦略を取るが、若手の小林は只1人、遠回りだが上昇気流の豊富な山沿いをハイスピードで進む戦略を取る。この結果、アドバンテージを得たのは小林で2位とのリードを広げた。
このままゴールを迎えると思われたが、終盤、7つ目のポイントを折り返したところで戦況を一変するドラマが待ち受けていた。今までの南西風が北西風に急変し、上昇気流が発生していた場所が下降気流に変わったのだ。多くの選手がゴールに辿り着けずに着陸を余儀なくされるが、そんな中この状況を予見していたかのような飛びを見せたのは、冷静で安定した飛びに定評のあるベテラン上山太郎だ。
風の変わる直前に独り東寄りのルートへ移り高度を稼いだ上山は、この風の悪影響を受けることなく後続を大きく引き離して見事今季2勝目を飾った。ここまでレースを引っ張って来た小林と成山は、急変した風に翻弄されゴールまであと僅かの所で惜しくもリタイアとなった。
続いて、確かな操縦技術で上位入賞の常連となっている中村浩希が、風の急変にも上手く対応し見事2番手ゴールを果たした。3位には、昨年から競技に復帰した文字英彰と、女子パラグライダー界を引っ張る山下敦子が同率で続き、山下は女子優勝も飾った。続く中目みどりは、独自の飛行ルートと戦略で女子準優勝、総合でも5位に食い込む大健闘を見せ、6位入賞は、持ち前のスピードある飛びと地の利を活かしスタートの出遅れを挽回した岩崎拓夫が入った。

スポーツクラスでは、早坂真有美が最後の北西風に負けることなく見事クラストップを飾った。

総合 優勝 上山 太郎 2位 中村 浩希 3位(同) 山下 敦子 3位 文字 英彰 5位 中目 みどり 6位 岩崎 拓夫 【©JHFパラグライディング競技委員会】

女子 優勝 山下 敦子 2位 中目 みどり 3位 成山 奈緒 【©JHFパラグライディング競技委員会】

スポーツクラス 優勝 早坂 真有美 2位 村田 好彦 3位 松田 博文 4位 金本 知子 5位 北村 和之 6位 岩本 晃治 【©JHFパラグライディング競技委員会】

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著者プロフィール

公益社団法人日本ハング・パラグライディング連盟は日本国内のハンググライダー及びパラグライダーに関するスポーツの統括代表機関として、ハンググライディング及びパラグライディングによる航空スポーツの発展と普及のための公益目的事業を行っています。

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