高橋彩華の初V→川奈で・首位で・お化け退治 

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 JLPGAツアー2022シーズン第8戦『40th フジサンケイレディスクラシック』(賞金総8000万円、優勝賞金1440万円)大会最終日が4月24日、静岡県伊東市・川奈ホテルゴルフコース 富士コース(6447 Yards/Par 71)で行われ、高橋彩華が通算12アンダーでツアー初優勝を飾った。第1日から首位に立った完全Vは、川奈では史上初。黄金世代11人目の優勝者となった。2打差の通算10アンダー、2位は藤田さいき。
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《グリーン=スティンプ:10 3/4フィート コンパクション:22mm》

 高橋彩華の15番・第2打。残り170ヤードを5Uでピン2メートルに寄せたスーパーショットは、まさに大向こうをうならせた会心のひと振りだった。これでツアー初優勝を確定させたといっていい。

 結果は完全Vでも、この日は首位を明け渡しての再逆転。勝負内容も含めて以前とは全く違った。10回目の最終日、最終組。序盤で自身が表現する、「見えないお化けが何度も出没」。お化けとはプレッシャーのことだ。1、2番の連続ボギーで、またかーと感じたファンも多かったことだろう。

 「また勝てないのかなぁ、とイヤな気持ちだったけど、3番でそんな弱気の私をー逃げんじゃねぇーと一喝。第2打でピンを狙っていいボールが打てた」と振り返る。脳裏で葛藤していたなど、周囲は知る由がない。6Iで残り150ヤードは1メートルへナイスオン。この日、初めてのバーディーで反撃をスタートした。続くパー5の4番は、残り90ヤードの第3打を50度で、ピン50センチへ。

 この内容からすれば、前9回の最終日、最終組は戦わずして負けたことになる。追い込まれ、打ちひしがれて這い上がった。18番、50センチのウイニングパットを決めると、涙がこぼれる。悔し涙ではない。喜びの涙は見る人の気持ちを感動へと誘った。

 「(黄金世代の)仲間が18番で待っていてくれました。いつも、いつも私は待つ方ばかり。きょう(大里)桃子さんが泣きながらハグを…。本当にありがたい。みんなが上手です。私だけ、おいていかれるような気がしたけど、同い年の選手の優勝や活躍が励みになってここまできた」と、感謝を伝えた。

 高校時代、日本女子アマのタイトルを獲得。明るい未来が約束された。しかし、「翌年からパッティングが不調になって、その次の年は1W…。私、お先まっくらの状況で何とか最終プロテストへ合格しました」と振り返る。

 苦悩は主に精神面の弱さからくるものだ。「プレッシャーが大きくなると、体がスムーズに動かない。今オフは何物にも影響を受けない、全身をつかったスイングづくりを行った。クラブを背中で上げるイメージ。すごく、しっくりきた。きょうのために取り組んでよかったと思います」と話した。

 さらに、「今年は、去年の面影がなくなるぐらい、アイアンショットがダメだった。かといって、用具のせいにするのは好きではない。でも、視点を変えて、何かを変える時期が来た、と考えた。今大会から思い切ってアイアンを交換したことも本当に大きい。いいクラブと巡り合うことができた」と加える。

 前週に続いて、今季は鳴りを潜めていた黄金世代が躍動。11人目のウイナーになった。しかも、川奈では史上初の完全優勝というおまけつき。たとえ、お化けが出てきても、あっさりと撃退する術までマスターした。

 「ツアーの女王争いに参加したいです。早く、2勝目もあげたい」。少し照れながら、次なるターゲットを宣言した。さらば、シルバーコレクター。

(JLPGAオフィシャルライター・宮脇 廣久)
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